*** 子育ち12章 ***
 

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「第 23-04 章」


『子育ちは あなたと私 支え合い』


 ■徒然子育て想■
『風土性?』

 流通や交流の分野で見られる国際化や情報化という動きを可能にしている基盤は「普遍性」です。平たく言えば,何処でも通用するという性質です。ハイデガーという学者さんが「現代の特徴は脱世界化である」と書いていました。気取った言い方をすれば,純空間が現れたのです。養老孟司さん流に言えば「都市化」ということになります。世情の傾向でいえば,仮想空間が主流になっていることと符合してきます。

 例えば,メートル法という普遍化があります。何処に行っても,1mは同じ長さであり,1kgは同じ重さです。昔は,尺やフィートなどの単位を使っており,人の身体を基準にしていました。始皇帝は帝国の支配のために度量衡を制定しました。今では国際統一単位になりました。基準となる1mは地球の大きさからある取り決めによって算出された長さであり,仮想的な単位です。

 国際化や情報化は日常生活のイメージとは別の世界のものです。物の考え方が生命や生活という人間性から遊離しているのです。キュウリの曲がったものは流通ルートから廃棄される,値崩れを起こすからと牛乳が廃棄される,そんな仕打ちをもったいないと思う感性を失おうとしています。人は風土の中で生きており,地域性を纏って暮らしています。人が人を人と思わなくなったせいで,信じられない行為が頻発しています。暮らしを本当に豊かにする感性は失わないようにしましょう。



【設問23-04:子どもって,どうして協力しようとしないんでしょう?】


 ○こんなこと・あんなこと!

 リビング。ご飯ですよと呼ばれてリビングに集まり,食事が終わるとそれぞれの場所に引き上げてしまってはいませんか? リビングは食堂ではありません。リビングは一緒に過ごす場所です。家とは寝食を共にする所ですが,実状はホテル化していると指摘されたことがありました。ホテルも寝食を共にしますが,お互いは居合わせただけの関係で,さっさと自分の部屋に閉じ籠もります。生活空間がカプセル化していき,実態としての共同生活が消えれば,協力も無用のものとなります。

 空気の力。人の中では「その場の空気」を感じ取りながら生きています。その結果として集団心理が働き始めます。何か固定した真理の基準を世界の外に置いて,それに照らして善悪をはかるのではなく,いわば「場」そのものから発せられる何かのうちに真の知を見ようとします。「みんながしている」という理由づけはかなり効き目があることになります。家族がお互いに協力して暮らしていれば,子どもはそれが当たり前のことと率先して手伝うはずなのですが・・・?

 小さな手。悪阻のひどいお母さんがいました。幼い女の子がいて,祖母がしばらくの間預かろうと申し出てくれました。どうしようかと思いあぐねているある日,母親がトイレでしゃがみ込んでいたときのことです。フッと気がつくと,背中を小さな手がさすってくれていました。「この子と一緒に産みたい」。母親の気持ちはすっきりと固まりました。幼児であっても,大したことはできなくても,協力しようという気持ちはあります。受け止めてやりさえすれば,いいのです。

 命の連鎖:こんな文章がありました。「私の両親は小学4年のとき離婚し,以来ずっと父子家庭で育った。父がたった一つ,私に課したことは,どんなに遅くなっても夕食を一緒に食べることであった。今思えば父なりの命のバトンタッチであったかも知れない。おかげで私はぐれずに済んだ」。親子とは根源的には命をバトンタッチする間柄です。バトンタッチの瞬間,お互いが都合を合わせるという協力が不可欠です。約束事を守る,それも大事な協力の形です。


 ○ママへのメッセージ!

 家族。一緒に住んでいれば家族でしょうか? 家族の絆というのは,どういうものでしょうか? つながりは,迷惑を掛けないようにそばにいる人に気配りをすることと,お互いに役に立とうと行動することによって結ばれます。下世話に,働くという字は人のそばで動くと書き,端を楽にすると読むといわれます。家庭という場で,それぞれ自分のことは自分ですることから始まり,さらに家族のために何らかの行動することで,家族になることができます。

 依存。何もかもを依存している子どもに,しつけを通して自立を促すのが子育てです。そのことに間違いはありませんが,気をつけておくことがあります。それは依存することをいけないことと思わないことです。依存と自立は反対概念ではないからです。依存しないことが自立ではありません。同時に併存することです。相互依存することが互いに自立していることです。忙しいママは子どもに依存しましょう。手伝ってもらえば助かる,それが協力ということをしつける道筋です。

 気配り。社会生活では,自分の存在性を保持させるために,嫌われないように気配りして暮しています。この自己防衛的な気配りは,かなりの緊張やストレスが付随します。疲れて耐えきれなくなったり,分かってもらえないことが続くと,拒否的になり閉じこもりや破壊行動を選ぶようになります。多少のことは許し合える,叱られても嫌われることはないという,密接な信頼関係をつくることが大切です。それは協力しあうという持ちつ持たれつの関係です。家族の関係も同じです。


 ○人づきあいというのは難しいものです。相手を認め,かつ相手の重要度の増加を感じさせる法則というのがあるそうです。
   ・丁:どんな相手にも丁寧に接する
   ・賞:相手を心から誉める
   ・感:感謝する
   ・微:微笑を絶やさない
   ・名:相手の名前を呼ぶ
 誰にでもできますが,やられていないのではないでしょうか? 慇懃無礼であったり,下心で褒めたり,口だけの感謝,ムスッと渋い顔,お前は!? 意識してやってみることです。そのうち身につきます。世間が明るくなってくるはずです。

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