*** 子育ち12章 ***
 

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「第 25-12 章」


『子育ちは 見て考えて やってみて』


 ■子育て一言メモ■
『学習は育ちの幹』

■失敗するからできない自分に出会い,反省の末にその原因を見つけようと考えます。間違いは周りにいるお手本と比べると分かります。真似ることが学ぶ原型です。あのようにすればできるかもしれないと期待して自分で挑戦します。失敗,反省,学習,挑戦,この4サイクルが育ちのエンジンです。

■人と協働する社会に巣立っていくためには,基本的な能力,いわゆる読み書き計算の力を持ち合わせておくことが必要です。それは教われば身につきます。おもしろくはありませんが,義務教育を名目ではなく,実力面で卒業することが最低限の知恵の育ちです。

■失敗すると気持ちがいくぶん追い詰められますが,やがてもう一人の自分が何とかしようと考えるモードに入ります。すぐに誰かに尋ねるのではなく,自分の頭で考える癖を付けること,それが今の子どもに育っていない弱点です。皆の知恵は考える過程を経て自分の知恵に転換するのです。

■情報社会で育っている今の子どもはたくさんのことを知っています。しかし,自分で使える知恵になっているものは,実のところとても貧弱です。マニュアルから少しでも外れた事態に出会うと,途端にパニックに陥ります。考える力は可能性を見つけるためにあることをしつけられていません。

■何らかの行動をする場合には,結果を予測し選択することが必要です。考え無しの行動は自他共に危険です。走ったら危ない,それは予測することで納得できます。いろんな行動の事例は皆の経験を共有すればたくさんあります。良い事例と悪い事例をペアで知っておけば,正しい選択は簡単です。

■知恵とは,皆に共有されている学びの成果です。どんな思いつきでも,皆が納得できる証明ができなければ知恵とはなりません。社会的知恵は常識として皆に共有されているから意味があります。独りよがりの考えは社会では危険になります。



【指針25-12:皆から知恵を学び取りながら育っていきます!】


 ○こんなことはありませんか?

★小3の息子の理科の宿題をみてやった。「いくつかのふしに分かれているのは、ア.頭、イ.胸、ウ.腹、のうちどの部分ですか?」という問題があった。答えは腹だがそれがわからない。私は「答えは"腹"だろー、お母さん見てみろ」と言ってしまった。息子は思いっきり納得していた。生涯忘れないだろう。私はどつかれて痛かった。

 知識は自分の知っている事象に結びつけたとき知恵になります。「生涯忘れないだろう」という感想は正しいのです。ただ,昆虫の節について考えるとき,おかあさんの腹が真っ先の変換候補として思い出されるでしょう。身近なものに連想して理解すれば,整理された記憶になり使いやすくなります。

★先日、主人と大阪の USJに行った。入り口で全体の地図をもらって回った。アトラクションがひとつ終わる度に地図を広げた。でも、どれだけ探しても現在地がわからず移動が大変だった。主人もわからないと言うし、老眼を呪った。が!…地図に「現在地」と書かれているハズがない事に気が付いたのは半日過ぎてからだった。

 地図の中の現在地は,周りの目印を見つけなければ判断できません。身近な目印と自分との関係を観察した上で,地図の利用が可能になります。自分だけを見ていては判断しようがありません。社会的な自分の立場も,身近な周りとの関係を通すことで見えてきます。

★おねしょをしていたことがバレて、母にお説教をされていた5歳の弟。延々と続くお説教に頭をたれて聞いていたが、「ちょっと、裕君、反省してるのっ?!」のヒステリックな声に一言、「いやぁ、ちょっとした出来心ですよ」とのたまった。将来が心配だ。

 子どもはテレビ学習をします。こんな時はこう言えばいいと覚えていきますが,大人の口調をそのまま口にしているので,自分の言葉になっていません。「のたまった」という受け止め方が子どもらしくないということを示しています。知識はありますが,知恵にはなっていません。

★娘(小4)の授業参観に出かけた妻は掲示板にあった「家庭のゴミ調査」に、粗大ゴミ「犬の毛布」、燃えないゴミ「焦げたなべ」と書かれているのを見て「こんな物を書く子もいるのねぇ」などと話をしていた。が、ゴミ回収で、「粗大ゴミは回収できません」と張り紙をされて回収されなかった愛犬ビー助がびりびりにした毛布と、うっかり焦がしてしまった鍋を燃えないゴミの袋に入れたことを思いだし絶句したらしい。

 子どもが知恵を仕入れる先は,身近な家庭です。子どもは知恵を具体的な事例として仕入れるので,表現されたときは生々しくなります。家庭の様子が丸裸にされます。でも,そうであることが子どもの知恵の獲得パターンなので我慢するしかありません。

★先日友だちがタバコで停学をくらった。停学が始まった翌日「世界禁煙デー」の標語募集で、その友だちが入賞した。学校では、先生も生徒もやはり経験にもとづくのが一番という結論に達していた。

 経験していないことの理解は浅いので,その表現も訴求力が欠けるのは当然です。ただ,してはいけない経験もあるのが問題です。タバコの迷惑を受けた経験は生徒もしているでしょうから,その面からの標語は生徒に求めても良いでしょう。

★息子5歳。連れてったこともないのに居酒屋メニューが大好き。将来は酒豪を約束されています。はじめて水族館に行った時、巨大水槽の前で叫びました。「ママー!ホッケとシシャモはどれー!?」。家で、「水族館にはね、お魚がたくさんいるんだよー」と言った時のあのウレシそうな顔の意味がわかりました。

 子どもにとっては,身近な世界を知ることが最優先されます。見たこともない水族館の魚など想像することもできません。魚=美味しい魚,その限られた知識の世界を広げるために,水族館という間接的な世界を観る機会は大切なことです。触れる経験は釣りなどの遊びで補ってやりましょう。

 ●上記の★項のエピソードは「まぐまぐVOW」を参照しています。感謝!


 かわいい子には旅をさせよ。子どもの世界は,母の胎内から親の膝,親の目の中,家の中,家の近く,近くの公園,通う園,学校区,買い物圏,段々に広がっていきます。たくさんの人や物事との新しい出会いがあり,さまざまな経験をしていきます。そこでは,人がしていることをじっと観察し,少しずつ自分も真似て,慣れて,溶け込んでいきます。その過程が学びと挑戦になります。親は子どもが皆の中で育っている姿をハラハラしながら見守っていればいいでしょう。

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