*** 子育ち12章 ***
 

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「第 3-04 章」


『ママの歳 四捨五入して 叱られた』


 ■はじめに

 渡り鳥は何千キロもの空の旅をしています。
 その間,睡眠はきちんととれているのでしょうか?
 不眠不休なのでしょうか?

 鳥は飛びながら寝ているそうです。
 右の頭が寝て,次に左の頭が寝て,交代して寝ています。
 人間もそんなことができたら便利かもしれません。

 音楽を聴きながら勉強するという経験をお持ちでしょう。
 「〜しながら」ということを大人も何気なくしています。
 テレビを見ながら連れあいの話を聞いていると,上の空です。

 ながらができるためには,条件がありそうです。
 音楽は右脳で楽しみ,勉強は左脳でこなすということは分業です。
 連れあいの話をBGMと聞けば,ちゃんと聞いていることになるのかも。

 ものごとを理解するためには,いろんな条件があります。
 今回は,ママがどんな条件を整えたときにわかるのか,を考えてみます。
 わかるとは,分かる,解ると書くことをヒントにして……。



【質問3-04:あなたは,お子さんの理解の悪さが気になりませんか?】

 《「理解する」という内容について,説明が必要ですね!》


 〇分ける?

 「分かる」とは「分ける」ことです。ものごとを五感によって分けてみたときに,ものごとの意味を頭によって分かります。

 例えば,モノは壊れるものです。壊してはじめてそのもののもろさが分かります。オモチャを壊してしまったときに,棄てる前に分解してみると仕組みが分かります。

 子どもがオモチャを運ぼうとするとき,一度で持とうとするから落とします。「いっぺんにするからよ!」と,ママが注意しますね。何回かに分ければいいのです。「食べるか,おしゃべりするのか,どっちかにしなさい」という小言も同じですね。分けるということの効用を意識しておいてください。

 子どもが外から帰ってくると,すかさず「手を洗いなさい!」。後で,ママが洗面所に行くと,石鹸が泥まみれです。「しようのない子ね」と,ママは石鹸を洗います。泥で汚れた手を洗うときは,まず水だけで軽く泥を洗い流してから,石鹸を使えばいいですね。洗うという動作を分けてしつけるのです。

・・・人は分けるという知恵を持っているのです。・・・


 〇聞き分けが悪い?

 オモチャ売り場で座り込んだ子どもに,「あきらめて帰るか,いつまでも泣き続けるか」という選択が突きつけられます。ママは帰る方を選んでほしいのですが,子どもは決めかねています。どちらもオモチャがほしいという思いには届かないからです。ママとの根比べという点では,泣き続ける方を選びたいでしょう。そこで,今日我慢すればもうすぐやってくる誕生日に買ってもらえるという交渉が成立すれば,聞き分けてくれるかもしれませんね。

 分かるには,タイミングがあります。今は分からなくても,時期が来れば分かります。成長の段階に応じて,分かり方が深くなると言えます。幼いときは訳が分かりませんのでママの言うとおりに従わされますが,その方がよい選択であるということは後になって分かるはずです。我慢していい子でいた方が,結局は得するという悪知恵がついてきます。

 人を悩ます問題は,あるときパッと分かるものです。それまではそっと温めておかなければなりません。忘れていても,何かの拍子にフッと思い出されて,何の苦もなく分かってしまいます。その間に,子どもに限らず人は,いろんな体験を積み重ねてきて,理解の準備が整うからです。理解するということも,いくつかに分けてみてください。一年生には一年生の理解があります。ステップバイステップで,簡単な分け方を教えてやって,急がないことです。

・・・分けた後どちらかを選ぶときに迷うのは,分け方がまだ未熟だからです。・・・


 〇サンタクロースはいるか?

 一を聞いて十を知るという言葉があります。一つの分け方を知っていれば,たくさんのことが分かってくるという意味です。一芸に秀でれば,多芸に精通するのも同じです。

 では,その能力を磨くためにはどうすればいいのでしょうか? 謎かけや連想ゲームといった言葉の遊びを楽しむことです。イメージの重なりによって,共通なものを選び取っていきます。「PTAと掛けて,破れたブラジャーと解きます」,「その心はときどきチチがのぞきます」。全く別な状況にある事柄に接点を見つける癖がつけば,一つのことから十の連想につながっていきます。

 連想のできる子が頭のいい子といわれる子です。虫を殺して無惨な死に方を見た経験から,人には危害を加えてはいけないと連想する力を持てる子どもです。ママから心の痛む皮肉を言われ,妹に向かって棘のあるセリフを浴びせるようでは,連想力が育っていないことになります。

 幼い子どもはサンタクロースがいると信じています。やがて成長して実在しないと分かっても,サンタを信じていた心の小部屋には思いやりなどの優しい心が住み込むことができます。何か素敵なものを選び取って信じる部屋を持つことは,そこに連想によってたくさんの素敵なものが寄り集まってきます。子どもらしい純真さをママが大事に選んで育ててやってください。

・・・良いものを選び取る分け方を一つ知れば,よい聞き分けができます。・・・


 〇なぜ勉強しなければ?

