*** 子育ち12章 ***
 

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「第 27-13 章」


『子育ちは 片寄りあると つらくなる』


 ■子育てショートメモ■
『子育ちの第0方位』

 子育ちの第0方位は,育ちの偏りがないかを自覚するという指標です。
  羅針盤の中央から見て,12方位への育ちが凸凹では先行き心配です。
   どんな時代・環境にも適合できるバランスのよい育ちが求められます。

 人は苦労を積み重ねることによって,円満な人格を獲得していきます。
  その苦労の体験によって,どんな変化が起こっているのでしょうか。
   苦労に直面したときから,もう一人の自分が変わっていくのです。

 一般には,自分ではなく他人が変わることを求めることが多々あります。
  自分が苦労するのは,相手が悪い,社会が悪いというなすりつけです。
   でも,自分にできることは,自分を変えることしかないのです。

 周りのせいにせず,もう一人の自分が自分の能力の限界を見極めます。
  自分に足りないところは何かを探し,どうすればいいのかを考えます。
   自分を育てていけば状況はよくなると信じることが生きることです。

 いろんな形の苦労に出会うことで,いろんな方面の変化が生まれます。
  見方を変え,こだわりを捨て,価値観を柔軟にし,前に向かいます。
   環境に適応しようとする意欲があれば,生きる力が育っていきます。

 子どもを喜ばそうと甘やかしていては,育ちを促す苦労がなくなります。
  小さな苦労を自分を育てて乗り越えていけば,喜びがやってきます。
   暮らしのそこここで出会う多様な苦労を薄めて与え続けてください。



【指針27-13:バランスの良い育ちをするように導いてください!】


 ○保護から養育へ

 親は日常の暮らしの中で,子どもをどのように育てようとしているでしょうか? 時間がないから早くしなさい,と急き立ててしまいます。子どもはちょっと待ってよと言いたいのですが,そんなことが言える雰囲気ではありません。いつも慌てているので,ちゃんとできません。すると,どうしてちゃんとできないの,と叱られます。ちゃんとしたくても時間が足りないので,どうしようもありません。結局親が仕方ないと愚痴をこぼしながら,てきぱきとやってしまいます。自分でできるのに,やらせてもらえません。

 帰ってくるとお母さんがいません。お母さんって呼んでも返事がありません。どこかに出かけるとは聞いていません。家中を探してもいません。玄関に行ってお母さんの履き物を探すとありません。急に寂しくなってきましたが,どうしようもありません。そのまま座って待っています。しばらくしてお母さんが帰ってきました。どこに行っていたの,と言いながら走り寄ります。お母さんはもう帰っていたのと言いながら,さっさと家の中に上がっていきます。寂しかったという気持ちが置き去りにされてしまいました。

 お母さん,心って何? 唐突に聞かれて,お母さんは返事に困っています。ねえ,何なの? いきなり変なこと言わないの。心がどうかしたの,と逆に聞き返して窮地を逃れようとします。お母さんに向けて届けられた言葉を受け止めずにすっぽかしています。お母さんどうしたのだろう,と思います。言葉がすれ違うために,余計な思惑がわいてきて,分かり合えなくなっていきます。いけないこと言ったからかな,と心配になります。

 久しぶりにおじいちゃんおばあちゃんちを訪ね,夕方にお家に帰ってきました。リビングに座り込みながらお母さんがブツブツ言っています。おかあさんは人使いが荒いんだから,どうして私がしなければならないの。そういえば,お母さんは「お手伝いします」って言いながら,おばあちゃんと一緒に家事をしていたみたい。そのときは楽しそうにおばあちゃんとお話していたのに。お母さんは優しいおばあちゃんが嫌いなのかな?

 子どもはできないこと,分からないこと,嫌なことといった,いろんな壁にぶつかっています。親から突きつけられる壁もあります。それが育ちを促す壁であればいいのですが,時折育ちを逸らしたり邪魔したりする場合もあります。手がかからなくなってくると保護の手を引きあげますが,そのかわりに育てる関係が密になる必要があります。保護者から養育者へと親も育っていくことが期待されています。親自身の生きる力を丸ごと与えてください。



 子育て羅針盤の第27版はこの号で完了します。次号からは第28版に入ります。昨年社会人の12基礎力という提言が出されました。社会人として求められている力であるなら,子育ちの目標と考えることもできます。そこで次版では社会人12の基礎力につながる子育ちという視点でまとめてみます。もちろん,これまでの12章の構成はきちんと踏襲していきますので,大事なポイントは変わることはありません。「○○する力」という形で装丁を改めていると思ってください。

 子育てについての情報はたくさんあります。あふれているといった方がいいようです。それらの情報を参考にしながら,ご自分なりの子育て法を作り上げてください。なぜなら,子どもが置かれている環境は一人一人違っているので,その支援である子育ても違っていなければなりません。よその子どもを育てているのではなく,あなたの子どもを育てるのによい方法があるはずです。

 この子育て羅針盤は,情報を選ぶバスケットをお届けしています。12の区分けをした所にはこのようなものを入れてくださいと例示しています。時期に合わせて,それぞれの区分に旬のものを取り入れてくだされば,あなたらしい子育て法が整うはずです。


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