*** 子育ち12章 ***
 

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「第 11-04 章」


『させないで できない子ども 育て上げ』


 ■はじめに

 万能川柳という本に「怠け者作ってしまったまめな親」という川柳が掲載されています。なるほどという感想を持ちますが,子どもは親の後ろ姿を見習って育つという通念に反します。この対立した事象に直面すると,隔世遺伝という言葉が思い出されます。

 親の言うようには育たず,親のするように育つといわれます。だから,親は育ちのモデルであるという意識を持たなければなりません。子どもの目から見れば,大人は勝手なことをしていて,どうして子どもだけがあれこれ言われなければならないのかという気になります。だから,親の言うことなどはあっさりと聞き流し,親がするように育ちます。

 まめな親が怠け者を育てるという川柳のような状況はどうして起こってしまうのでしょう。いかにもありそうなことです。そのわけを探しておかないと,しつけが無駄足を踏むことになります。しつけの大事なポイントが隠されているようです。

 親はモデルであるといっておきましたが,このモデルという言葉を再確認しておきます。モデルとはあくまでも見るものであり,自分とは直接に関係のない存在です。子どもが自分でするはずのあれこれを親がまめに世話してやるという風に,まめな親が子どもを取り込んでしまうと,モデルにはならなくなります。子どもとは一線を画したまめさでなければならないのです。

 ママは家庭を管理する立場として,家族全体の暮らしをこまめに面倒をみます。子どもはその傘の中に置かれて,自分でするチャンスを奪われることになります。ママを見習ってしようと思っても,ママが何もさせてくれないというわけです。怠けているのではなくて,怠けさせられているのです。

 お手伝いをさせるというしつけがありますが,実は自分のことは自分でさせることから始まります。最初は不器用でも,ママをモデルとして見て真似ているうちに上手になります。そのちょっとした訓練期間の不都合さをママがじっと我慢して見守ってやりさえすればいいのです。



【質問11-04:お子さんの怠けを抑えていますね?】

 《「怠けを抑える」という意味を確かめておきましょう!》


 〇切り替え?

 怠けるということはどういうことでしょう? 三省堂の辞典には「それをする時間的な余裕が有るのに,本来すべき事をしないでむだに過ごす」とあります。さぼる,ずるけると追記されています。

 怠学という言い方は,ずる休みというイメージがあります。学校を休んでいる間,何かをしていればまだいいのですが,ダラダラしていることが問題となります。一般に怠けることにはいろんな問題が含まれているので,ポイント毎に分けてみましょう。分けることが分かることであり,分かれば何とか手の打ちようが見えてくるからです。

 一つは,自分の時間をどう管理するかという問題です。今の時間は何をする時間という時間配分の切り替えができないことです。生活にリズムをということで,規則正しい生活習慣がしつけの眼目になっています。その核心は,今はこれをする時間という意識を持つことです。そこで必要なことは,気持ちの切り替えです。

 人は今という時間をついつい先延ばしにしようとするものです。もうちょっとしてから,後で,帰ってから,明日から・・・,と言い抜けます。今という時間を掴まない限り,人は時間を失います。先送りされた物事は,先になると負債に変わります。それがあのときにしておけばよかったという後悔になって苦味を発するのです。

 「さあ,はじめよう」という言葉の勢いにつられてスタートができればいいのです。もう一人の自分が自分に向かってかけ声を掛けることができる,それが自立の現れでもあります。自分を動かせないでは,自堕落以外の何ものでもありません。怠け者が嫌われるのは,自己管理できないという欠点が顕在するせいです。自分のことは自分で面倒を見ることができる,そこにもう一人の自分の確かな育ちがあります。

・・・怠けるとは,気持ちのポイント切り替えができないことです。・・・


 〇やるべきこと?

 二つ目は,やるべきことをしないという問題です。やるべきこととは,家庭における共同生活のように各人が分担する役割や,社会生活における人とのつながりを保持するのに必要とされる諸々です。使ったら片づけておく,手が空いていれば手伝う,何かを頂けばお礼を言う,道を譲り合う・・など,マナーから仕事まで,広範囲にわたります。

 怠学で言えば,登校すべきだという責務から逃げていることになります。実は登校すべきというのは間違っているので,怠学という言い方は多分に恣意的です。やるべきことの意味を取り違えないようにしなければなりません。前にも述べておきましたが,義務教育とは教育を受けさせる義務を行政と親が負っているのです。

