*** 子育ち12章 ***
 

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「第 27-11 章」


『子育ちは 失敗しながら 立ち直り』


 ■子育てショートメモ■
『子育ちの第11方位』

 子育ちの第11方位は,どのような方法で育っていくのかという指標です。
  眠っている可能性を引き出すために,スイッチを入れる必要があります。
   スイッチを入れる,それはしてみるという体験をすることです。

 育ちの原則として,したことがないことはできないということがあります。
  知っているからできるつもりになっていても,いざとなればできません。
   育ちは0からの出発であるということを親も子も忘れてはなりません。

 もう一人の子どもは見聞きし言葉を覚え始めると,早熟な育ちをします。
  口ではいっぱしのことを言えるようになりながら,することは未熟です。
   できない自分に腹を立てるのは,思うだけのもう一人の子どもです。

 こうしたいなと思うもう一人の自分が自分の可能性を引き出そうとします。
  実際にやってみても失敗するとき,もう一人の自分は無知に気づきます。
   知っていることが不完全だと反省すれば学習に向かっていきます。

 失敗に直面して,どうしたらいいのだろうともう一人の自分は考えます。
  同じことができている人を見て,ああすればいいのかと真似をします。
   再挑戦することによって,自分の可能性を開いていくことができます。

 危ない失敗はしないように先回りして保護してやらなければなりません。
  小さな失敗は見逃してもう一人の子どもに任せるようにしてください。
   しくじりをとがめたり取り上げたりしたら育ちが止まってしまいます。



【指針27-11:失敗があるから育ちができると励ましてください!】


 ○過保護から保護へ

 料理をするとき,小皿にとって味見をしてみますね。何かが足りない? それが分かったら,調味料の補充をして味を調えます。人の行動はやってみながら,その都度修正をして思った結果にたどり着くようにしています。手加減という修正は意識されなくてもあらゆる局面で使われています。やってみながら些細な不手際の内に修正をしていけば,ちゃんと成し遂げることができます。大事なことは,しくじりを早く見つけて,適切な対処ができるようになることなのです。

 子育ての場で失敗という言葉を使うと,マイナスイメージが持ち込まれてしまいます。子どもの場合はしくじりといった方がいいようです。さらに,プラスのイメージを意識的に持つようにすべきです。しくじることで正しいやり方を見つけることができるからです。育ちはしくじらなくなることと考えれば,しくじりをすることが育ちを促すことだと見なすことができます。転けることで,転けないような動きが身についていきます。

 できることを急ぐあまり手を出してしまうと,その手伝ったところが育ちません。毎朝起こしてやっていると,自分で起きるという育ちができません。寝坊したというしくじりを繰り返すうちに,自分で起きることができるようになります。しくじりをさせないのが過保護です。しくじりをさせながら,危険なことを回避する見守りが保護になります。もちろん,子どもにはとても無理なことをさせて見守っているというのは放任になります。失敗の程度を見極めることが大事です。

 健康であるとは,例えば風邪を引きかけたときに治癒する力が発揮できるということです。きちんとするということは,遊んで散らかしても後片付けができることです。ふざけていて人にぶつかったら済みませんと謝ることができることです。ちょっとした諍いでけんかをしても仲直りができることです。大事なことは不都合なことに直面したとき,それにいち早く気付くことです。気付かないままにしておくと,どうすればいいかという育ちができません。

 職探しをするとき履歴書を提出します。自分が何を経験してきたかを書き出します。経験とは失敗を乗り越えてきたということです。だから,信頼を得ることができます。失敗のない経験は今ひとつ大丈夫かなという不安が潜みます。子どもにはたくさんのしくじりをさせてください。子育てとは子どものしくじりをハラハラしながら,時にはイライラしながら,それでも手出しを控えて我慢することです。子どもは0からの出発ですから,暇がかかるのです。



 計画倒れになるという事態はそこここに転がっています。頭で考えた計画は,実際の場面の中では不都合な部分を内包しています。そこを補うのが経験という技です。美味しいものを作ろうと思っても,基礎になる経験がなければ,手がつけられません。経験を元に応用することで実現することができます。その応用にもノウハウという知恵が絡みます。そのノウハウを手に入れるためには,学びというきっかけが必要です。次回は学びについて考えます。

 子どもは叱られてばかりと思っています。子どものすることを見て,できて当たり前,できなければダメと叱ってしまいます。どうして親は子どものできない部分ばかり目につくのでしょう。それは,そこが育ちの最前線だからです。今ここが育っているという子どもからのメッセージです。親はそのサインをちゃんと受け止めているのですから,安心してできないことに向き合いなさいと励ましてやらなければなりません。ドンマイ=Don't mind=気にするな!


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