*** 子育ち12章 ***
 

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「第 28-07 章」


『子育ちは 持てる機能を フル稼働』


 ■子育ち基礎力概要■
『子育ちの第7基礎力』

 この号で取り上げる社会人12基礎力は「実行力」です。その内容は,「目的を設定し確実に行動する力」で,「例えば,言われたことをやるだけでなく自ら目標を設定し、失敗を恐れず行動に移し、粘り強く取り組む」と表されています。現実の社会では,言われたことしかしない人は,いくらでも代わりがいるという扱いしか受けません。共同社会では,言われなくてもできることを工夫する人が求められています。

 子育て羅針盤では,子育ちの第7基礎力を「能力を発揮し実行する力」と考えています。人は動物であり,行動を通して生きていくように宿命づけられています。持ち合わせている能力を使うことが生きることになります。思っているだけ,するつもりだけでは何もしていないのと同じなのです。能力を発揮することが,人として「必要な要件」であり,「可能性の発掘」という育ちの具体的な現れにもなります。

 前向きに実行しようとすることで潜在する能力が引き出され,実行に伴って能力が磨かれます。すればできるようになるという修練の効果を信じた方がいいのです。新人がいつの間にかそれらしくなっていくように,小学生らしく,中学生らしく育っていきます。逆に言えば,実行しようとしなければ,能力は眠ったままになり,育ちも止まります。もちろんすればすぐにできるというわけではありません。人の能力はそんな単純なものではないからです。育ちは実行時間の流れの上にあります。

 実行するといっても,闇雲に手当たり次第というわけにはいきません。手順に沿って,目標に向かって,実行しなければなりません。そのときに大切なことは,目標の設定です。明らかに無理な目標を目指せば,実行は無駄足になります。目標を正しく設定することが,実行の成否を決めます。簡単に言えば,目標は「これならできそうだ」というものにすべきです。こうしたいなというものは目的として,遠くに置いておきます。一歩一歩の目標に向かう実行を積み重ねていくのです。

 社会人基礎力の実行力に対して例示されている「失敗を恐れず行動に移し」という面は,子育て羅針盤では別の力としていますので,後述します。このように社会人基礎力の設定は子育て羅針盤とは若干ずれていますが,社会人は大人,羅針盤は子育ちという視点の違いに起因するので,あまり気にしないでください。全体で見れば,過不足はなくなります。失敗は大人にはマイナスですが,子どもにとっては育ちに必要なプラスであると考えています。



【指針28-07:育ちには,能力を発揮し実行する力が必要な要件です!】


 ■子育ち支援メモ■
『できることをする』

 明日しようと先延ばしにしていると,明日は明日ですることがあるので,持ち越された今日のことはさらに先に積み残されます。今日できることは今日実行しておく,それが明日を迎える生き方です。育ちは明日するのではなく,今日の分の育ちをしておかなければなりません。明日まで育ちは止めておこうということはできません。モモではありませんが,時間泥棒を招かないためには,思いついたら即実行です。

 子どもが歩かなくなったようです。30年前の子どもは1日27,000歩でしたが,今の子どもは1日10,000歩となっているそうです。人は動物であり,動いてこそ生きる力が発揮されます。身体を使わなくなると,動きを制御している頭脳が眠ってしまいます。頭脳は手足の動きと連動しているという構造を忘れてはいけません。実行するという動きは,知能の稼働を促すことになるのです。使わない機能は退化します。子どもは動き回ることで知恵の土台を築いているのです。

 乗り物に乗って外を眺めるのが,子どもは好きです。看板の字を知っている字だけ抜き読みします。漢字をよけてひらがなだけ読んでいます。意味は分かりませんが,外の世界に自分が分かる部分があるということがうれしくてたまらないのです。知る能力が働いていると快感があります。大人はそんな中途半端なことをすることは無駄なことと思いがちですが,それは決して無駄なことではありません。今使える能力を発揮しようとしなければ,能力の全体は引き出せません。

 きついから止めておくという言い訳で,できることをしない子どもが増えています。きついことを避けていたら,生きていく力は育ちません。遊びについても,きつい遊びは敬遠されています。元気であるはずの子どもが,きついという感じを持ち出すようになると,心身の不健康の始まりです。活力が不完全燃焼をするので,それに合わせたいびつな心身に育っていきます。子どもに楽をさせてしまう環境はほどほどにして,いろんなことを実行せざるを得ない状況を作りましょう。

 不言実行。あれこれごちゃごちゃ言う前に,手を動かしなさい! 今からしようと思っていたのに! 思うだけでは何もしないと同じです。言わないと分からないということがありますが,実行しなければ生きていることにはなりません。子どもの能力の育ちは実行によりスイッチが入るのですから,何かしている姿があれば安心です。ただし活発に動いていないといけないと思いこまないようにしてください。見た目ではなく子どもの心身の活発さを見守ることが大切です。



 元気の良い子どもたちは,思いのままに行動をします。して良いこととしてはいけないことを弁えて,実際の行動を制御できるようにならなければなりません。ここで大事なことは,したくなくてもしなければならないことがあるということです。後片付けなどは最も初期のしつけになります。生きていくために必要な実行すべきこと,それを教えておかなければ,育ちは進みません。家庭の中,友達関係の中,近隣関係の中,いろんな局面での教えが必要になります。

 「女性の品格」という本が読まれているようです。ごく普通の常識が並べられているという読後感でしたが,世代間のコミュニケーションが途絶えている中で,育ちの中で伝えられずに,置き去りにされていたということでしょう。大事なことを指導しようとすれば,「うざい」と拒んできた若い世代のせいばかりでもありません。品格という価値など関係ないと逃げて,生き方の芯を持つことを忘れている世情を反省すべきです。確認のチェックリストとして読んでみられてはどうでしょうか?

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