*** 子育ち12章 ***
 

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「第 26-07 章」


『子育ちは ことを真面目に こなしつつ』


 ■子育てショートメモ■
『継続は能力の鍵』

 何らかの技を身につけようと思い,見よう見まねで始めてみます。
  そこそこまではできるようになりますが,途中で投げ出してしまいます。
   上達の速度を鈍らせる見えない壁のようなものが現れてくるからです。

 お稽古ごとも同じで,うまくできない壁に挑む真面目さが必要です。
  階段のように踊り場があって,進み続けなければ次の階段に届きません。
   そこを通り過ぎる辛抱ができるかどうかが,上手下手の分かれ道です。

 小さな壁を一つずつ着実に突き抜けていくと,新しい世界が拓けます。
  高いところに登っているので,より遠くまで見渡せるようになります。
   難度も高くなりますが,同時に技の面白さも感じることができます。

 できる人に尊敬の念を抱くか,妬むか,できる人のせいではありません。
  自分がどれほど真摯に努力しているかどうか,その裏返しです。
   悔しかったら,それを自分に向ける勇気に変えることです。

 どんなことでもいいから,一つのことをやり続けることです。
  途中で休んでもいいから,思い出してまた挑戦してみることです。
   一つのことに少し自信が持てたら,それが自分の能力になります。

 目端が利くとか,要領よく出し抜くといった裏技は間に合わせです。
  じっくりと手を掛ける表技を持てば,真っ直ぐに生きられます。
   目の前にあることを後回しにせずに,今取り組むことが賢さです。



【指針26-07:真面目を大事にする子どもに育てたいならば!】


 ○真面目を大事にするとは?

 好きなことを仕事にして暮らしていけたらいいのにという声を聞くことがあります。一方で,好きなことは仕事にしない方がいいという意見もあります。どちらにも一理があるのでしょう。若い人は好きなことを生かしたいと思っているようです。自分にあった仕事を求めているために,就職先が見つからなかったり,就職しても思っていた内容と現実は違うといって退職する傾向が見られます。

 仕事とはいったい何なのでしょう? 働いてお金をもらうための手段でしょうか? そのお金はなぜもらえるのでしょう? 誰がくれるのでしょう? かつてお客様は神様だと三波春夫という歌手が言っていました。お金はお客が払い,受け取った会社が社員に給料として回していきます。仕事は会社に向けてするものではなく,お客様に向けてするもの,人を喜ばせるためにするものです。決して自分が楽しむためではありません。

 好きな仕事といえば聞こえはいいのですが,趣味まがいの仕事をされたら,お客はその対価としてお金を払いたくはありません。大学や専門学校に進むのはプロになる修練のためなのに,卒業して就職するまでは自分のための自由な時間と勘違いしています。諸外国の学生とは進学の覚悟が違っています。最も伸びる時期を無為に過ごしていては,職業人としての格差がついてしまいます。自らの将来を狭めているようなものです。

 真面目とは物事のあるべき姿にきちんと気持ちを添わせることです。あるべき姿とは,社会的に共通理解されている信頼につながる形です。手抜きはしない,最善を尽くす,それらのことは自分のやるべきことが関係する他者に信頼されるに足るものになる最低限の自己管理です。ママが食事の用意をするとき,家族に美味しいものを食べさせたいと真面目に調理するのと同じです。いい加減にしていたら,信頼を失います。

 子どもがお手伝いをするときも,すればいいんでしょうと真面目さを失っていたら,かえって迷惑になります。学校の勉強でも,自分のためと思うから,面白くもないし,しなくてもいいやと逃げていきます。真面目に勉強して知恵を付けることは,人として仕事ができて,信頼関係を結ぶ上で不可欠なことです。好きなことには他者に対する責任がありません。仕事や生きることには責任が伴うという大事な要素があるのです。さらに,やり甲斐は責任を引き受けなければ得られません。



 美味しい食事の後には,台所の流しに切れ端や残滓が残ります。油にまみれてべったりとしています。汚れた食器という言い方がありますが,食器は汚れているのでしょうか? 食べ物がくっついているだけです。なめてもいいようなものです。食べ残した途端に汚いとは,理不尽です。台所には何一つ汚いものはありません。汚いという感覚を間違えているから,きれいという感覚が狂ってしまいます。美しさも見失わないようにしたいものです。次号のテーマです。

 日本の子どもたちが大切だと思っているのは物です。よその国の子どもは違っています。家族です。お金で買える物などではなく,お金で買えないかけがえのないものです。何が価値あるものか,しっかりと弁えています。最近のテレビがまき散らすセレブや高級料理への見せつけに踊らされているようでは,幸せへの道を踏み外すことになります。心の貧しさはブランド品で誤魔化すことはできません。子どもたちに後悔させないようにしたいものです。


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