*** 子育ち12章 ***
 

Welcome to Bear's Home-Page
「第 17-07 章」


『子育ては 苦労分け合う つながりに』


 ■徒然子育て想■
『ニート?』

 ニート? 一部の若者を表す言葉です。「NEAT」は頭文字を取った略語です。Not in Education,Employment or Training という熟語です。進学や就職の意欲がなく,職業訓練も受けようとしない若者を指します。フリーターという言葉がありますが,働く意欲はあって,ただ正社員といった定職に就くことをせずに,自由な時間を確保するためにアルバイトで生活するといった若者です。

 昨年のニート人口は52万人で,増えてきています。不況で就職口がないという事情ばかりではなく,人付き合いが上手くやれないといった人間関係の未熟さが意識されているようです。どんな仕事がしたいのか,という自問に答を見つけることができないでいます。就職や就労という概念がほとんど育っていないのかもしれません。怠け者と見られがちですが,社会生活に対する不安があり,引きこもりの傾向が出ている場合もあるはずです。

 働く意欲? これまでの子育ての中で意識しては教え込んでいなかったのかもしれません。子どもにとって最も身近な働きとは,暮らしに関わる雑用です。その働きを子どもたちは余計な仕事と思い込まされてはいないでしょうか? 幼いときは足手まといになるから,児童・生徒期になると塾や部活にかまけていればいいということで,生活から阻害され続けていたら,働くということの意味を分かるはずもありません。

 パラサイトシングルという言葉もありました。仕事をして稼いではいるのですが,暮らしのあれこれは親の臑をかじり続け,勝手気ままに暮らすというスタイルです。初老のお父さんがつぶやいていました。昔は月給を貰うようになったらいくらかは家に入れていたものなのに,今の若い奴は食事にあれこれ文句だけは言うくせに一円も入れない! 生きる力を,働いて稼ぐことを,自立という具体的な姿を,教えていないとそのツケは親自身に振り返ってきます。

 人の結びつきは,面白いこと,楽しいことを仲立ちにするものではありません。趣味のつながりがちょっとした個性の食い違いでひび割れるのは普通のことです。夫婦の関係もタレントたちがお互いを利用するという下心がありながら,自分の意に染まない事態を性格の不一致と言い募ってあっさりとリセットして見せます。結びつきは苦労の共有から生まれます。苦労してやり遂げた仲間,それが社会的な人間関係です。家族が苦労して家庭生活をする,それが働く喜びを教えてくれるはずですが。



【質問17-07:お子さんが,できるのにやらないことはありませんか?】


 ○実力!

 子どもの育ちは,何事にも積極的に取り組む姿勢の中にあります。一方で,子どもに期待される課題はたくさんあります。多少の猶予期間はあるとしても,いずれは克服して貰わなければ困るという親の願いがあります。子どもは初めは物珍しさも手伝ってやろうとしますが,うまくいかない壁にぶつかると,それ以上やろうとしないことがあります。諦めてしまいます。このような行きつ戻りつはいけないことではありません。子どもの実力は日々更新されるので,今日はここまででいいのです。

 できるのにやらないというママの観察に,一つだけ再確認をお願いしておかなければなりません。お友達ができるのだから,あなたもできるはずと言っていませんか? 確かにその判断にもそれなりに一理はありますが,大まかな意味でという但し書きがあります。環境の違いによって,育ちの早さは子どもそれぞれに一つひとつの課題毎に違ってしまいます。また,同じ一年生でも遅生まれと早生まれでは最大1年間の違いがあることを忘れないで下さい。そのうちできるようになるでしょう!?

 もっと身近な局面を考えてみましょう。片づけることなどは幼児でもできることがあります。脱いだ履き物をきちんと揃えることは初期のしつけであり,させればできます。ところがそんな簡単なことが日頃できていないことがあります。できるのにどうしてやらないの? ということになりますね。できるまでしつけていないからと言う他はありません。繰り返してやかましく言うと,すればいいんでしょ!というふてくされた態度をされて,勝手にしなさいとさじを投げてしまうからです。

