『子育ちは 頭と手足 フル稼働』
■子育てショートメモ■
『子育ちの第7方位』
子育ちの第7方位は,何が育てばいいのかという指標です。
生きる力と言われている,様々なできる能力を身につけることです。
比較される能力ではなくて,生きるために必須の能力があります。
もう一人の自分は言葉を糧に知識というソフトを取り込んでいきます。
そのソフトによる機能を自分というハードを通して発揮していきます。
それができたときもう一人の自分が自分を信じることができます。
子どもは親や周りの子ども,大人のすることをじっくりと見ています。
あんなことができると分かると,自分もやってみたいと手を使います。
思い通りに行動できると,機能を使う快感が刺激され楽しいのです。
ゲームの世界にはまりこむと,ヒーロー気分でどんなことでもできます。
視聴覚の世界は仮想世界ですから,万能感を楽しむことができます。
現実世界での育ちとのギャップが大きくなると閉じこもります。
できるようになったときのあの得意そうな笑みは,育ちのご褒美です。
できないときのじれったさは,意欲につながっていく活力の表れです。
親からの手助けを断り,自分でするという健気さがなにより大事です。
子どもは無理なことや無茶なことを何の躊躇もなくしようとします。
思ったり考えたりしたことがそのままできるものと勘違いしています。
自分のできる力の限界を見極めるように導いてやってください。
【指針27-07:知る力よりできる力を目指すよう導いてください!】
○視聴覚から触覚へ
呪文を唱えたり,スイッチを入れると願いが叶うおとぎ話は,大人には荒唐無稽と退けられますが,子どもは大好きです。ドラえもんの「どこでもドア」があればいいなと思います。その背景にそんなものはないという現実感があるから,願望になります。思いっきり現実離れしていれば,願いであることが自覚できます。しかし,日常の中でも思うこととできることの間には大小のギャップがあります。それを分かっていなければ,日々の育ちが疎かになります。
試験前の一夜漬けは誰でも経験しているでしょう。夏休みの宿題は31日にまとめてやればいいという先送りも,お馴染みのことです。でも,思ったようにはいかないというのが現実です。自分にどれほどのことができるか,自分の力を過大評価したくなるものです。思う自分と現実の自分のギャップがそこに現れてきます。できる自分は一朝一夕に完成するものではありません。毎日の小さなできることを積み重ねることが力の源なのです。
みんなができるのに,自分だけができないという場合があります。ママがもっとも気にすることです。口では何でも言えますが,行動として実践する段階には壁があるものです。その壁は練習という面白くない足踏み状態の我慢で突き抜けることができます。できるようになるまでの練習量は一人一人違います。なかなか効果が現れない場合もありますが,それは決して無駄にはなりません。がんばった体験ほど後になって役立つものはないからです。
見たり聞いたりすれば,知ることができます。「それ知ってる」。でも,見ただけでは中身は分かりません。カタログで見ただけで,品物のよしあしは分かりません。ママが生鮮品を買うときには必ず触ってみます。さらには,実際に食べてみて味が分かります。料理も実際に手作りをしないと,美味しさの生み出し方は分かりません。言葉だけの仲よりも,抱きしめ合う仲の方が分かり合えます。頭の理解ではなくて,身体の納得が生きる力になります。
こんなことが言えるようになった。言葉を覚えはじめのころは,親はそう思います。それはもう一人の子どもが誕生している証です。それはいいのですが,そこからさらに,自分と二人三脚で育たなければなりません。したいと思うもう一人の自分と,それができる自分,そのペアが揃わないと子育ちはぎくしゃくします。心身が一致した育ちと考えていただいてもよいでしょう。できたね! その励ましをたっぷりと与えてやってください。
世間のトラブルや事件は,自分勝手な生き方が根源に隠れていて,人を利用しようという卑怯な振る舞いが現れてくるからです。その背景には自分を大切にするという言葉に振り回されている幼さがあります。皆の中で自分を大切にするという前提がすっぽりと抜け落ちています。「人は社会的な動物である」という共通認識がなければ,生き方の指針に歪みが生じます。振る舞いの向きが曲がっているので,暴走になり,衝突は免れません。次号では,自分の生かし方を考えます。
子どものできる力の育ちは,それぞれに程度や時期の違いがあります。何歳ではこれこれができるという目安が聞こえてくるでしょうが,例えば,いつもできる,時々できる,できかかっているといった程度がはっきりしていません。いつもきちんとできるまでには時間がかかります。余裕を持って見守ってやることです。大人でも焦るとできることでもできなくなります。育ちは日々見えるほどの早さで進むものではありません。だからといって,放っておくのはいけませんが。
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