 何か災害があって電車が止まると大混乱です。線路があることなど普段は忘れていますが,不通になると思い知らされます。線路自体は何の機能も持っていませんが,電車がいつでも自由に通れるから役に立っています。道路も同じです。何もない空間だから,役に立ちます。

 さて,学生が卒業後訪ねてくると,学校で勉強したことは会社では役に立たないと話してくれます。一般社会では,三角関数や円周率のπなど,普段の生活には全く無用なものでしょう。子どもに「なぜ勉強するのか?」と迫られると,返事に窮します。

 勉強するとは,頭の中に線路を敷くことと同じです。線路自体は何もしてくれないのと同じで,勉強した痕跡はものの役には立たないものです。でも,線路がつながっていることは大事です。そのために学習したものは忘れてしまい,線路だけを残しておくのです。脳の配線を充実させる作業なのです。

 何かの問題に直面したとき,それはかつて学んだことがあると思えれば,解くのは容易です。一度自転車に乗れるようになっていれば,何年もブランクがあっても,すぐに乗りこなせるようになるのと同じです。目に見えない勉強の効用を,まずママがしっかりと自覚しておいてください。

・・・勉強とは人のあらゆる可能性を開花させるための条件整備なのです。・・・


 〇先が見えないとあきらめる?

 物事を解きほぐすためには幾重ものステップがあります。できることを一つ一つこなしていけば,自然に道は開けるものです。算数の応用問題などでも,読んですぐ答が分かるようにはなっていませんが,分かる分だけ一つずつ進むようにすれば,答は向こうからやってくるはずです。物事とは先が見通せないものと覚悟して,それにどうチャレンジするかが人の知恵の発揮しどころです。

 ある家で美味しいぬか漬けをごちそうになった娘さんが,おばあさんの秘伝のぬかで漬けたものということを聞いて,「おばあさん,私にそのぬか床を分けてちょうだい」と頼みました。今風な娘さんなのでしょう。物を手軽に見ているから,モノの価値が見えないし,手間暇を掛けるという作る喜びも味わうことができません。たとえぬか床をもらって帰っても,直にダメにしてしまうことは目に見えています。

 面倒なことを嫌がっていると,何かを造り出す幾重ものステップが踏めず,インスタントに走ります。手軽な生活もそれはそれでいいのですが,考えることまでも手軽にしようとすることが,理解力の不足をもたらしかねません。衣食住に頭を使うことが,何よりの勉強になります。ちょっと考えてあきらめる弱さを子どもたちは持っていますが,一つ考えるだけで解けることは生きる上でどこにもないのです。本物の育ちのチャンスを用意してやって下さい。

・・・考える楽しみとは,先が見えないから生まれます。・・・


 〇分からない?

 ママが勉強を見てやっていて,子どもが詰まったとき,「どこが分からないの」と尋ねると,「どこが分からないか分からない」と言います。分かるためには分ける基準が必要ですが,それを曖昧にしているからです。

 スイカは野菜か果物か? このときに意識すべき基準は,木になるかどうかということです。木になれば果物です。スイカの木などありませんから,野菜なのです。

 ここで,あの訳の分からない分数を分かりましょう? まず,準備運動です。2+3=? 答は5ですね。では応用問題です。男の子2人と女の子3人では何人ですか? 答は5人ですね。間違いありませんか? 子どもの中にはこの問題ができない子もいます。なぜでしょう? 男と女は足せないのです。この子の方が正解です。ウッソー! では,バラの花2本と鉛筆3本では何本ですか? 答は5本ではありませんね。足せませんよね。足し算は同じものでないと足せないのです。男の子と女の子が何とか足せる理由は,どちらも同じ子どもだと読み替えることができるからです。5人とは男の子でも女の子でもない,子どもの人数なのです。

 では,分数の足し算です。(1/2)+(1/3)=? 通分とかいうことをしなければなりませんが,その意味が分かりませんね。(1/2)は2つに分けたものが1つ,(1/3)は3つに分けたものが1つということです。2つと3つという風に分けた大きさが違います。足し算は同じものでないと足せませんから,分けた大きさを同じにしなければなりません。そこで2でも3でも割り切れる6という数で,分けてやります。(1/2)は6つに分けたものが3個と同じです。(1/3)は6つに分けたものが2個と同じです。同じ6つに分けたもの同士ですから,6つに分けたものが5個と足すことができます。通分するとは,同じ種類のものに読み替えることなのです。今,分数が分かりましたね。お子さんにお裾分けを!

・・・分からない理由は,分ける意味が見えないことです。・・・



《理解するとは,何かの物差しで分けてみることです。》

 ○人の性格を分かろうとするとき,血液型で分けていませんか? 分ければ分かったような気になります。因みに,モリのクマさんはB型です。ついでに星座は水瓶座。どんな人間かお分かりになりましたか?
 いろんな分け方を知っていると,森羅万象が分かるはずですが,未だに女性は分かりません。その意味で,女性に対する理解の悪さはこれからの課題です。時期が来れば,分かるかなと楽しみにしています。


 【質問3-04:あなたは,お子さんの理解の悪さが気になりませんか?】

   ●答は?・・・どちらかと言えば,「ノー」ですよね!?

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