《時ところ 変われば月も 恋の窓》

 秋の月は季節のシンボルです。白く輝く夜空の窓にウサギが餅をついているシルエットが浮かび上がります。何のために餅をついているのでしょうか。いずれウサギさんに聞いてみましょう。ところでそのシルエットですが,私には女性の左横顔に見えています。小学生のころ読んだ天文学関係の啓蒙書に,外国では女性の顔を見ていると紹介されていたからです。恋しい女性の顔に見立てていたのでしょう。どこか連れ合いに似ているのかもしれません。
 動物園の元園長さんがテレビで,「動物園で順路を表示しているのは日本とイタリアだけ」と話していました。子ども時代の動物園見学で学んだ通りに,大人になって名所旧跡を訪ねたときなどにも何となく順路の矢印に沿って見学しています。
 カルチャーショックは当たり前が当たり前ではなかったという驚きです。情報化という鏡の前で自分のまとっているコモンセンスを磨き直すことができますが,そのためには小さな手鏡ではなくて等身大の鏡が要りようです。同地域,同年代の人とつきあっていると視野が狭くて違いは見えてきません。異世代とのつきあいがあれば視野が広くなり,情報の質が違ってお互いにとって刺激的です。
 子どもはよその家に遊びにいくと,家庭といってもいろいろあると違いを感じます。もちろん家具調度の違いもありますが,その他に,玄関に花が生けてある,脱いだ靴はきちんと揃えてある,食事の際にはみんなが「いただきます」,「ごちそうさま」と言っている,友だちのお父さんはニコニコと話してくれるといった暮らしぶりの違いが見えます。子どもには小さな旅をさせてやって下さい。違いが見えたら,子どもは少しずつ豊かな学びをしていきます。
 生い立ちが人生観や社会行動を左右することに気づいて下さい。

(No.82:リビング北九州:99年10月2日:1323号掲載)