*** 子育ち12章 ***
 

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「第 28-11 章」


『子育ちは 失敗の後 反省し』


 ■子育ち基礎力概要■
『子育ちの第11基礎力』

 この号で取り上げる社会人12基礎力は「課題発見力」です。その内容は,「現状を分析し目的や課題を明らかにする力」で,「例えば,目標に向かって、自らここに問題があり,解決が必要だと提案する」と表されています。仕事や暮らしの中では取り組むべき課題が耐えません。何かをしようとするとうまくいかないことが出てきます。解決できる課題は何かを見つける冷静な考察が必要になります。課題が発見できたら,成功の扉が開かれます。

 子育て羅針盤では,子育ちの第11基礎力を「失敗を発見し分析する力」と考えています。人は失敗体験を通して自らの能力を発揮させられます。失敗を真摯に受け止め,未熟なところを見極めるという反省を経て,人は前に踏み出すことができます。失敗することで失敗の程度が見えるので,落ち着いて対処を考えることができます。失敗の発見が人として「必要な要件」であり,育ちの出発になります。具体的には,分析する力,課題発見力という指標が掲げられます。

 失敗をしていないと,何が起こるか分からないという不安が膨らみ,臆病になります。初めて取り組むことに対しては,誰でも何をどうすればいいのか分かりません。手順が見えないのです。そこでマニュアルが必要になります。ところが,マニュアルに導かれても,何が起こっているのか流れを理解できないと,これでいいという確信が持てないのでビクビクします。その不安をぬぐうのに必要なことが「キャンセル」というやり直し可能という手順です。失敗してもいいということです。

 失敗することで,何に気をつければいいかが分かり,同じ失敗をしなくなります。三歩進んで二歩戻るという行きつ戻りつを繰り返していけば,課題が明らかになり,次からはちゃんとできるようになります。失敗することで物事の要素が理解できるということもあります。例えば,パンクすることで,タイヤがどういうものか分かり,扱い方の注意点が明らかになります。茶碗を落とせば割れる,その経験があれば,スーパーの陶器売り場でも用心します。

 子育ちは常に初体験の道を歩むことです。失敗して当たり前です。失敗を封じられたら,育ちの道は途絶えてしまいます。子育ては励ましですが,「ダメじゃないの」と叱ることではありません。「大丈夫,気にしないでいい!」と支えてやることです。「とにかくやってみなさい。失敗したらそこがあなたの育ちの課題」。トライアンドエラーを見守ってやれば,子どもは育つことができます。大人になっても,課題を見つける最良の方法になります。



【指針28-11:育ちには,失敗を発見し分析する力が必要な要件です!】


 ■子育ち支援メモ■
『失敗を生かす』

 保護者の"保護"というのは,小さな失敗を見守りながら,大きな失敗,怪我などしないように子どもの周りを守ることです。失敗しないようにかばおうとすると,それは過保護になります。子どもは失敗をすることで育ちます。歩き始めの伝い歩きの時に,転ばないように子どもの身体を支えてしまうと,転ばない練習ができません。歩くとは転ばなくなることなのです。たくさん転ぶから,転ばないようになろうと練習ができます。

 失敗をすると言い訳をします。自分はちゃんとしていたのにと,自分のせいではないことを言い立てます。もちろん,不可抗力ということもあります。それは認めなければなりません。気配りが足りなかったり,不注意であるというときには,そのことをきちんと自覚しなければなりません。朝寝坊をしたとき,「ママが起こしてくれなかったから」という言い訳は通りません。人のせいにしている間は,育ちは停滞します。自分の失敗を認める素直さが育ちを促します。

 小さな不始末をしでかしたら「ごめんなさい」と謝らなければなりませんが,そこで終わっては失敗の経験が生かされません。やらなければならないことは,不始末の後始末はどうすればいいのかということです。そのことをしっかりと教えてやってください。不始末を取り繕うずるさを覚えることになるかもしれませんが,そうするかどうかは別問題です。後始末ができれば,不始末の程度が幾分か割引されますし,何より逃げることをしなくなります。

 失敗を認めたら,次は反省という段階に入ります。ここまではできた,その次のところでしくじった,その境界を見極めることが反省です。できなかったところを見つけようと自分の行動を振り返ることです。反省とは悔やむこととは違い,省みることです。しくじったところを特定できれば,そこをやり変えればいいのです。失敗したらやり直せばいいのですが,どこをやり直せばいいのかを見つけなければ始まりません。それが反省による課題発見力です。

 同じことをしていても,うまくいく人と失敗する人がいます。運がよくなかったということで片付けざるを得ないつらいこともあります。そんな特別の場合を除いて,日常的な場面では運にばかり押しつけるのは,反省をしていないことになります。試験で間違えたときに山勘が外れて運が悪かったと投げていては,せっかくの失敗が無駄になります。自分の弱点が浮き上がってきたのですから,自分の課題が見つかったことになります。育ちのチャンスと後押ししてやってください。



 チャンスはつかむものです。チャンスが訪れても,ちゃんと見えなかったり,つかみ損なったりすることがあります。チャンスは突然にやってきます。いつ来てもいいように備えておかなければ,チャンスは通り過ぎていきます。備えておく,それは力を蓄えておくことです。チャンスが来たから練習を始めるというのでは手遅れです。今は生かせないけれど,いつか役立つと考えて,目立たない努力をしている人が,チャンスを確実に自分の手につかむことができます。今日が大事です。

 子どもたちを傍観者にしないでください。そこには本当の人間はいません。評論家は言うばかりで,自分では言うほどのことはできません。言うだけなら簡単です。調理できなくても美味しいか不味いかは言うことができます。傍観者は自分の評論はしません。評論すべきものを持っていないからです。人のことを言う前に,自分のことが言えるように,実践者であること,それが本当の人間です。あなたが持っている実力を,子どもに伝えてください。それが親にできることです。


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