*** 子育ち12章 ***
 

Welcome to Bear's Home-Page
「第 22-01 章」


『子育ちは 自分を外に さらけ出し』


 ■徒然子育て想■
『義務教育?』

 義務教育という言葉について,まれに思い違いをしている人がおられるので,しっかりと確認をしておきます。条文に一度は目を通しておくこともいいでしょう。

《憲法》
 第26条 すべて国民は,法律の定めるところにより,
      その能力に応じて,ひとしく教育を受ける権利を有する。
    (2) すべて国民は,法律の定めるところにより,その保護する
      子女に普通教育を受けさせる義務を負う。
      義務教育は,これを無償とする。

《教育基本法》
 第4条  国民は,その保護する子女に,9年の普通教育を受けさせる
      義務を負う。
    (2) 国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育に
      ついては,授業料は,これを徴収しない。

 平たく言えば,子どもは教育を受ける権利を持ち,保護者である親が教育を受けさせる義務を負っています。義務教育とは親に対して言われているのです。これを,子どもが学校に行く義務があると逆に考えている大人がいるので,子育ての話をする際には十分に確かめてくださいね。



【設問22-01:お子さんの自己主張を認めていますか?】


 ○こんなこと・あんなこと!

 豊かな社会で生きていくとき,一つの岐路に出会います。大人の後ろ姿を見習って,子どもは迷うことなく一方の道筋についていきます。豊かさとはモノを手に入れることができる状態です。決断すべき道は,一つは「皆が持つから自分も持つ」,もう一つは「皆が持つから自分は持たない」です。日本では前者,欧米では後者が普通になっているようです。自分に似合うか,相応しいか,好きか,といった自分らしさを追求するかどうか,つまり自己主張ができるかどうかの選択です。

 初めての子育てに向き合っている母親には,迷いが生じます。子どもに対する対応が一貫性を失うことも起こります。自分の気に入らないことを子どもがしたとき,母親がけなします。意気消沈した子どもは当然止めます。ところが,そこで母親は「なぜ止める?」と逆に責めてきます。揺れる思いがあるからでしょうが,子どもはどうして良いか分らなくなります。子どもは母親の顔色を伺うことしかできません。「自分の好きなこと」より「母親が好むこと」をしなければと,自分を失います。

 子どもに本の楽しみをしつけるために,ブックスタートという試みが広がっています。お母さんが読んで聴かせる本を提供したり紹介したりと,自治体によっていろいろな形があります。お母さんの声で物語を読んでやると,子どもは聞き耳を立てます。子どもの心を揺さぶる話は,子どもに疑似体験の楽しさをもたらします。自分が主人公になったような不思議な経験です。さらに,主人公の語りを真似することで,自分の気持ちの表現を学んでいくことができます。

 教育の世界では,ゆとりか学力かというせめぎ合いが起こっています。詰め込み教育の弊害からゆとりに動き,気がついたら学力は低下していて大あわてです。子どもの育ちという観点が失われています。詰め込みは教える側が待てない焦りであり,ゆとりは無為に過ごさせる放任になっていたようです。いずれも子どもの学びのペースにマッチしていないということです。学ぶと楽しいというもう一人の子どもの気持ちを引き出すことを目指すべきです。


 ○ママへのメッセージ!

 頭をより良くする方法として,次のようなポイントが推奨されています。大人にも参考になります。
   (1)自分の目でものをしっかり観ること
   (2)自分の耳でしっかり聞くこと
   (3)自分の足で歩くこと
   (4)自分の手を動かすこと,手でものを作ること,また書くこと
 教えという手助けの前に,子ども自身が学ぼうとしていることです。学ぶとは五感をフルに使っていることだと知っておいてください。

 息子の友達の母親の中に,「よそのこはわがままだから,一緒に遊ばせたくない」と言われる方がいます。その子は聞き分けがよくて親の言うことに素直で従順です。口癖は「お母さんがイカンと言う」,「お母さんに怒られる」です。子ども自身,つまりもう一人の子どもは陰に隠れて表に出てきません。多少わがままであっても,自己主張をしているほうが,育ちの階段を素直に上っているのです。次のステップとしてわがままを自己抑制することで,社会性という上位の育ちが拓けていきます。

 子どもが思いどおりにならないとき,親は反抗していると受け取り,子どもがかわいくないと感じることがあります。子どもが自立しかかっている,つまりもう一人の子どもがママと入れ替わろうとしているのです。親離れといわれている育ちのステップです。子どもが親の手から飛び出すと思うと寂しくなるせいか,可愛さ余って憎らしくという反動があるかもしれませんが,対等な関係への入り口にさしかかっているのです。ママの自己主張は控えめにして,受け止めてくださいね。


 ○2006年の幕開けです。子どもたちの未来の扉が,また一つ開きました。いろんな扉をくぐり抜けていきながら,その都度子どもは一回り大きく育っていきます。親の歩んできた道とは違っていますが,どこかしら似た道でもあります。添い寝をして添い歩きをして,喜びに寄り添い,楽しさを分かち合い,育ちにそっとつきあえる間が親としてのうれしいときです。そんなみなさんのための子育て羅針盤を目指してまいります。

「子育ち12章」:インデックスに進みます
「子育ち12章」:第21-13章に戻ります
「子育ち12章」:第22-02章に進みます