*** 子育ち12章 ***
 

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「第 25-08 章」


『子育ちは 自分の力を 皆に向け』


 ■子育て一言メモ■
『協働できる能力に価値』

■協働のためには,引き受けた役割を果たす責任と同時にお互いの役割を尊重し,相互信頼をベースにすることが大切です。世間は持ちつ持たれつなのです。

■能力の使い道には,善悪の二つ道があります。選択を間違えないためには,善いことを好む感性を持つことが不可欠です。

■価値観の多様化は細部へのこだわりになりがちです。大事な価値は社会的に共有できる大きなこだわりであることを忘れてはなりません。

■自分のためは本能ですが,皆のためはしつけ・教育によるものです。大人からの働きかけがなければ価値観は伝わりません。

■能力の善い発揮は,「ドウゾ」というギブの行動によって始まります。「アリガトウ」というテイクの行動は後から続いてくるものでしかあり得ません。順序を逆にすると闇の作法になってしまいます。

■生きていく力はドウゾの行動ができることであり,そのしつけは親・大人がアリガトウと受け取る機会を作ることで可能になります。指示したり命じてさせていてはアリガトウの励ましが出てきません。



【指針25-08:皆と協働しようと努める中で育っていきます!】


 ○こんなことはありませんか?

★僕の友人のT君。とにかく人に気をつかうことで有名な彼。年末に15人くらいで忘年会に行ったときのこと。気の利く彼は,1人1人に割り箸を割ってから渡していた。気が利きすぎです。

 小さな親切大きなお世話と揶揄される場合があります。親切でしてあげることが,相手にとって自分でできることであるときに,余計なお世話になります。子どもが自分でできることを親がしてあげてしまうと育ちにとって余計なお世話になるのと同じです。

★先日,スーパーで子持ちししゃもを買った。さっそく焼いて食べたところ,卵がまったく見あたらない。パッケージをよく見たら,「子持ちししゃも(おす)」とかいてあった。なんとなく,納得いかない。

 ししゃもの販売会社は(おす)という但し書きを付していたようですが,子持ちという名前とミスマッチが起こっています。それが公然と罷り通っていることは不思議です。世間では常識と違うこともあるようです。誤解を招く商品販売は「ドウゾ」の心が欠けていると言わざるを得ません。

★小学生の頃,友人の家へ遊びに行ったら,友人が錠剤を飲んでいた。私:「何の薬?」,友人:「セイチョウザイ」。クラスで2番目にチビの私は母にねだったが買ってもらえなかった。チビなのは母がケチだからとずっと恨んでいた。大人になってセイチョウザイは成長剤でなく整腸剤だと知った。

 チビであることを嫌だと思うのは,そう思わせる周りからの有形無形の働きかけによります。その背景には子どもたちが同年齢の集団に置かれ,その中だけで比較を受けているからです。逆にノッポであることを嫌だと思うこともあるでしょう。背丈の大きい小さいは個性として認めてやることです。

★僕は土木作業員。朝,「あぶないからはいってはいけません」の看板を立て作業を開始!しばらくして幼稚園児の散歩集団が目の前を通過した時,1人のお嬢ちゃんが「入ってはいけませんって書いてあるのに入ってる〜」と言い出し,「い〜けないんだ〜いけないんだ〜」の大合唱。慌てふためく保母さんに,泣き出しそうな僕・・・冗談で園児に「ここから出たほうがいいかな?」と聞いたら,「そのほうが身のためだよ」と言われた。

 幼い子どもには例外という概念はありません。誰であろうといけないことはいけないのです。ただし,「い〜けないんだ」と言っているとき,それは自分に対する確認にもなっています。自分たちは決まりを守って我慢しているのにということを訴えています。大人が思うほど糾弾の意味合いはありません。

★去年、小1の息子が夏休みの宿題で「おうちでお手伝いをしたことをかきなさい」というところに「妹を育てた」と書いていた。

 育てたとは大げさな物言いだと大人は感じますが,子どもにすればあれこれ世話をすることが育てることなのです。自分が親に育てられている経験を振り返るとき,世話をしてもらっていることしか思い浮かばないのです。下の子に向き合うことで,皆の手を受けて育っていることを自覚する機会を得ています。

★電車のなかで。私:「子どもは足が強くなるように,電車の中では立っていなさい」。子ども:「じゃ,おじいさん,おばあさんは足が強くなったから座っているんだね」。私:「・・・・」

 皆との暮らしの中ではいろんな場面でこうこうすべきであるという約束事があります。子どもにはそのわけを理解できないものもあります。とにかく今は守らなければならないとしておき,納得は先送りすればいいのですが,それでも何とか「どうして?」に自答しておきたくなります。上手に誘導してやることです。

 ●上記の★項のエピソードは「まぐまぐVOW」を参照しています。感謝!


 子どもは皆のお陰で育っていきます。そのことをきちんと自覚させることが疎かになっているようです。世話をしている親が直接に「誰のお陰で」と迫っては逆効果です。間接的にそれとなくそうだと気付かせることが大切です。例えば,親の苦労を親以外の人が子どもに語るということです。皆との関わりをしっかりと弁えることができたら,自分の力をドウゾと皆に向けて発揮するようになります。それが社会性のスタンスです。人のつながりを普段から意識しておくことです。

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