*** 子育ち12章 ***
 

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「第 13-03 章」


『育てたい 屈託のない 笑顔の子』


 ■つれづれ

 ある全国規模の研修会に出席したときのことです。家庭教育に関する研究協議をする会で,学校週五日制に関連して地域活動を活性化することが主な協議のテーマでした。フロアから年配の男性の方が意見を述べられましたが,先生の地域活動への関与がないという指摘をされていました。

 そう考えてしまうのが普通かもしれませんが,地域にまで先生であることを理由に引きずり込もうとするのはいささか大人げない甘えです。ところで,発言はさらにエスカレートしていきました。子どもたちのしつけに対する先生の怠慢を言い募るまでに進みました。しつけについて先生と語ったとき,しつけは家庭でと言った先生がいると憤慨されているようでした。

 しつけは学校ですべきという考え方が堂々と出てくることに,日本は広いという感じがしました。それも指導的立場にある方から聞こうとは思いもしませんでした。基本的にしつけは家庭が責任を持つべきです。家庭でしかできないからです。先生にしつけを依頼するのは,親として卑怯になります。親らしいことの筆頭は,子どもをしつけることです。

 もちろん,先生や大人はしつけのお手伝いをしてくれるでしょう。親にもできないことはあります。まず,自分のことは自分でできる,人の話を静かに聞くことができる,きちんと挨拶ができる,箸がちゃんと使える,などのしつけは家庭で済ませておかねばなりません。その上に社会性に関わるしつけを家庭外で受けることができるようになります。家庭でのしつけがなされていることを前提として,社会的しつけが有効になります。

 家庭での育ちと学校での育ちは性格が全く違うことを弁えておくことが大切です。それは親の育てと先生の育ては全く異なるということです。子どもにとっても家の子としての育ちと生徒としての育ちという別の育ちになります。家での子どもと学校での子どもは別の姿を見せることからも分かっていただけるでしょう。家庭でのしつけは決して免れることはできないし,肩代わりもできないのです。



【質問13-03:お子さんは,まとわりつこうとしてはいませんか?】

 《「まとわりつく」という意味を理解しましょう!》


 〇《指針2−1》どこで育つ?

 小さな種があります。どこで芽を出すのでしょう? 部屋の床に転がしておけば,いつまでも種のままです。大地に触れさせれば,種は目覚めて芽を出してきます。子どもという可能性を秘めた種は,家庭という大地にあってこそ育ちのスイッチが入ります。さらにいえば,子どもが育つ場所は単なる家ではなくて家庭です。

 数十年前には,食べさせておけば子どもは育つといわれていて,それなりに事実でした。でも今の家庭では必ずしもそうとは言えないようです。いったい何が変わったのでしょう。核家族化した家庭では,両親が働きに出ると家庭はただの家になります。でも,両親が働いているというのは昔だって同じです。母親が会社に出るのか,畑や店に出るのかの違いでしかありません。子どもに食べさせるために!

 かつての家庭には祖父母やきょうだい,周りには顔見知りの友だち集団や優しい人たちがいました。家庭に豊かな人間関係という栄養が注ぎ込まれていました。親が忙しくても家庭は子どもにとって大地であったのです。核家族の暮らしはそのつもりはなくても,祖父母を追い出してしまいました。そこまでは時代の流れとして仕方のないことです。でも,きょうだいがいない,近所の友だちがいないという状況は,親が選んでしまった結果です。

 今の家庭状況は,食べさせておけば育つほどの豊かさが自然に備わっているとは言い難いのです。親が意図的に家庭を耕して滋養を注ぎ込む必要があります。父親も昔と違って稼いでいればいいとはいかず,家庭のことにも関わらなければなりません。余人を閉め出した暮らしぶりでは,人手がないから仕方ありません。

 子どもが育つ場所は家庭ですが,同じ屋根の下に住んでいればいいかというと,ことはそう単純ではありません。もう一人の子どもは人間関係があってこそ育ちます。古い話ですが,オオカミに育てられたらオオカミになるということです。人としての豊かな関わりのある場所,そこが子どもの育つ場所です。

・・・子どもは人のぬくもりに触れて育ちの芽を出します。・・・


 〇居場所?

