*** 子育ち12章 ***
 

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「第 30-06 章」


『子育ちは 言葉を選ぶ 良い耳を』


 ■子育ち12イメージ■
『子育ち第6指標』

 自分の思いを表現することが,第5の指標でした。その表現である言葉遣いは,話す相手によって変化します。同級生との世界にしか住んでいないと,そのことを知る機会を失います。家庭でも親との会話を通して大人相手の話し方をしていれば,改まった話し方を自然に覚えることが出来ます。その先にある他者に対する敬語や丁寧な話し方,挨拶の仕方,言葉の選び方,発音の仕方,態度の持ち方,場にふさわしい話題の選び方など,それらを身につけるためには経験を積むことです。

 言語世界は写し絵の世界,虚空間であり,実世界との連結をきちんと確認しないと,生きる上で言語情報が役に立たなくなります。マスコミ情報の中で糾弾されている大人の姿を見て,子どもたちは大人は汚いと刷り込まれていきます。身の回りにいる大人はごく普通のいい人なのに,その現実から目をそらしているので,社会を見誤ることになります。更には紙面に踊る年俸○億円という情報につり込まれ,現実的な金銭感覚を身につけることが出来なくなっています。生活情報をしっかりと与えてやりましょう。

 近隣の暮らしの中であいさつを交わす人が少なくなりました。そのような環境の中で,あいさつはした方が得ということを子どもたちは知る機会を失っています。挨拶を勧めると,「なぜしなければならないのか?」と理由を優先しようとします。良いことだということが認められているから,挨拶という言語があるのです。社会にある深い知恵を「しなければならないことかどうか」と少ない経験で判断しようとするのではなく,素直に受け入れさせるしつけが大切です。理由は後付です。

 優しい人という感覚がとてもおかしくなっています。優しさを,自分に対して気を遣ってくれる,甘やかしてくれる意味と思っています。そのため優しさを示すのは仲間内だけに限って,他者には冷酷になります。1か0かのディジタル型です。人の気持ちはアナログです。強弱の変化があるはずです。社会は多くの人が0.5の優しさを持ち寄って成り立っています。もちろん仲間には1に近い優しさで接しますが,仲間でない人にも多少の気遣いをするのが社会生活上の基本です。その気遣いを洗練された形に作り上げているのが,礼儀なのです。優しい言葉を覚えることで,美しい立ち居振る舞いが身につきます。

 美しさとは,生きることへの共感です。花を見て美しさを感じるのも,花が次世代に命をつなぐ受粉の瞬間であるから,共感できるからです。笑顔の赤ちゃんを可愛いと感じるのは,そこに命を見ているからです。一所懸命な姿に感動するのは,生きようとする意志に共鳴できるからです。自分の周りにいる人たちが自分と同じようにあくせくと生きていることを感じる感性が,美しさの感覚です。普通の共同生活の中にある言葉を真面目に使っていなければ,美しい言葉遣いは出来なくなります。



【指針30-06:美しい言葉を理解することができる子ども!】


 ■子育ち支援メモ■
『言葉を心で聞くという経験をさせましょう』

 自己チューという若者を特徴付ける言葉があります。社会参加をする上で,自分が未熟な状態であるという自覚がありません。基本的な問題は,他人と自分が別の考えを持っていることに気付いていないということです。確かに居場所を確かめたくて皆と同じであることを求めますが,それは仲間内だけのことです。周りの者が違う思いを持っていることを見ようとしません。自分が絶対であると勘違いをして広い世間から隔絶した閉じこもりをしています。「仲間以外はみな風景,人は電柱などと同じと思っている」と評する学者も居ます。広い人付き合いができるように,子どもたちの生活空間を拡大してやりましょう。

 友達付き合いの中で,笑いで反応する作法化が見られます。嫌なことを言われても,笑っていようとしています。そうすることによって仲間として参加しているという実感を得ています。結果として,いじめがふざけていただけという形でしか意識できなくなります。嫌なことは嫌と言えばいいのです。言えなかったら泣けばいいのです。たとえ仕掛ける方がふざけのつもりであっても,受ける方はいじめと感じていいということを教えなければなりません。違った感性と表現があることを経験することで,双方共に生身の人間の理解を育てていきます。

 頭の回転が速いとか遅いということがあります。物事の論理を弁えているかどうかということです。こうすればこうなるという道筋のパターンを持ち合わせていると,今の状況が展開するであろう先行きを見通すことが出来ます。その訓練をするためには,普段の会話でも単語で済ませるのではなく,順序よく言葉を並べて文章表現にするように気をつけることです。文章を書くとき,そして・・・,そして・・・とダラダラと並べるスタイルから脱して,流れていく文章に組み上げるようにします。その準備として,好きなお話の美しい文章を声を出して何度も読み,覚えてしまうことが役に立ちます。論理とは言葉の美しい並びにあります。

 親切とか優しさという名詞形の言葉がありますが,子どもには「喜んでもらう」といった動詞形の言葉で覚えさせる方が飲み込みやすくなります。気持ちや動作に結びつけることで具体化してやれば,意味を理解することが出来ます。辞書を引いて言葉の意味を見ると,「○○すること」と説明してあることを思い出してください。言葉を生活の中で教える順序としては,○○した経験に言葉を重ねてやるようにしましょう。子どもが肩を叩いてくれたとき「優しいのね」と喜んでみませんか?

 叱るときの言葉は汚くなり,受け取る方は嫌な気持ちになります。それを聞きたくないから,言われないようにしようとします。叱るしつけの方程式ですが,多用すると慣れてしまい逆効果です。大事なポイントで叱られるから効き目があります。一方,ほめるときの言葉は美しくなります。それがうれしくて,もっと言われるようにしようとします。ほめるしつけの方程式です。これも多用は避けましょう。言われる言葉に気持ちは反応します。その機微を経験しておかないと,言葉の美しさを理解することが出来ません。今日一日のおしゃべりで,美しい言葉を口にしましたか? 子どもは聞いていますよ。



 美しい言葉遣いが伝えてくれる共感を分かち合うことが,子育ちの第6指標でした。ところで,言葉にするだけでは実際に生きている状態にはなりません。いわゆる,口先だけになります。言うは易く行うは難しなのです。行動や態度が伴わなければなりません。子どもは能力の基を持ってはいますが,それを伸ばすという育ちをしなければ実力を備えることは出来ません。言葉に付随している知恵を体現するためには,もう一人の自分が自分を鍛えなければなりません。(以下次号)

 人間関係がうまくいかないとき,相手のせいにしている限り,改善は望み薄です。相手の変化を求めているのですが,それは出来ないことだからです。自分に出来ることは,自分を変えることしかありません。こちらが変われば,相手も変わります。なぜなら,人間関係はお互いの言動に反応して動いていくものだからです。親子の間も同じです。自分の思い通りにならない子ども,思いを親自身に向け直してみたら,案外と変わっていきます。人のせいにしているだけでは,何も変わりません。


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