*** 子育ち12章 ***
 

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「第 22-05 章」


『子育ちは 豊かな言葉 身につけて』


 ■徒然子育て想■
『甘いものはダメ?』

 夕食前になると「お腹空いた〜 おかしたべていい?」とすり寄ってきます。「だめ,もうすぐご飯だから」。ママの目を盗んで食べて口を拭っていると,夕ご飯を食べるペースが鈍ります。「どうして食べないの? お腹が痛いの?」と尋ねられても,「なんともないよ」と答えるしかありません。お菓子を食べたのがばれないか,ヒヤヒヤするかもしれません。甘いものと食欲は関係があるのでしょうか?

 甘いものは血液中のブドウ糖の濃度を高めます。糖分は腸から素早く吸収されるからです。ブドウ糖の濃度が高くなると,食欲を調節する脳内の満腹中枢が刺激を受けて,食欲が抑制されてしまいます。胃が満腹でなくても,脳は誤った判断をして,食べられなくなるのです。食後のデザートは,満腹感を刺激して,食事の終了を告げるためにも有効ということになります。

 ところで,食事をするときにママから注意されることがもう一つあります。「ゆっくり噛んで食べなさい」。唾液を十分にまぶして細分化し消化をよくするためのことですが,実は他の理由もあります。胃に食物が届いて消化が始まり,満腹中枢が刺激を受けるまでには,20分ほどの遅れがあるそうです。ゆっくりと食べていると,ほどよいところで満腹感を味わうことができます。もしも早食いをすると,満腹と感じるまでに食べ過ぎてしまうことになります。肥満にご注意!



【設問22-05:お子さんの言語表現を聴いていますか?】


 ○こんなこと・あんなこと!

 独りでいると,人の声がほしくなります。部屋にあるテレビにリモコンを向けてスイッチを入れます。にぎやかな声が部屋に満ちていきます。寂しさがサッと消えていきます。この番組を見たいという目的はなく,ただ漫然と長時間テレビを眺めていることになります。子どもにとっては,育ちに不要な余計な情報が刷り込まれていきます。面白さを第一義としている情報に紛れていると,ぼんやりと過ごす時間が奪われます。ぼんやりと過ごす,その時に子どもは考える楽しみを見つけます。

 テレビは一方通行です。見聞きするだけで,こちらの話を聞いてはくれません。子どもは話す機会を持てないのです。ママは忙しいので,子どもは早くとせかされ,あのねと語りかけても,おしゃべりはいいのと叱られます。親子は会話らしい会話をしていないのではないでしょうか。また,直接体験が少ないために,自分の言葉で話す表現力も育ちません。まとまった話ができず,単語だけが飛び出してきます。ゆっくりと子どもの言葉を紡ぐように補って聞いてやってください。

 幼児が言葉を覚え始めのころは,オウム返しに言葉を返してきます。自分の発音が間違っていないか,確認をしようとしています。口の動きをゆっくりと見せてやりながら,繰り返し教えてください。耳で聞いた音を,自分の口で再現できるようになろうとしています。言葉が通じ合えることで,意思の伝達ができる喜びを感じることも大切です。「寒い」,「寒いね」。言葉を重ねることが共感の基本形です。大きい子には,上手に相づちを打って,次の言葉を引き出してやりましょう。

 無作法が最も現れるのが,言葉遣いです。会話の貧困さをもたらすのは,先ずは単語のみの会話,次が話題の貧困さです。話芸が衰退してきたのは,言葉を使って絵を描けなくなったということです。話を楽しむとか,しゃれた会話を疎かにしています。今の子どもたちは感性は豊かかもしれませんが,表現が貧しいために人と共感することが苦手です。子どもの時からしつけておかないと,若いお医者さんが患者や看護婦と衝突するという悲劇の例を再現することになります。


 ○ママへのメッセージ!

 学力の基本である「分かる」というのは,言葉で分けることです。人は言葉によって物事を理解します。ものの名前はもちろんのこと,体験したことやもやもやした気持ちにも言葉を付与して名付けることで認知することができます。花を見てホーと思うとき,「キレイ」という言葉で人と共感できます。思いやり=ヨカッタ,生命尊重=アブナイ,我慢=アトデ,自発性=ヤラセテ,社会貢献=マカセテ,言葉を知ることで行動の具体化が可能になります。

 学力の基礎である国語力の低下に,大学や企業でも困っています。読み取る力,聴き取る力が弱くなっています。今の子どもや若者だけを見ていると分かりませんが,長い目で見るとはっきりと実感させられます。言葉のイメージが浅く,裏を読み取る力が低下しており,真意や心の奥を読み取れず,物事を考える力が衰弱しています。教科書を自分で読んで理解する,先ずはそこから着実に訓練をしておかなければ,取り返しがつかなくなります。

 お子さんと話すとき,どこを見ていますか? 「お母さん」と話しかけられたとき,ママは忙しい手を動かしながら後ろを向いたまま,返事をしていませんか? オランダのDick Brunaという作家の絵本はウサギの絵本で,絵の中のウサギはどんな場面でもすべて正面向きに描かれています。ウサギが子どもと向き合って話すという設定を厳守しているからです。一所懸命話しても,ママが自分を見てくれないと,子どもは聞いてくれていないと感じ,やがて話さなくなります。


 ○あまり世間の不祥事にはふれたくありませんが,条例違反や取引法違反というニュースが頻発しています。条例や法というものの重さを弁えず,さらにその向こうにいる善良な人びとを想定外に置き忘れていることが,人格の欠落を露呈しています。言葉を知っていても,それが自分の行動に反映せずに,欲にねじ曲げられているのは,社会人としては失格です。言葉を大事にすることで,身を慎むようにしたいものです。

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