*** 子育ち12章 ***
 

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「第 28-10 章」


『子育ちは 明日の自分を 期待して』


 ■子育ち基礎力概要■
『子育ちの第10基礎力』

 この号で取り上げる社会人12基礎力は「創造力」です。その内容は,「新しい価値を生み出す力」で,「例えば,既存の発想にとらわれず,課題に対して新しい解決方法を考える」と表されています。時代状況は日進月歩で変動しています。これで終わりとはなりません。ということは,常に課題を抱えており,その解決に人知を傾けて創造しなければなりません。もちろん,それは社会事象だけではなく,一人一人の生き方にも関わっていることです。

 子育て羅針盤では,子育ちの第10基礎力を「将来を展望し期待する力」と考えています。明るい明日という思いが漠然としたものでもある程度の効果がありますが,長続きはしません。実現可能性という条件の満たされていることが大事になります。単なる夢であってはいけないのです。さらには,人と協力するという社会力の助けも仰がなければなりません。明確な形の将来への展望が人として「十分な要件」となり,育ちの目的になります。

 明日は漫然と待っていて来るものではありません。今日できることをきちんとやり遂げておく必要があります。今日を明日につなぐ足がかりを作っておかなければ,明日は振り出しに戻ります。状況をよくするために何ができるか考えて,できるところまでやってみようという明日に向かう期待を持続する力が大切です。目的と思っていることからは遠いかもしれませんが,一歩ずつ歩み続けることが可能性を拓いていきます。

 何かしようというとき,子どもは「あれがないからできない」と諦めることがあります。あるいは,自分の手で作ることをせずに,完成品を買えばいいと言います。身近なものを利用して代用するという工夫ができません。今の世の中,たいていのものは手軽に手にはいるので,あり合わせのもので間に合わせるという経験をしていません。思いもしない機能を見つけること,当たり前の思いこみに包まれていた機能に気がつく感性が創造力の一端です。

 直面する問題を解決するために大事なことは,正しい問いを見つけることです。問いが間違うと,解決不可能になります。何ができるかを前提にして,問いを組み立てます。高いところにあるものを取りたいというとき,どうすれば自分の手を伸ばせるか,背が高くなればいい,足下を高くすればいい,いすを引っ張ってくればいい,と考える力を養ってやりましょう。



【指針28-10:育ちには,将来を展望し期待する力が十分な要件です!】


 ■子育ち支援メモ■
『望みを持つ』

 ママが台所で調理をしています。食材が形を変えて,美味しい食事ができていきます。人が手を加えることで,新しい価値が作り出されていきます。総菜を買ってきてそのまま食卓というのでは,作るというプロセスが子どもの目に触れません。作るという能力が人にはあることを見逃すことになります。ママってすごいね,そのあこがれが子どもに自分の将来を実感させてくれるのです。子どもにできることを任せて,作る喜びをお裾分けしてやりませんか。

 子どもにとって親や大人はあまりに遠い目標です。子どもは今を生きているので,気持ちは性急です。大人までの道は想像を遙かに超えた道のりなので,実感がありません。もっと実感できる明日への道がなければ意気が上がりません。それを見せてくれるのが兄や姉の姿です。あこがれるお兄ちゃんがいれば,子どもは明日が楽しみになります。実のお兄ちゃんでなくてもかまいません。身近にいるよそのお兄ちゃんの方がかえっていいかもしれません。

 将来を見るばかりだと,いつまでも自分の至らなさや無力さを見ることになります。育ちが見えません。たまに振り返ることが必要になります。アルバムやビデオの中の自分を見ると,そこに幼い自分が見えて,今の自分が育っていることが分かります。時がたち自分はよりよい方に変わってきたという事実を受け入れると,将来に向けて自分が変わっていくことが期待できることに気付きます。そこから,何事も今のままではあり得ないという納得が,状況の変化を期待する基盤になります。

 楽観的になるか悲観的になるか,それはそれぞれの選択かもしれません。育ちには基本的に楽観的の方が有効です。くよくよしていては育ちに制動を掛けることになります。青年期までは,行け行けというがむしゃらであることが似合います。やるだけやってみよう,その怖さ知らずが明日をつかむことになります。もちろん,やってもダメになる場合が多いでしょう。それでもあれこれもがいたことが得難い経験となって,蓄積されていきます。明日を信じようとする意気込みを応援しましょう。

 明日がある。それは今日の代わりにあるのではなく,今日とは違った明日があるということです。どんな明日になるか分かりません。分からないと不安になりますが,少なくとも半分は期待してもいいでしょう。へこむこともあるでしょうが,でることもあります。よいことは続かないし,悪いことも続きません。大切なことは,そのままに止まることはないということです。ちょっとだけ長い目で見るようにすればいいのです。育ちは明日をよくしようという願いなのです。



 失敗は成功の元。言葉は知っていますが,それを実践するのは勇気が要ります。先ず失敗に向き合わなければならないからです。失敗の跡からは目をそらしたくなります。早く忘れたくなります。その気持ちの逃げを踏みとどまる意志があれば,成功へのスイッチが入ります。二度と同じ失敗を繰り返さないこと,その繰り返しが正しい道に戻るプロセスになります。子どものうちに早く失敗していることがいいでしょう。大人になってからでは,大きな失敗になります。

 毎日思い通りに事が運ぶとは限りません。想定外のことが飛び込んできます。周りの状況に惑わされるのが嫌なら,閉じこもるしかありません。あれもこれもしなければならないので,時間に追われて,一つ一つが間に合わせになっていきます。もう少し手間暇を掛ければよいことも分かってはいますが,どうしようもありません。そんなときは欲張っていないかと振り返ってみましょう。大事なことに時間を掛けておかないと,後で取り返しはできません。


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