*** 子育ち12章 ***
 

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「第 27-08 章」


『子育ちは 共に生きてる 思い持ち』


 ■子育てショートメモ■
『子育ちの第8方位』

 子育ちの第8方位は,能力を生かそうとしているかという指標です。
  生きるために使われる能力も使い方を誤ると身を滅ぼしかねません。
   腕力が強いからと,奪う人になると,その手は後ろに回ります。

 空手やボクシングなどの格闘技は,試合場以外の使用は封じられています。
  鍵屋さんの腕も勝手によその錠前にその技を使うことはできません。
   レーシングカーで一般道を疾駆することはできません。

 早く走れるからといって,図書館の中を走り回っては迷惑になります。
  ボール投げができるからといって,屋上から放り投げては危険です。
   能力を発揮するにはそれにふさわしい時と場所が限られています。

 歩道を突っ走る自転車は歩行者を障害と勘違いする愚かな運転者です。
  優しさをえさにして虎の子をかすめ取る卑怯者も後を絶ちません。
   人を邪魔にしたり利用しようというねじれた所業は悪行です。

 能力を社会の中で使う場合,マナー・ルールの遵守が最低限の条件です。
  能力を生かすとは,自他共に喜びを招くようにすることなのです。
   そこから思いやりや和やかさが漂ってくるようになります。

 子どもは自分が生きるために懸命に育ち,能力を身につけていきます。
  やがて独りでは生きていけないことに気づき,共同することを学びます。
   子どもと一緒に生きる場面をたくさん経験させてやってください。



【指針27-08:人を生かすことが自分を生かすと教えてください!】


 ○自助から共助へ

 人は迷惑をかけないように暮らしています。そのために自分のことは自分でできるようにならなければなりません。「自分のことは自分で」と,子どもはしつけられます。基本的な生活能力を身につける必要があるからです。子どもにお手伝いを頼むと,「自分のことは自分で」と切り返されるという笑い話があります。このすれ違いをさりげなくクリアしておくことが大切になります。自分のことを狭く頑固に限定しないように,ゆったりと考えるようにすることです。

 少子化は兄や姉という役割をなくしていきました。一人っ子になって身近な競い合いがなくなりました。きょうだいげんかをする中で,兄姉は弟妹をかばうことを覚えていきます。何くれとなく世話をすることに馴染んでいきます。自分のことは後回しになります。こうして社会性の基礎が家庭で育っていたのですが,その機会が失われていることを知っておいてください。園・学校は同年齢集団ですから,兄姉という納得がありません。せめてご近所で異年齢のつきあいを持つようにしてください。

 人に好かれる子どもになって欲しいと親は願っています。人に好かれるとはどういうことでしょうか? 自分のことしか考えずに行動している子どもは皆から好かれるでしょうか? 自分のことのように相手を思って振る舞える子どもが,好かれる子どもです。自分のためにしてくれる,どんな小さなことであっても,それが感じられたら,好きになるきっかけになります。してもらうことしか考えない甘えた子どもは,誰からも相手にしてもらえなくなります。つきあいとはそういうものです。

 この社会は分業によって成り立っています。自己完結した生き方はできません。お母さんが寝込んだり家をあけるようなとき,子どもとパパは「ボクたちのご飯はどうするの?」という心配をします。自分のことをしていないのです。通学合宿で炊事をすることがあれば,食事の支度が面倒な作業であることを知ります。お母さんに感謝の気持ちを持ったという感想が聞かれます。そこで止まるのが普通ですが,それでは困るのです。

 自分のことだけではなく,周りの人のためになることができるとき,能力が生かされていると言えるのです。お母さんは自分のことだけではなく家族のために能力を使っています。だから,自分も家族のために力を出そうと考えるのが自然な成り行きです。それを余計なことと大人が教えてはいけないのです。お母さんに感謝するばかりではなく,お母さんから感謝されるようになりたい,そういう気持ちを持たせなければ,端(ハタ)を楽(ラク)にする働くという能力意識は身につきません。



 社会があわただしく急いでいるような雰囲気の中で,若者や子どもは今を楽しく生きようという意識がとても強くなっています。今について行かないと置き去りにされるという恐怖感にさいなまれているようです。ゲーム機の発売日に我先に殺到しなければという強迫観が漂っています。人の生きるペースが乱されていると感じない感性が問題です。人間らしいペースを取り戻そうとスローライフなどが喧伝されているのは,健全な成り行きです。次号では,余裕のある時間概念を考えてみます。
 お父さんが家庭生活にどの程度関わっていますか? 頼まれたときだけお手伝いをしている,それでは関わっているとは言えません。生活の流れを見て,自分ができることを自分の判断でしていることが関わるということだからです。自分のことだけではなく家族の暮らしを支えようとする気持ちがあれば,子どもはそれが当たり前のことと学んでいきます。外で働く姿は見せられないので,内で働く姿を見せるようにちょっとだけ心がけてください。


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