*** 子育ち12章 ***
 

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「第 33-01 章」


『子育ちは 見られる自分 見る自分』


【心象33-01:自分を中心に考えるもう一人の子どもの誕生】

 ■子育ち12心象■
『子育ち第1心象』
〜子どもの影にもう一人〜

※旦那に「自分のことは自分でやってよ!あなたは珠希じゃないんだから!!」と怒ると,娘が後ろで「わたしはたまきです!わたしはたまきです!」としつこく連呼し始めた。(パパはケンイチです。)

 叱られているのは珠希じゃない人,わたしはたまき。わたしは関係ない,と言っているのでしょう。はっきりしておかないと,ママの怒りのとばっちりが飛んでくるかもしれないので,先手を打つ効果があります。そんな深謀があるはずもないと思われるでしょうが,自分を守るという子どもの本能が敏感に働いています。自分を守ろうとするのはだれ? もう一人の子どもです。

※お気に入りの教育テレビが国会討論の中継のため,子供向け番組がみれなかった5歳の娘はテレビに向かって「もうっ!こんなのばっかり!子供達の事なんてどうでもいいと思ってるんでしょっ!!」。(きよち)

 自分の思い通りにことが運ばないと,わたしのことなどどうでもいいと思っているのでしょ!と切り口上を持ち出すのは,そばにいる誰かによく似ています。ところで,この娘さんは,わたしのことと言わずに,子どもたちのことと言っているところが賢いですね。自分を子どもたちという社会的な関係の中で捉えています。自分を子どもたちの中に入れて見ることができるのは,もう一人の子どもがちゃんと育っているからです。

※2歳の娘は何かと反抗したがるお年頃。ある日探し物をしていて,「ママ、××しらない?」と聞くので,「ママは知らないよ〜」と答えると,「△△(自分の名前)は知ってるよ!」とおっしゃる。…じゃあ何探してんの?(おず)

 子どもがする反抗とは,親を困らせようとか,親を否定しようというのではありません。ひたすら,親とは違う自分を自己確認しようとしているだけです。親とは違う自分,それは自分を発見する手立てです。親と自分を比べてみているのが,もう一人の子どもです。人とは違うことで自分を意識するというプロセスは子どもだけではありませんね。もちろん,違ってばかりではなく,同じであることも大切ですが,一つの通過儀礼が反抗期です。

※パパからメールで「『今日は外で食事済ますよ』だって」と2歳の息子に言うとしばらく考えた後に,「ちゃんとベンチあるかなあ?」。お外っていっても,たまにママと君が公園で食べるランチのように,ベンチで食べるわけじゃないんだよ。(けんとのママ)

 子どもが知っている「お外で食べる」という経験のメモリーは,公園のベンチの風景しかありません。それ以外に検索のしようがありません。それよりも,自分の経験の中にある付随情報,ベンチを見つけることがそれほど簡単ではなかったということ,その経験をパパの身になって考えることができていて,素晴らしいことです。思いやりができる育ちをしていることをほめてあげましょう。

※1年生のバカ息子。夏休みの一行日記をちっともやらないので,『何でもいいから早く書きなさ〜い!』と言ったところ,出来上がった様子。のぞいて見たら"きょうはままがうるさかった"…がっかりです。(字はみみず)

 何でもいいからと言っても,そこにはそれなりの限度というか幅があるでしょう!? 子どもは周りの状況,自分に求められていることを勘案する力は未熟です。また,自分のことを常に意識しているわけでもありません。自分を押し出すことがこの時期の育ちなので,今自分にあるものを出すことで精一杯です。したがって,日記というのはかなり難しい課題です。しかし,自分の一日を振り返ろうとするとき,もう一人の子どもが目覚めます。それが大事なことです。




 御常連の方にはおなじみですが,この羅針盤では「もう一人の子ども(自分)」というキーワードが出てきます。二重人格ではありません。例えば,朝目覚めたときに,まだ寝ていたいと思う自分を,起きなさいと指示するもうひとりの自分がいます。自我といわれるイメージと重なります。この版では,さまざまな行動を通して見せてくれるもう一人の子どもの存在を「心象」というイメージで語っていきます。簡単には,子どもの心の動きと考えて下さい。

 仏像の姿をごらんになったことがあるでしょう。その目を思い出して下さい。半眼といって,開くでもなく閉じるでもなく,中途半端な,まるで眠たいときの目をしています。目を開くと外の世界を見ることができます。一方,目を閉じると内の世界,自分を見ることができます。どちらかしか見えません。そこで,仏像の目は半眼であることで,外と内の世界をバランス良く見ることができるようになります。自分を見るのがもう一人の自分の目なのです。


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