 ところで,やるべきこととは他者との関係から派生するものなので,自分の意向を割り引いたり都合をやりくりしたりすることが避けられません。面倒なことになります。そこで,なるべくならしないで済むように,あれこれ言い訳を持ち出そうとします。ママは違いますが,ママのお友だちの中には,例えばPTAの役員就任を断るのに,赤ちゃんがいる,お年寄りを抱えている,仕事をしている,したことがない,人前では話せないという言い訳をしている方がいませんか。もう一人の自分が自分に負けています。

 気持ちの上で面倒なことをするためには,大人であれば強い責任感が後押ししてくれます。子どもの場合には,素直に真面目に取り組もうという積極性に拠ります。ところが,真面目であることをダサイと囃し立てて足を引っ張る輩がいるものです。友だちづきあいを大事にするあまり,やるべきことをしないという場合も出てきます。例えば,皆に合わせていい加減な掃除をするということがあります。低きに流されるのです。

 決められたことを守る,正しいと思うことをする,人が喜ぶよいことをしてあげる,そのような前向きな気持ちはどこから出てくるのでしょうか? その根っこには,自分を大切にしたいから自分を高めたいという自尊心があります。もしもやるべきだと分かっていながら逃げたとしたら後ろめたくなり,その後ろめたさを拭おうとして真面目な人を貶すという悪循環に入っていきます。自尊心はボロボロになるはずです。

・・・やるべきこととは,真っ当な自尊心が纏う衣装です。・・・


 〇できること?

 三つ目は,できることをしないという問題です。特に子どもにとっては,育ちに背を向けることになるので要注意です。ところで,公共という概念が薄れてきたといわれます。公共とは皆のものであるから,当然に自分の勝手にしていいという了解が蔓延っています。一方で,例えば落ちているゴミを拾わなければならないのは自分ではないという正反対のご都合主義も健在です。

 しなければならないことではなくても,した方がいいことがあります。それが自分にできることであれば,しようとするのが自然です。ママが買い物で重たい袋を抱えているとき,ボクが一つ持ってあげるということはできることです。それをしないのは小さな怠けです。それがパパであれば,かなり深い溝にまで広がることさえあるでしょう。

 子どもはできるようになりたくて育とうとするものです。できることが増えていけばうれしくなります。育ちが楽しみになります。親は子どもにできることを任せるようにしていけばいいでしょう。できることをしようとする子どもの気持ちを大事に受け止めてください。決して余計なことと思ってはいけません。できることを持ち寄ることが,共同生活なのですから。

 今自分には何ができるか,ここで自分にできることは何かないか,それを探そうとすれば当然に周りの状況を観察しなければなりません。いわゆる周りに関心を持つことになります。ママが何をしているか,そんなことには無関心,ボクには関係ない,それが普通かもしれませんが,家族の温かなつながりは感じられません。

 リビングで家族が揃って過ごしていれば,嫌でもお互いのしていることが目に入ります。ところが,子どもを子ども部屋に追い込んでいると,親子共にお互いが見えません。できることを持ち出しようがなくなります。無関心だけが増長されていきます。他者への関心を失うことは,他者に対する自分の立場を見落とすことにつながり,結果として自分自身への関心がアンバランスな肥大化をしていきます。

 一緒に住むから,親子のつながりが生かされます。同じ屋根の下にいるだけでは,ホテルに止まる行きずりの人と同じでしかありません。夕食の団らんという風景のもっとも大事な意味は,同じ時間と場所と行動を共有するということなのです。自分のためにしかできることをしないのは,自分を怠けさせていることと同じです。

・・・できることとは,共生するために使われるべき能力です。・・・



《怠けを抑えるとは,皆の中で自分を大事に生かす前提条件です。》

 ○これまでと同じように,怠けを撲滅することは考えておりません。抑えるだけでよしとしておきます。誰しも怠けたいという本音を持っています。本音はなくせるものではありませんし,無理になくそうとすると人そのものを台無しにします。やりすぎては逆効果になります。

 同時に,どんなときにも絶対に怠けない人は,人の怠けたい気持ちを許さなくなり,冷酷な存在にかけ離れていきます。多少の怠けは見逃し合う,気持ちの遊びがなければ,ギスギスした触れ合いになり,熱を持つようになります。怠けを無くすのはたいへんですが,抑えるぐらいならできるはずです。理屈ではそう言えますが,抑えることすら難しいのも現実です。抑えようと努力し続ける,それしかないのかもしれませんね?


 【質問11-04:お子さんの怠けを抑えていますね?】

   ●答は?・・・もちろん,「イエス」ですよね!?

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