*** 子育ち12章 ***
 

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「第 29-11 章」


『子育ちは 失敗越えた 先にある』


 ■子育ち12支援■
『子育ちの第11支援』

 保護をしているだけなのに,過保護になってしまいます。子どもの育ちにとって余計な保護とはどういうことでしょうか? そのためには,育ちがどういうものかを弁えていなければなりません。育ちは経験によって進みます。経験にはうまくいくものといかないものとあります。練習はうまくいかないことを繰り返すことによって,ひょいとできるようになるまで続きます。子どもができそうなことを肩代わりしてやってしまうこと,練習させないことが余計な保護になります。

 保護とは,明らかに子どもには無理なこと,無茶なことをさせないようにすること,つまずく程度なら任せておいて大事にならないように周りに気配りをしておくことです。少々の失敗をさせながら育ちを促し,後始末をしてやることです。ハラハラすることになりますが,どこまでできるようになったかを見極めるためにも,子どもの自由を奪わないような,離れた保護をするようにしてください。子ども自身にではなく,子どもの育ちの環境を安全にすることが保護なのです。

 三無主義(無気力,無関心,無責任)が定着して,若さの噴出が見られなくなっています。好きにしてよいと任せると,どうすればいいか分からず遊べない子どもがいます。していいかと確認を求めてきます。自分を外に向かって出さない,出せない,出し方を知らないということです。してもらう,与えてもらう,教えてもらうことに慣れてしまって,いつも待っているという育ちをしているからです。構い過ぎた結果です。

 ある高校の野球部監督が,「失敗した子は叱らないが,いい加減な子には厳しい」と語っています。この場合の「いい加減」とは,一所懸命でない,考えないことです。失敗して反省することが肝要です。失敗して悔やんで落ち込まないいい加減さは大事ですが,失敗してもケロッとしているいい加減さは困ります。失敗をきちんと受け入れて,どうすれば失敗が少なくなるかを考える真面目さが育ちを促します。失敗してもいいといういい加減さが指導する側には求められます。

 口で言うことは建て前,手ですることが本音と考えて,子どもの育ちを見てください。「こんなことを言うようになった」は見かけの育ちです。「こんなことが出来るようになった」が本当の育ちです。口では何でも言えます。手の出来る現実との突き合わせが必要です。生活の場で行動として現れる育ちを見届けるために,子どもにさせてみるということを心がけてください。失敗するかもしれません。そこが育ちの最前線であり,教える所になります。



【指針29-11:保護を越え過保護になっていませんか?】


 ■子育ち支援メモ■
『失敗は育ちの元』

 子どもに手伝いをさせることが育ちにはとても大切です。そう言われても,暮らしの中に何もさせることが無いという声も聞こえてきます。手伝わせることがいいとは分かっていても,二度手間になるので忙しい中ではためらわれるということもあるでしょう。余計なことはしないで,ということです。食事に関わる一部分を手伝わせてみませんか。特に食事の後始末の方が,いいでしょう。食事前は忙しいですし,また食べたい欲につられるので本当の手伝いとなりません。

 できるだけ子どもにやらせようとしてください。保護とは,失敗しても大丈夫と手を添える構えのことです。できる所までさせなければ,育ちにつながりません。おじいちゃんに年賀状を出すというとき,宛名が書いてありません。「宛名がないでしょ」と不備を咎めて,指導したくなりますが,そこは我慢です。一度に何もかもすべてできなくてもいいのです。できない所はフォローしておき,来年の年賀状の時に,教えるようにします。それが保護です。

 ほめて育てることが勧められています。そう言われても,子どもはできないことだらけで,ほめる所がありません。ほめにくいからこそ,親がほめてやる意味があります。できなくてもそのことを反省して挑戦していることを認めてやりましょう。「がんばっているね」。結果を求めるから手出しをして過保護になります。育とうとしていることを第一に見届けてやればいいのです。できないという相対的評価ではなく,育とうとしている絶対評価を持ち出せば,ほめる保護ができるはずです。

 子どもが何かに夢中になっています。そのとき,周りのことまでには気配りできていないでしょう。宿題をしています。書いたり消したり,消しゴムかすが散らかります。そんなとき,消しゴムかすの注意をして,流れに水を差さないことです。先ずは,最後までやり遂げさせます。終わった後で,片付けさせればいいのです。親のかまい方がいちいちうるさいと思われるのは,余計なことを持ち込もうとするからです。徐々にあれこれができるまで,一つのことを完遂させましょう。

 月の周りを日本の人工衛星「かぐや」が回っています。地球の出と入りの映像が流されていました。(→「かぐや」ハイビジョンカメラによる映像「地球の入り(Earth-set)」 http://space.jaxa.jp/movie/20071113_kaguya_movie02_j.html )。日本のロケット技術は,東大のペンシルロケットから始まりました。当初は 長い試行錯誤の積重ねが続き,初歩的ミスと叩かれたものです。実験しないと分らないことがあり,振り返ると実につまらないことです。人の予知能力は大したものではないので,過信しないことです。失敗することで一人前になれるのであり,失敗していない人は信用を得にくいということもあります。失敗を大事に!



 学ぶことと教えることは違います。教えられて身に付くことは教えなければなりません。それ以外の方法では学べないからです。一方で,学んで身に付くことは学ばなければなりません。育ちにおいては,学ぶべきことがあることに気付くべきです。生活習慣,生活態度,人付合いなど,生きるということに関わる大事なことは,学ぶことになります。勉強=教わることだけでは大人にはなれないことを,忘れてはいけません。

 子育てに関する講演を聞く機会があると思います。熱心にメモを取る方もいるでしょう。一つだけ心がけておいてください。それは今必要なことだけをしっかりとつかんで子育てに生かすということです。いつか役に立つだろうということは,やり過ごしておいて構いません。いつかが来たときの講演で,また話してくれるからです。いつか役に立つことを持ち帰ると,すぐに使ってみたくなり,子どもの育ちを先走ることになりかねません。今の子育てだけをお大事に・・・。


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