*** 子育ち12章 ***
 

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「第 33-05 章」


『子育ちは 伝わる言葉 確かめて』


【心象33-05:言葉を対話によって正確に覚えていく子ども】

 ■子育ち12心象■
『子育ち第5心象』
〜言葉の道に王道なし〜

※最近よく「こちら中古バイクの買い取り専門店××です」などと軽トラがまわってくる。それをいつも嬉しそうに真似するうちの息子。「こちら中古バイクの買い取りしません…」。何しに来てんねん!!(あかんやん)

 子どもは耳から言葉を仕入れていきます。買い取り専門=かいとり・せんもん=かいとり・しない=かいとり・しません。子どもなりにちゃんと聞き取っています。専門という難しい言葉は子どもの辞書にはまだ未記入です。音の世界に住んでいる幼い子どもは,音を自分の知っている音の言葉と符合させます。家庭生活の中にある言葉を豊かにして子どもの辞書を増やすことが,おしゃべりの得意なママの役割です。言葉とは母語なのですから!

※最近ひらがなとカタカナが読めるようになってきた4歳の息子。ある日私が翌朝出すゴミをまとめていたら,「明日は痩せるゴミの日?」。ふと見るとゴミ袋には「燃やせるゴミ」の文字が。やせるゴミ…あったらいいね。(コロコロ)

 ひらがなやカタカナの文字は音の言葉と直結しているので,覚えやすくなっています。例えば,「あ」はあという音であり,あし,あみ,あんこ・・・など,どこにでも現れ,特別な意味は備わっていません。ところが,燃という漢字は意味を持っているので,燃えるという場面でしか使えない限定語です。いちいち使う場面と一緒に覚えなければならないので,子どもには簡単ではありません。知らない漢字は文字と見えないので,子どもは読み飛ばします。

※3歳になる娘がリモコンを指差して『ママ,どうしてここに"おしっこ"と"うんち"ってかいてあるの?』と聞くので見てみると,音量の『大』と『小』でした。大爆笑しました。子供の観察力にはびっくりです。(みゆう)

 子どもの暮らしの中では,大と小という記号はトイレにあり,生活の知恵としてその意味も覚えていきます。大便と小便という言葉を知らないので,小の記号がおしっこという意味であると思っています。生きていく上で必要な情報が記号=漢字から読み取れるという経験をすれば,文字の世界に入っていく準備ができます。「危」という記号はあぶないという意味であると教えておけば,危険という看板を見たとき,危ないというメッセージを読むことができます。

※2歳の息子が,ママのほっぺのほくろを指差して,「これ何?」と聞くので,「これは,ほくろっちゅうものだよ」と教えた。「そっか」と納得していたが,それ以来,ママのほっぺにあるのは「ほくろっちゅう」。ママが悪かった。(ほくろっちゅう)

 「これ何?」。最小限の言葉です。その返事は「これホクロ」で済みます。「・・・ちゅう(という)・・・」という言葉を知らないので,知らない「ホクロ」と知らない「ちゅう」が合体しても不思議ではありません。幼児の言葉遣いはほぼ単語です。文章を理解するにはもう少し訓練が必要なので,当分はできるだけ簡単な単語でいいでしょう。「これは何というの?」と言えるようになれば,「ほくろっちゅうもの」の答えが理解できます。

※2歳の息子と"「パパは?」,「会社」"といういつもの会話で,「今日は泊まるんだって。泊まるって分かる?」と聞くと,「わかる」と息子。「分かるのぉ? じゃ,説明して」と言うと,「あか,ちんごう(信号)とまる」…。まあ、トマルはトマルでもねぇ。(母子家庭)

 素晴らしい対話です。分かるかどうか確認するだけではなく,きちんと説明をさせています。子どもの理解がどの程度なのか,今の場合は勘違いをしていることが分かります。この確認をしないと,言ったことが通じているとママは勘違いします。子どもも分かったつもりですが,今ひとつ釈然としないはずです。赤信号で止まっているパパの姿を思い浮かべていることでしょう。言葉一つの誤解で連想はとんでもないところに飛んでいきます。大事にして下さい。




 知恵というのはそこら中に組み込まれています。住んでいる家も知恵の固まりです。暮らしの道具も知恵の結晶です。ケータイも知恵の容器ですが,それを使うためにはマニュアルという言葉の導きが必要です。人に教えてもらうときにも言葉によります。必要な専門用語を知らないと,知恵に届く道が閉ざされます。技術的なことだけではなく,生きていく上で必要な知恵を自分の中にインストールするには,言葉というソフトを使う必要があります。

 しあわせ=幸せ。語源は,仕合わせ,為合わせで,良いことが重なるという意味だそうです。元は二つの動作・行動をして合わせることだったのですが,良いことが重なるという場合だけに使われるようになったようです。幸という字は,若死の逆,すなわち長生きが語源ということです。行為を合わせることという形を受けると,一人よりも二人の方が仕合わせに近いということになります。母子,父子,夫婦それぞれに仕合わせでありたいですね。


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