*** 子育ち12章 ***
 

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「第 28-09 章」


『子育ちは 我慢の後の がんばりで』


 ■子育ち基礎力概要■
『子育ちの第9基礎力』

 この号で取り上げる社会人12基礎力は「ストレスコントロール力」です。その内容は,「ストレスの発生源に対応する力」で,「例えば,ストレスを感じることがあっても,成長の機会だとポジティブに捉えて肩の力を抜いて対応する」と表されています。生きていると自分の思い通りにならないことにぶつかります。世間や他人のせいにして逃げては先に進めません。助けてもらうにしても,本筋は自分でストレスの源を乗り越えなければ自分の人生にはなりません。

 子育て羅針盤では,子育ちの第9基礎力を「現実を直視し忍耐する力」と考えています。その背景に「希望の持続」という成長願望を想定しています。人は明日は良くなるという展望を持たなければ,日々の生きる張り合いが感じられません。明日が真っ暗という閉ざされた状況では生きることの意味は失われます。もう一人の自分が明日の自分を明るいものと信じられるとき,今日の苦労を耐えることができます。明日があるという思いを背景にして現実を直視することが必要な要件です。

 ストレスはもう一人の自分が,置かれている状況と自分の間にいろんな意味でのミスマッチを感じていることから起こります。休みたいのに休めないとか,しなければならないことが重なってしまうとか,自分だけ損な役回りになっているような気がするとか,能力の限界を超えた物事を抱え込んでしまうとか,予期せぬトラブルに見舞われて予定が狂うとか,順調ではない局面が大小さまざまにあります。慌てずに落ち着くことが最善ですが,それは現実を直視するための態勢なのです。

 暮らしのあれこれにいい加減な気持ちで向き合っていれば,ストレスを感じないかもしれません。真剣に取り組もうとするから,その真剣さのアクとしてストレスが生まれてきます。アクはその都度すくい取っていけばいいのです。じっと見つめていれば何が濁りか見えてきます。ストレスをガス抜きするという手もあります。小さなストレスは気持ちを集中すれば霧消します。むしろ,目の前の仕事に一心不乱になる合図と思って受け止めればいいでしょう。前向きな忍耐をするのです。

 忍耐するためにはそれなりの意志が必要です。自分を生かすためには苦難を乗り越える勇気が必要だという覚悟です。苦有ればこそ楽が得られるという人生訓です。楽に過ごしていては苦を先送りしているだけであると,先人が教えています。きつい思いをして登るから頂上の感動があります。あっさりと手に入ったものはそれほど大事には思われません。星に願いを掛けて忍耐の時を持つから,将来への希望は豊かな喜びをもたらしてくれます。



【指針28-09:育ちには,現実を直視し忍耐する力が必要な要件です!】


 ■子育ち支援メモ■
『がんばる』

 小さなトゲが刺さると,行動全体が不具合な状態に陥ります。痛いよと泣いていては,解決しません。勇気を出して痛みの場所に目を向けるとトゲが見えます。後はトゲを抜くことを考えれば一件落着です。痛みは問題の在りかを教えてくれる警報です。トゲを抜く痛みを自ら招いて我慢すれば解決します。このようなトゲ騒ぎは日常経験することですが,同じパターンはあらゆる局面で成り立ちます。今は我慢するとき,辛抱するとき,その思い切りを後押ししてやってください。

 何でもないミスを繰り返すことがあります。集中力が途絶えているときです。ミスをしないでおこうとすると,神経を張り詰めておかなければなりません。その緊張感がストレスとしてたまります。そのとき,もう少しだけと踏ん張る気力を出してみます。少しでいいのです。次には小休止します。気分転換を挟んで,さあもう一度と続けます。この繰り返しが「がんばる」という形なのです。倒れるまで無理をするというのではなく,少しずつ続けることをしつけてください。

 現実を直視するというのは,口で言うほど簡単ではありません。ただ漫然と眼前の壁に向き合うのではなく,少し引いた視点をとることで,大局的な視野を得るようにします。離れて全体を見ると,現実のもつれの範囲が見えてくるものです。早く何とかしたいと焦る気持ちを抑える忍耐の一方で,とりあえず今自分にできることは何かを見つけるようにします。できない部分は後回しにして,できるところから手を付ける,そこからもつれは解けて来ると教えてください。

 子どもは自分の力をきちんと弁えていません。幼いときは,できもしないことに取り組んだり望んだりします。できないと泣きわめきます。児童になるとできない自分に気付き,できることが見えなくなって尻込みします。やればできるのにという大人の感想が出てくるようになります。いずれも自分の現実を的確に見ていないことになります。自分には何ができて,何ができないか,その見極めができるようになるために,いろいろな経験をさせる必要があります。

 子どもが忍耐を覚えるのは,誰も助けてくれないと観念するときです。遊んでいて転けてしまいます。親が側にいると泣きますが,誰も見ていないと泣くのを止めて自分で起き上がります。頼むのは自分一人,もう一人の自分がその現実に直面すると,痛みを堪えてなすべきことをしようとします。親は少し離れたところから見守っているようにします。社会に出るとおいそれと他人が肩代わりをしてくれるわけではありません。天は自ら助けるものを助けると指導してください。



 ここ一番という場に臨むとき,誰でも大きなストレスに襲われます。場慣れをすればストレスも少なくなりますが,それまでの間はどうすればいいのでしょう。プラスイメージを持てといわれます。いい結果が待っている,いい結果を一心に願うことで,持っている能力を発揮することができます。人はよいことに向けて懸命になれるのです。明日の嫌なことより好きなことを見るようにすれば,明日が楽しみになり,嫌なこともがまんしようという気持ちが出てくるはずです。

 お父さんのようになりたい,お母さんのようになりたい。子どもがそう思うとき,子どもはぐんぐんと育っていきます。溌剌と生きている親が子どもの将来を見せるモデルになります。自分のような大人になって欲しいと願うことが,親としての務めです。自分のようにはなって欲しくない,だからあなたはがんばりなさいと言われたとしたら,子どもはどう育てばいいのかモデルを失います。先ず親がしてみせることが大事であると思ってください。


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