*** 子育ち12章 ***
 

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「第 30-07 章」


『子育ちは 少しできたと 喜んで』


 ■子育ち12イメージ■
『子育ち第7指標』

 美しい言葉遣いから伝わってくる命の共感を分かち合うことが,子育ちの第6指標でした。ところで,言葉にするだけでは実際に生きている状態にはなりません。いわゆる,口先だけになります。言うは易く行うは難しなのです。行動や態度が伴わなければなりません。子どもは能力の基を持ってはいますが,それを伸ばすという育ちをしなければ実力を備えることは出来ません。言葉に付随している知恵を体現するためには,もう一人の自分が自分を鍛えなければなりません。

 普段歩かないと脚力が衰えます。普段考えていないと脳力が衰えます。力は使うことで育まれ,使っていることで維持されます。自分が置かれている環境に適応して生きようとするから,そこで必要な力が育ちます。例えば,毎日坂道の通学路を歩いているから足腰の強い子どもが育ちます。衣食住の生活にきちんとアクセスしていればかなりの運動量になり,わざわざお金を払って運動をする必要はありません。運動不足というのは生きていないということになります。子ども時代は心身をフルに使って生きる行動をすることが育ちになります。

 知的能力は,遺伝的要因と環境的要因の2つの相互作用によって発達するといわれています。集中力や記憶力といった内面的な知的能力は遺伝的要因によるようです。一方,好奇心,探求心といった環境への関心,創造性,論理性,思考能力といった環境の理解と関与,これらの能力は環境があるから引き出されるものなので,環境のありように影響されます。環境の質によって能力の発達が左右されるのは言うまでもありません。例えば,子どもの身近にあるオモチャ環境がどういう類のものかといったことも大事になります。

 子どもはできるようになりたいという思いを秘めています。その思いを素直に出すことのできるチャンスを与え続けてやらなければなりません。子どもが何かをしようとしているとき,大人の目からは至らないことをしているように見えるかもしれません。なるべく気の済むまでやらせておきましょう。うまくいってもいかなくても,その動きに馴染むことで力の発揮の仕方を身につけていきます。簡単に言えば,子どもの動きは何事も練習なのです。練習できなければ,できるようになりたいという思いは出口を失います。

 すればできると思っていて,実際にはしないことがあります。したことがあるという実績が大事です。今しなくても後で必要なときが来ればするからと先送りをしていると,いざ必要なときには間に合いません。力は蓄えておくものです。試験前の一夜漬けは二夜で忘れていったことを苦い教訓としなければ,能力の開発は覚束ないでしょう。同じことをコツコツと続けることが一番です。子ども時代は,子どもらしいことを懸命にやり続けておけばいいのです。まとまった力は,蓄えている小さなあれこれの力を組み合わせて作り上げていくものです。



【指針30-07:能力を発揮し実行することができる子ども!】


 ■子育ち支援メモ■
『自分でできたという経験をさせましょう』

 簡単に諦めてしまう子どもがいます。こうしなさいと教えると,教えた所まではしますが,その先には進みません。仕方がないので,その先をまた教えなければなりません。そうしてできたとしても,次に同じことが現れたときにはできません。教わってしたことを自分のものにしていないからです。そのときだけすればいいと思っていて,力として蓄えることを知らないのです。そういう癖をしつけられていないといった方がいいのかもしれません。親は教えることよりもしつけることに気遣いをした方がいいでしょう。

 初めてのことはできなくていいのです。どうすればいいのかを考える時間を与えます。一緒に考えるという姿勢を示します。何ができたらいいのかを見つけるように導きます。これをしたらいいと子どもに気付かせるようにします。絵を描きたい。描くものが要る。色があった方がいい。紙もいる。白い紙が見あたらない。チラシの裏が白かった。床で描いていると描きにくい。机の上で描こう。隅に描いているとはみ出して描けなくなった。全体の大きさを先ず描こう。もう一人の自分が一つ一つを考えついていく経験をすれば,ひとつながりの知恵として身についていきます。

 子どもがどうしていいか分からないで立ち往生するのは,自分が何から手を付けたらいいのかが分からないからです。何をすべきかということを経験上見通すことができないとどうにもなりません。そんなときが育ちの分かれ目です。もう一人の自分が自分には何ができるかを考えるチャンスです。自分にできることを見つける力が発揮されるときなのです。どうすればいいのだろうという問の答は,結果だけを見ていたら分かりません。状況を自分に引き寄せて,自分にできることから始めようとすれば,解決の道に踏み込むことができます。自分にできることは? それが能力を発揮するキーワードです。

 学校に行きます。字を習い,読み書きができるとうれしくなります。絵本が読めると楽しくなります。その感激を持続できる環境があれば,能力を伸ばし続けることができます。成長すると,分からないことやできないことに出会います。あれこれ考えて手がかりを見つけたり,ヒントを教えてもらって,「ああ,そうか!」とジャンプすることができます。その分かったときの快感経験,それが能力の開花を促す意欲になります。

 思ったり考えたりする世界では,どんなことでもできます。ロケットを飛ばすこともできます。絵に描いたり文章に表すこともできます。美味しい食べ物もままごとの世界では簡単にできます。仮想の世界ではできないことはありません。知らないこと,できないことははなから考えないからです。よく話題になる,生き返ることさえ可能です。現実の世界にいる自分を意識しないと,本物の能力の発揮はできません。日常の世界での経験から外れないように気をつけておくようにしましょう。



 自分にできることを積み上げていこうと前向きに取り組むことが,子育ちの第7指標でした。しかし,できることかどうかはしてみなければ分からないという矛盾があります。できるかどうか分からないけど,やってみようという気力が無ければ,育ちは進みません。ともすれば無理をするのは止めておこうとする気持ちを抑え込むために,人は座右の銘とか,スローガンとか,目標など,選んだ言葉に導かれて能力を最大限に使おうとします。もう一人の自分が自分を励まさなければなりません。(以下次号)

 NTTレゾナント株式会社が,国内最大級の子ども向けポータルサイト「キッズgoo」で検索されたキーワードの検索回数に基づいた年間ランキングを発表しています。人気の言葉ランキングトップ50では,1位が「ゲーム」2位以下は、「点字」「リサイクル」「地球温暖化」と続きました。「赤ちゃんポスト」や「賞味期限」が検索されるなど、時事ニュース関連の具体的な言葉が多く調べられる傾向も出ていました。また,環境関連の言葉では,今年は「打ち水」,「南極の氷」といった「地球温暖化」関連のキーワードが,さらには「地震」「火山」や「絶滅危惧種」などの言葉を検索する子が多かったようです。私たちの住む地球の抱える問題を、子どもたちも理解しようとしているのでしょう。
(→教育家庭新聞 kks.web.newsより抜粋
  http://www.kknews.co.jp/wb/archives/2008/01/post_1550.html )


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