 幼い子どもは,親がちょっとくつろいだ姿勢を見せると,すぐにしなだれかかってきます。父親のあぐらの中に無遠慮に滑り込んできます。ごつごつした足組は決して座り心地のよいものではありませんが,子どもは居心地の良さを感じています。お父さんの匂いに包まれて落ち着きます。放っておくといつまでも座っていて,いつの間にか寝入ってしまいます。

 大きくなってくると,おんぶや肩車を喜びます。男の子は力試しも兼ねて,ぶつかってきます。女の子は親のそばにまとわりつくようにして,ままごと遊びをします。肌のぬくもりを受け止めて,子どもの育ちは急ピッチです。厳しいしつけも必要ですが,その前に親とのしっかりした気持ちのつながりが前提となります。

 子どもは中学生になるくらいまでは,親にとって自分はどんな存在なのかということを気にしています。「どんな子であっても私の子として愛している」という親からのメッセージは,一番の励ましになります。悪さをして親の手を煩わすようなできの悪い子? そんな子はやせた土地の作物と同じで,親との絆という根っこがやせ細っており,心おきなくまとわりつける居場所を実感できない子です。

 たとえ自分専用の部屋があっても,家庭に居場所がないという子どもは少なくありません。よい子で手の掛からない子どもは,親から信用されて独り立ちしています。ところが,見放されている状況でもあるので,不安になります。よい子は時々,親の注意を引きつけるために,とんでもない悪さをして見せます。「ここにいるのを,知っている?」という訴えです。お母さんの小言も,言われているときはうるさいのですが,言われなくなると大きな寂しさを味わいます。

 どうすればいいのでしょうか? いずれにしても,度を過ごさないようにすればいいのです。どちらかに片寄ってしまうと,子どもの育ちはゆがみます。取りあえず親が気を付けることは,子どもの笑顔を一日一度は必ず見られるように努力することです。親は意識していないと子どもを叱る方に片寄っていくものだからです。楽しいときを持つことを心掛ける,それはかつては団らんのときでした。それに代わる居場所を必ず家庭に!

・・・育ちの居場所とは親との心のつながりが実感できる時空間です。・・・


 〇気に掛ける?

 「お母さん」。子どもは育ち上がるまでに何回言うことでしょう。やがて,直接には言わなくなります。「ねえ」と呼びかけるかもしれません。お母さんと呼ばれているときが華です。ところで,成人しても「ママ」と言っているようでは,ちょっぴり心配です。親離れのけじめがついていないからです。呼び方を変えるのは,気持ちの上でのきちんとした親離れの証です。

 子育て中は聞き慣れている「お母さん」。それだけにいい加減に聞き流してしまうことがあります。子どもはお母さんという呼びかけにどのように応えてくれるかで,母子関係を確認しようとしています。今は甘えられそう,今は近づかない方がいい,今は話せるかも,と間合いを計っています。普段はそれでいいのですが,いずれにしろつながっていることが大事です。

 父親はどんな風につながっていけばいいのでしょう。「お父さん,遊ぼう」。そう言われてまとわりつかれます。疲れていても,子どもからの大事なメッセージだと受け止めて,しっかりつかまえてやらなければなりません。邪険に袖にされたつながりほど,寂しい後味を残すものはありません。ほんのちょっとでいいのですから,本気で向き合うことです。

 家を留守にしたとき,おみやげを買って帰ります。数日で飽きられてしまうかもしれませんが,子どもはおみやげを喜びます。おみやげとは,離れていても自分のことを忘れていない証拠だから,うれしいのです。留守番をしている子どもを忘れていなかったよ,その気持ちを子どもに分かるようにこまめに伝えてやって下さい。

 誕生日を覚えているとか,いつが運動会かを知っているとか,仲良しの友だちの名前を知っているとか,親が子どものことを知っておくということが,子どもにはうれしいことであり,安心の元でもあります。大人でも自分を理解してくれている人がいないと寂しくなります。ましてや子どもは!

・・・気がかりではなく気に掛けていることが,大切なメッセージです。・・・



《まとわりつくとは,甘えではなく安心するための求愛行為です。》

 ○町を歩いているときや車を運転しているとき,お巡りさんやパトカーと出会うと,すねに傷を持っているわけではないのに妙に緊張します。知らない人ばかりの中にいるとき,顔見知りの人に出会うとホッとします。子どもにとって,親の視線はどちらでしょう。親に見られていると緊張するのか,安心するのか?

 見張りと見守り。一字違いですが意味は正反対ですね。参観日のママの目,我が子の背中に見張りの視線を注いではいませんか? へまをするのではないかと気がかりの気持ちがあると見張りの目,ガンバレよ,私がついているという気に掛ける気持ちがあれば見守りの目,どちらが子どものためになるでしょう?


 【質問13-03:お子さんは,まとわりつこうとしてはいませんか?】

   ●答は?・・・なるべく適えるようにしていますよね!

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