《すねかじる 痛さこらえて カスガイに》

 干支(えと)を方位盤に角度30度毎(時計の文字盤)に並べます。北に子(ネ)を置くと南は午(ウマ)になります。そこで日付変更線は子午線と呼ばれます。
 ところで西の方角は酉(トリ)になりますが,両側に申(サル)と戌(イヌ)が控えています。サル・トリ・イヌと言えば,何を思いつかれますか。桃太郎の家来たちです。彼らは西の方角,つまり西方浄土にゆかりのある動物たちなのです。これが桃太郎の家来に選ばれた理由だそうです。
 さて桃太郎はどこが偉いのでしょうか。悪い鬼を退治して財宝を取り戻した勇気がほめたたえられるようですが,他に学ぶべきことはないでしょうか。
 イヌとサルは昔から犬猿の仲と呼ばれているように,仲が悪いものの代表です。その彼らが協力できたわけがあります。それは彼らが桃太郎と個別にキビダンゴ契約を結んだからです。イヌもサルも桃太郎との直接的関係を軸にした結果,お互い間接的に仲間になりました。これが桃太郎のリーダーとしての偉さです。
 子はカスガイと言われていますが,それも同じです。夫婦が犬猿の仲になったとき,子どもは父の子であり,同時に母の子ですから,同じ自分の子というきずなによって子どもには桃太郎効果が現れます。いずれがサルかイヌかはお任せしますが,仲良くしてもらえれば何よりです。ただ子どもがけんかの種になることも。
 学校でも同じ形が生きています。子どもは私の先生という気持ちを持っています。私たちの先生ではありません。いつも先生とは直接の関係を求めています。 もし先生が生徒たちという漠然としたつながり意識しか持っていなかったら,子どもたちのつながりはバラバラになるでしょう。

(No.76:リビング北九州:99年7月3日:1311号掲載)