 じっとしていなさい! 幼い子どもには無理ですが,学校に上がるまでには,小一時間じっと座っていることができなくてはなりません。座っていることは特別に難しい行動ではありません。何もしなくていいのですから。ところが,何もしないでじっとしているというのは案外と大変なものです。何かしていると時間はすぐに過ぎていきます。そこで,普段から座ってするようなことをさせて,慣れるようにしつけを工夫することも大切です。ただじっとしていなさいでは,無理でしょう。

 しなくてはいけないけど,したくないということもありますね。いつまでテレビを見ているの,いい加減に部屋に行って勉強しなさい! 終わったらするから・・・。少しでも先延ばしにしておこうとしているようにみえます。したいことをし終えたら,さあ始めるか,と気持ちの切り替えができます。しつけるコツは,制限を設けることです。テレビは何時までといった約束をしておくことです。ダラダラという過ごし方が,やらないほうに引きずり込みます。リズム感のある生活を!

・・・実力は実際に行動として発揮してこそ育っていくものです。・・・


 ○自信と過信?

 子育てに自信がありますか? 自信があると言い切れたらどんなにいいでしょう。でも,自信がないと言うのもしゃくですね。一緒に精進していきましょう。自信を割引するのは不安です。不安とは分からないところから湧いてくるものです。分からないのは,あれこれ考えるからです。暢気な人は不安がなく,自信満々に見えることがあります。心配性な人は自信からは遠い道を歩いていることになります。

 幼児は怖いもの知らずで,無茶と思えることでも平気です。何も考えていないから,不安などありません。ところが,ちょっと経験をしてちょっと見えてくると,怖いこともあることが分かってきて,先行きを考えるようになり不安が現れます。やる前から行動に尻込みすることもあるでしょう。そのことはもう一人の子どもが育ってきた現れですから,それほど心配する必要はありません。育ちの大きなステップをクリアしていると考えて,次の育ちに向かいましょう。

 自信とは自分を信じることですが,誰が信じるのかはもう一人の自分になります。では,自分の何を信じたらいいのでしょう。自分の実力です。実力を知るというのは,これまではできるがこれ以上はできないかもという能力の限界を弁えることです。実際にやれたという実績が,これまではという実力の裏付けになります。その際に,同じようなことをしたことがあるという気付きも,自信の拡大につながります。子どもの場合は遊びの中にたくさんの実力を培う可能性が含まれています。

 子どもに自信を持って欲しいと願うなら,ここまではできたねと認めるしつけが大切です。たとえしくじっても途中まではできていたことを親が認めてやれば,もう一人の子どもも同じように自分の実力を正しく認めることができます。点数で言えば,60点であっても60点を認めてやるということです。100点でなければダメという評価をしていると,自信の持ちようがなく,臆病になるほかありません。自分は60点まではできるという自己評価,それが本当の実力に対する自信です。

 ところが,できなかったのはあれがなかったからとか,誰かがこうしてくれなかったとか屁理屈をつけて,自分の実力はこんなものではないと思い込むと過信や自惚れに嵌り込みます。自分にはまだできないことがあると弁えることが,自信のもう一つの条件です。自分の弱さを知っていることが,実力を発揮する前提になり,できるかもしれないからやってみようという前向きな意欲を生みます。そうでなければ自分を見失って立ち止まってしまい,決して真っ直ぐな育ちができなくなります。

・・・限界の認知が自信を,限界の見落としが過信を生みます。・・・



《子育てには,親子共に正しい実力評価をする責任があります。》

 ○子どもは子どもの中にいてこそ育ちます。大人の中にいると,大人はできるはずとか,できて欲しいという欲張った評価尺度を子どもに当てようとするために,子どもの未熟さのほうを見てしまい,子どもの健気な育ちを切り捨ててしまうので,子どもは萎縮するしかありません。大人に比べれば子どもはできないことだらけです。できたという実感はほとんど得られません。

 子どもの中にいると,みんなそこそこでできないことがあり,ちょっと上手くできる子どももいます。同じくらいの子どもにもできているなら,もしかしたらボクにもできるかもしれないと思うはずです。やってみようとがんばることができます。できたらみんなにすごいねと言ってもらえることもあります。小さなステップでいいという余裕のある育ちが子どもの世界にはあります。子育てはほどほどにして,子育ちに任せるほうがいいのです。

「子育ち12章」:インデックスに進みます
「子育ち12章」:第17-06章に戻ります
「子育ち12章」:第17-08章に進みます