*** 子育ち12章 ***
 

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「第 27-01 章」


『子育ちは 自分のことは 自分で決め』


 ■子育てショートメモ■
『子育ちの第1方位』

 子育ちの第1方位は,誰が育っているのかという指標です。
  自意識の芽生えとか物心がついたといわれる状態のことです。
   羅針盤では,もう一人の自分が育つと言い表すことにしています。

 読書をしていて主人公に同化できるのも,もう一人の自分です。
  子どもが仮面ライダーになりきれるのも,もう一人の子どもなのです。
   ままごと遊びでママの真似ができるのも,もう一人の子どもです。

 日記を付けていると,過ぎ去ったときの自分を振り返ることになります。
  自分を直視するために,もう一人の自分が目を覚まします。
   反省ができるためにも,もう一人の自分が育たなければなりません。

 自尊心はもう一人の自分が自分を大切にしたいと思う気持ちです。
  恥ずかしさも,見られている自分を見ている自分が居るからです。
   夢の世界で遊んでいるのも,もう一人の子どもです。

 朝眠たい自分に向かって起きなければと指示するのがもう一人の自分です。
  明日が楽しみだとワクワクするのも,もう一人の自分です。
   転んだ自分を励まして起き上がらせるのも,もう一人の自分です。

 もう一人の子どもは,母子分離をする幼児期に誕生します。
  このもう一人の子どもを育てるのが,育ての親なのです。
   産みの親から育ての親になることが期待されています。



【指針27-01:もう一人の子どもが育つと知っておいてください!】


 ○干渉から指導へ

 できない自分にいらついてしまうのも,もう一人の子どもです。自分に対してもう一人の自分が腹を立てます。ところが,ものや他人のせいにして八つ当たりすることがあります。もう一人の自分ができない自分を認めたくないからです。子どもにも幼いプライドがあるということです。腹を立ててもできないことはできません。そこで止めたと途中で放り出します。できないことから一時退却です。それでいいんです。その繰り返しで,もう一人の自分は今の自分の力を認識していきます。

 飛び出すと危ないからと気をつけることができるのは,もう一人の自分が自分を守ろうとするからです。自分が飛び出してぶつかるというシーンを思い描くのはもう一人の自分です。幼い子どもは何も考えていないと見えるのは,もう一人の子どもがまだ未熟だからです。考える自分,それがもう一人の自分なのです。日常の体験やお話しの世界を覚えているもう一人の子どもが,そのシーンに自分を置き換えて考えることで何が起こるかを理解できるようになります。

 何かいたずらをしたいときに,ママがいけないといっていたからと自制できるのは,もう一人の子どもがいるからです。もう一人の子どもがママの意向をくみ取っています。幼い頃は母子一体感があるので,産まれたばかりのもう一人の子どもは,ママに同化するしかありません。自分をどう扱っていいのか経験がないからです。ママがもう一人の自分の代理人なのです。しかしながら,やがてママの言う通りにならない自分を持て余すようになってきます。反抗期です。

 反抗は子どもの育ちの必要課題です。素直な子ども,聞き分けのよい子どもが時として豹変するのは,抑え込まれた反抗の暴発とも考えることができます。親の言うことを聞いていればいいという状況は,もう一人の子どもを追い出して,親が支配するという占領行為です。子どもを操っている,あるいは取り憑いているという状況になります。自分のことはもう一人の自分が決めるという独立宣言,それが反抗期の基本的な意味です。できるだけ子どもに任せてみる機会なのです。

 もう一人の子どもを育てるためには,もう一人の子どもに考えさせて,決めさせて,やらせてみるという余裕を持つことです。さっさと済ませたいという親の気持ちが指示命令になっていきます。親はそれを指導と思っていますが,子どもの立場ではそれは決定権を奪っている「干渉」になります。「指導」とは教え導くことですが,それを受け入れるかどうかはもう一人の子どもが決めることです。成長に合わせて,決めさせてみるという機会を持つようにしてください。



 人づきあいが上手ではない子どもたちが増えているようです。自分と他者の間合いの取り方をディジタル化しているのであれば,1=仲良くする,0=無視する,のどちらかであるはずです。ところが,さらにエスカレートして,1,−1の間で振れているようです。好きか嫌いか,好きでなければ嫌いと逆転してしまいます。好きでも嫌いでもない0という中間を欠いています。味方か敵か,そんな物差ししか持たないと,人づきあいは破滅します。人の間合いについて考えます。

 4月は出会いの月です。今年の学生はどんな雰囲気を持っているのか,楽しみです。クラスの雰囲気が良いか悪いかは,数人の学生のあり方で決まってきます。普通にはワルの方になびいていきます。そちらが楽しいのか楽ができるのか,易きにつくのは仕方がないようです。真面目な態度は煙たがられ,寄りつこうとしない傾向がありますが,それがやがて自分の後悔になることを諭しても,学生の年齢では手遅れだと思い知らされています。


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