*** 子育ち12章 ***
 

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「第 21-09 章」


『子育ては 親と子どもの 耐え比べ』


 ■徒然子育て想■
『我慢と諦め?』

 子育てをしている親が身につけていくことは,我慢と諦めでしょう。幼い子どもは親の思い通りには動いてくれません。何度言っても効き目のないしつけにいい加減疲れてきますが,じっと我慢を強いられます。その我慢ができないと,力ずくという手段に出てしまいかねません。後悔をすることになります。根気よく繰り返すことが,親に課せられた試練ということです。親だからできる我慢です。

 親の思いを子どもに伝えることが子育てですが,それは石に絵を刻むようなものだという中東の格言があることからもわかるように,とてもゆっくりとした作業になります。何度も何度も刻むことでしか,絵は浮き上がっては来ません。子どもにとっては親の焦りがなによりつらいものになります。親の言うようにはできない自分をもう一人の自分が責めるようになり,自分を嫌うようになることもあります。そうなっては元も子もありません。

 幼い子どもの子育ては大まかなデッサンに相当します。子どもが育ってきて子育ちを始めるようになると,親の手によるデッサンの細部を子どもが自分で描くようになっていきます。その時期に至ったら親の思いを諦めなければならなくなっていきます。子どものことは子どもに任せるということです。親の手を離れることで子どもは自分の道を歩み始めることができます。子どもには子どもの人生があり,親とは別の人格という親離れが親の諦めによってスタートします。

 我慢したあげくに諦めが待っている,何とも親には割の合わないことですが,それが子育てというものですから仕方がありません。子どもは親の心身のあらゆる臑をかじるものなのです。子どもの犠牲になるのではありません。我が子が育つというのは,何にも代え難い喜びであり,子どもの存在そのものが宝物です。もっともそこに至るのは子育てを終えた後になります。子育ての最中は見えていないことでしょうが,明日は明るいと信じてがんばってください。



【設問21-09:お子さんは,忍耐力が育っていると思いますか?】


 ○可能の開拓!

 サッと簡単にできる暮らしが定着しています。食べ物もチンすればできあがりです。手料理のような手間暇の掛かる調理はすっかり陰を消しています。子どもはお母さんの後ろ姿を通して,生きることの基本を学びます。切って刻んで煮て焼いて素材が美味しそうなおかずに変わっていく不思議を見慣れていると,順序よくきちんと手間を掛けることでできあがっていくプロセスを学びます。たいへんだけどそれが当たり前と見知ることが,育ちに対する基本公式になります。

 忍耐力とは,苦しみ,つらさ,怒りなどを伴う障害に直面したときにじっと我慢し耐えることです。生きるということは,忍耐をする一方で,自分にできることを見つけて,何とかしようと動くことです。転んで擦り傷を負ったら,痛いのを堪えながら,傷口を水洗いします。熱が出たら身体を休めてきついのを我慢し,身体の抵抗力を信じて治癒に努めます。忍耐とはバネが弾む準備として縮む過程に似ています。

 すぐにできる,サッとできることに慣れていると,癇癪を起こしたり,投げ出したりして,次のステップに進めません。百マス計算が学校教育で注目を集めているようですが,単純な計算を繰り返し練習することで,計算に掛かる時間が目に見えて短縮するという実感が励みになります。単純な計算をしたからといってもどうということもないと考えることもできますが,子どもには練習に耐えれば効果はついてくるという体験は貴重です。

 子どもはできないことばかりで,できない自分に直面することが多いでしょう。できないからとすぐに諦めるのではなく,どうしたらできるようになるかを考えることが育ちに向かうことになります。そのためには,できない自分の苛立ちに耐えることが必要です。失敗しても,できるようになることを期待して,できるまでの間の空白に耐えることが根気になります。忍耐力の先には可能性への扉があることを知れば,育ちは一本道でしょう。

・・・できるという能力は,繰り返しの失敗に耐える忍耐力の賜物です・・・


 ○こんなこと・あんなこと!

 乳幼児はよく転びます。痛い思いをします。どうしてそんな目に遭うのか,分かりません。自分の行動を振り返るためには,自分を相対視できるもう一人の自分がいなければなりませんが,まだ生まれていないからです。そこで,いろんな経験を重ねて,たまたまうまくいったことを選んで覚えていきます。その過程はほとんど無意識に進みます。歩き始めの時期は,転んでも転んでも繰り返していきながら,転ばない踏ん張り方を探り出していきます。

 幼児が絵を描きます。とてもバランスが壊れています。お母さんの絵は,お世辞にも似ているとは言えません。幼児にとっては自分にママだと見えればいいので,他者の目にどう見えるのかという思惑はまだ持つことができません。やがて,絵を見る目が肥えてきて,自分の絵がどう見えるかということを意識できるようになると,思うように描けない自分に苛立ちが出てきます。折角描いた絵をグチャグチャに塗りつぶすような場合も出てきます。忍耐の入口です。

 午前中にママと一緒の買い物に出かけ,お菓子を買ってもらいます。レジを通したらすぐに手にしたいと思います。「お家に帰ってから」とママに遮られると,泣き出したり不機嫌になったりたいへんです。お家に帰ったら,「すぐに食べたい」と言い出します。「もうすぐ昼の食事だからおやつの時間まで待ちましょう」と先延ばしにされて,「要らない,もう食べない」と強硬な態度に出ます。おやつの時間になると喜んで食べます。こうして忍耐をしつけられていきます。

 遊んでいるときに,なかなか思うようにいかない場面に遭遇します。パパが見かねて手を出してサッと済ませると,子どもは怒り出します。二度と手出しをしないように求めます。自分の手でできなければ面白くないからです。できる喜びを味わいたいために,じっと堪えてやり遂げようとしています。その気持ちを育ててやるようにしましょう。どうしてもダメなときは,パパに助けを求めてきます。その時ちょっとだけ手伝ってやればいいでしょう。

・・・思い通りにならないことでもどうにかなるという体験が大切です・・・


 ○忍耐力を育てるには,忍耐を必要とする体験をさせることです。否応なく耐えなければならないこともありますが,そのときはきっとよくなるという希望を持たせることが励ましになります。痛いのを我慢する,遊びたいのを我慢する,食べたいのを我慢する,泣きたいのを我慢することなどは,したいことを抑制することになります。一人の時には我慢しなくてもいいけど,人前では堪えるということもあります。よくできたねと褒めることを忘れないでください。

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