*** 子育ち12章 ***
 

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「第 26-06 章」


『子育ちは 喜怒哀楽を 共にして』


 ■子育てショートメモ■
『白紙からの視点』

 何か書きたいときには,白い紙を持ちだして色のついたペンを手にします。
  答案に何も書けないときは,白紙のまま提出することになります。
   自分で決める権利を放棄するときには白紙委任状を差し出します。

 感性の限界を超えた状況では,真っ白になるという表現がなされます。
  白は無色として背景になるから,他の色はそれぞれの意味を発揮します。
   青色の紙に黄色を描くと緑になって,別の色に変質します。

 喜怒哀楽という気持ちは,素直な落ち着きが背景にあって色づきます。
  食事の美味しさもご飯やパンの無味であることを背景に際立ってきます。
   何事もない平凡さが日常にあるから,感動への感度が高まります。

 かなり昔,無責任・無関心・無感動の三無が若者の特徴と言われました。
  世間のさまざまな商業的な過剰刺激に曝され,背景が色づいたためです。
   甘いものばかり食べているから,甘みの感度が鈍くなるのです。

 忙しい暮らしに追われて,すぐにサッサとできることばかりしています。
  気持ちを積み上げてグ〜ンとはじけるような感動は得られません。
   月曜日から金曜日までがんばるから,土・日曜日がうれしいのです。

 当たり前になっていることの大事さは,失ったときに思い知らされます。
  当たり前のことを普段から大切に感じ取ることが気持ちの豊かさです。
   何もない白紙の背景を感性の底にしっかりと持ちましょう。



【指針26-06:気持ちを表現できる子どもに育てたいならば!】


 ○気持ちを表現するとは?

 絵画の塾に入った少女は,チューリップの球根を渡されました。家の庭に植えて毎日毎日心を込めて水をやり,世話をし続けてました。花が咲いたときの感動が,画用紙に描かれたチューリップに生命を与える力になりました。決して上手ではありませんが,数ヶ月共に過ごしてきたチューリップの生命との共感が絵心になります。見た目の形だけを整えるのではなく,芽が出て茎が伸びてつぼみが膨らんで花が咲いたというすべてを描き込めるのです。

 お話しは起承転結という流れに沿って組み立てられています。手紙は,拝啓から始まり,時候のあいさつ,近況報告,用件,結び,敬具という形式があります。電子メールでは用件のみを書くことが推奨されています。この二つの伝達方法の違いは,手紙では相手への思いやりがあり,電子メールでは自分の思いをぶつけるだけで相手への気配りがないということです。気持ちの表現は,自分だけを押し出しては失礼になります。この礼を失するというマナー感覚が伝わる表現の要なのです。

 叱咤激励という手を使うことがあります。特に親は子どもを叱ることで発憤させようとします。この手が有効になるためには,子どもの側に条件があります。確かな目的を自覚しているということです。例えば上手になりたいという気持ちがあれば,叱られてもそれを乗り越えることが上手への道と受け取ります。それ以外の普通のしつけにおいては,いけないことを叱り,してほしいことはほめるという使い分けが大事です。親の気持ちを的確に表現してみせることが手本としての親の役割です。

 子どもたちにとって当たり前の環境であるテレビの影響は大きいものです。どの番組も関心をぐっと盛り上げて,いったんCFと水を差します。気持ちの高揚を逸らされてばかりいると,感情移入回路が壊されてしまいます。最も困ったポイントは,テレビは反応をしてくれないということです。こちらの気持ちなどお構いなしに,一方的に押し付けてきます。表現とはただ押し付けておけばいいという風に思いこんでいきます。相手との共感など想定外のことになります。

 人は喜怒哀楽を感じたときには,黙っておられずに何らかの表現をします。独りでいるときには,感動しても虚しくなります。表現とは誰かに共感してもらうためにあるものです。子どもの表現は少し外れたところもありますが,きちんと受け止めて,より良い表現に翻訳してやりましょう。その手間を掛けることが共感の素朴な形になります。心が通う表現を楽しいと知れば,やさしく美しい言葉遣いを自然に身につけていきます。



 お天道様に恥じない生き方があります。夜型の生活に慣れてしまうと,物事の考え方が闇に染まって裏をかくことが得だと勘違いするようになります。昼間の明るいところで堂々と生きるようになれば,何処でも生きていけるという可能性を広げることができます。次号では真面目さについて考えてみることにします。

 子どもは汚い表現をする時期があります。人が聞いて不快を感じる言葉は,聞き入れてはもらえません。あからさまに拒否をされます。その反発があるとき,罵詈雑言を発した方が不快になります。その体験が汚い言葉を使いたくないという歯止めになります。大切な言葉のしつけの時期と思って,嫌な気持ちをきちんと伝えてください。


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