*** 子育ち12章 ***
 

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「第 26-05 章」


『子育ちは 五感を使って 言葉知り』


 ■子育てショートメモ■
『読み書きはワンセット』

 読むことはできますが書くことができない文字があるはずです。
  パソコンなどの情報機器を使うと書けていた字も忘れていきます。
   手紙が減ってメールで済ませる環境に変化して文字が軽くなりました。

 紙に書くという動作は脳がフル活動をすることによって可能になります。
  紙の何処に,どの大きさで,漢字か,ペンの持ち方は,揃えて・・・
   ケイタイでは一部しか脳が働かず,機能の発達は期待できません。

 手紙を書くためには手間が掛かり,ひいては時間も掛かります。
  その時間の余裕に相手とゆったりとした対話ができます。
   途中で思い直すといったことで気配りを込めることもできます。

 ケイタイでは一時の気持ちでサッと書けてスッと送信してしまいます。
  言葉を吟味する余裕がないために,気遣いが欠けてしまいがちです。
   メールでの悪口がいじめの一手ですが,お手軽さの落とし穴です。

 文字を手で書けば,美しい言葉を美しく書きたいと感じるはずです。
  悪口雑言を自分の手で形にするのは気持ちのよいものではありません。
   言葉に対する感性は文字を手で書くことによって培われていきます。

 言葉のしつけとして幼児の頃からの読み聞かせが流行っています。
  その次のステップとして聞き書きをさせることが必要です。
   言葉を身体で覚えて感じるようになれば美しい言葉になります。



【指針26-05:言葉を知ろうとする子どもに育てたいならば!】


 ○言葉を知るとは?

 いわゆる堅い話を聞いていると,眠くなります。十分に理解できないので,話し声が無意味な雑音になっています。しばらくするとイライラしてきます。そこでつい茶々を入れたくなります。「何をかっこつけてしゃべっているんだ,分かるように話をしろ」とか,ささいなことで揚げ足をとったり,勝手なヤジを飛ばして壊そうとします。逆に話す立場になると,人前でうまく話せないという緊張感があります。きちんと使える言葉を持ち合わせていないという自信の無さが露呈します。

 ムカツクという言葉はさまざまな場面で使われています。年配者に叱られたとき,親に要求を蹴られたとき,渋滞に巻き込まれて遅れたとき,友人に頼みを断られたとき,自分の思い通りにならないことはすべて「ムカツク」のです。自分の気持ちを吐露するだけで,伝える力がほとんどない言葉です。その他の単語表現もありますが,それらはただのため息なのです。それぞれにふさわしい言葉を使うということを普段から意識して言葉を磨いていないからです。

 人は言葉を使って考えることができます。言葉を知らないと考えることができません。教科書には知らなかった言葉がたくさん出てくるのも,言葉が知識だということの証拠です。さらに言葉をきちんとつなぐことで一つのまとまった考えができあがります。言葉を知り,言葉を積み上げていくことが,学ぶということです。少ない言葉しか使えないならば,その組まれた考えも単純になってしまいます。

 人と人を結ぶ対話は言葉のキャッチボールです。そのことは自明のことですが,家庭で実行されているとは言い難い状況です。特に親は子どもの言葉をきちんと受け止めていないのです。夫婦の会話も途切れがちかもしれません。相手からの言葉を受け止めた上で,それに寄り添う自分なりの言葉を投げ返せばいいのです。お互いの言葉がつながっていくことで,言葉が共鳴して意味が磨かれていきます。「そんなくだらないことは」,「取りあえず」と聞く気がないというメッセージは御法度です。

 言葉を覚える方法の一つとして,歌の歌詞を覚えることがあります。好きな歌を楽しむついでに,言葉のつながった文章を自然に覚えていきます。本を読むときには,声に出して読むようにします。目で読む黙読は成長してから後のことです。文章のリズムを身体で覚えておくと,話す・書くという表現が楽にこなせるようになります。文章を書く場合にも,言葉のリズムが次の言葉を引き出してくれるようになります。



 死ね,ウザイ,キモイ・・・。そんな汚い言葉を口にすれば,気持ちが悪くなるはずです。それが普通の感性ですが,子どもたちは自分の言葉に対する感性を失っているようです。その自己チェックができないために,人に向けた言葉に責任を持つ気もありません。言葉は常に人と人の関係の中にあります。そのことを幼いうちからきちんとしつけておかなければ,友達もできず,家族も持てなくなります。気持ちが通い合う至福を知らない怖さです。そんな言葉の力を次号では考えます。

 1912年から2006年までの子どもの名前ベストテンで最も多かったのは,「清,幸子」であったと,昨年のテレビ番組「とくダネ」の中で伝えられていました。女子の名前から「子」の字が消えたのが1970年代からだそうです。最近は漢字の意味よりも,読みに当て字をする傾向があるようです。どう読むのか文字を見ても分かりづらくなってきました。若い親御さんたちの文字感覚が意味から逸れて記号化しているのは,書き言葉離れから生じる結果です。


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