*** 子育ち12章 ***
 

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「第 22-07 章」


『子育ちは 嫌なことにも 真っ直ぐに』


 ■徒然子育て想■
『招福五出(ゴスイ)の法?』

 昔,空海という偉いお坊さんがいました。福を招くためには5つのものを出すようにと教えてくれています。

  1.「大声」を出す:声を出すことで,積極的で元気な人になれます。
            積極的だから声が出るのではありません。

  2.「汗」を出す:汗が出るくらいに動き回ると,健康になります。
           動かないと気持ちも閉じ籠もっていきます。

  3.「息」を出す:呼吸はまず息を吐いて,次に吸い込みます。
           息を吐けば肩の力が抜けて,落ち着きます。

  4.「精」を出す:一所懸命に精進・努力すれば,事は成ります。
           手間暇を惜しむと,中途半端な後悔が残ります。

  5.「不浄」のものを出す:大小便,怨念,不満など溜め込まない。
           不満や妬みはあるものですが,こだわらない。

 いろんなものを出すことで,福が入ってきます。生きる上での収支バランスを子どもにしっかりとしつけてくださいね!



【設問22-07:お子さんの自己実現を助けていますか?】


 ○こんなこと・あんなこと!

 日々の暮らしで,人に迷惑を掛けないように気をつけています。子ども連れは? 寝たきりで入浴などは? 迷惑だと思われないかと我慢させられます。それが社会生活上の普通の優しさでしょう。でも本物の優しさは,弱者や不自由な人が,遠慮しないでよいという受容です。平たくいえば,お互い様です。子どもという弱者は大人に迷惑を掛けていいのです。例えば,子どもが親に気遣うようになると,人の迷惑を拒否するように育ち,本当の優しさは持てなくなります。

 生きている証とは,臭い,うるさい,不潔さにあります。それらは決してマイナス価値ではありません。学校で大便に行けない子どもが多いのは,過剰な清潔感の副作用です。清潔,静寂,無臭,安全であるということは,隔離された生活に閉じ籠もることです。本来は内包すべきものを忌避する習慣が付くと,ひ弱な心身に萎えていきます。例えば,お年寄りを見て「あんなにはなりたくない!」,お年寄りを汚いと思うとき,人情はねじれていきます。自分の行く末が真っ暗になります。

 学生を見ていると,同調型人間と思えてきます。場面に素直に順応し,同調しやすく,自我の表現や批判力に欠けています。例えば,大学入試一本槍で,合格が人生の全てなので,いざ合格した途端に生き方を持ち合わせていません。また,過保護で経済的な貧しさを知らないために,物事の価値や人の苦労に共感できません。与えられた条件の下以外では生きられない,寄生意識に毒されています。将来責任のある立場に立つとき,鬱病になる危険性をはらんでいます。

 ある学生が大学のゼミをあまりに休むので,指導教官が家に電話をしました。母親が出てきて,「今,息子はアルバイトに行き,夜にしか帰りません」と臆面も無く応答します。大学生のアルバイトはゼミに優先するのでしょうか? 何のために高い月謝を払っているのか,退学して授業料分を学生に渡せばアルバイトしなくても済むはずです。大学で学ぶチャンスを私物化しています。学びたい不合格者の権利を奪っているのです。大学に限らず,風潮とはいえ,不誠実です。


 ○ママへのメッセージ!

 テストというのは嫌なものです。でも,勉強すれば結果としてはっきりと現れるので,やり甲斐のあるものです。ところで,子どもが算数の試験で80点でした。ママは尋ねます。「お隣のヨシコちゃんは?」,「90点」。「ダメじゃないの,もっとしっかりしなくちゃ」。「でも,クニヒコ君は60点だったよ」と頑張りを主張します。ママは即座に「人のことはどうでもいいの」。「・・・?」。

 変人とは,どんな人でしょう? 教育現場で価値ある能力とは,良い学校に入学することです。卒業して社会に出ると,挫折は対人関係がほとんどです。良い学校に入ることは変な人になる道かもしれません。個性が尊重されています。それは能力の偏向を招き,突出した能力が個性と思われています。それはいいのですが,育っていない部分は誰かがカバーしなければなりません。親以外は誰もしてくれません。それなりのバランスのとれた能力を備えなければ,社会では変人になります。

 子どもには痛みを与えないように保護するのが親です。でも,子どもは痛みを知ることで育ちます。病気よし,失恋よし,不幸よし,失敗もよし,泣きながらパンを食うもよし,大事なことはその経験を通して自分を人間らしくしていくことです。端的には,人の痛みの分かる人間らしさが育ちます。例えば,熱を出して寝込むから,健康の大事さが分かります。寝込んだ人の辛さを実感できるし,何をしてほしいかも見える優しさを発揮できます。人の能力の限界を自覚することが器を育てます。


 ○「少年よ大志を抱け,この年寄りのように」という言葉を残しているクラーク博士は,細かな学則は制定しませんでした。「余がこの学校に望む規則は Be Gentleman.ただこの一言に尽きる」という指導方針を堅持していました。規則で束縛していては,紳士の教育はできないのです。規則で束縛するのは,奴隷の教育になるからです。言われるからする,それはただの操りに過ぎず,糸が切れたら暴走します。自尊や自立,自制という目標を見失わないようにしたいですね。

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