*** 子育ち12章 ***
 

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「第 34-06 章」


『子育ちは 経験語る 言葉得て』


【設問34-06:経験を知恵に結びつけるのは何でしょう?】

 ■子育ち12設問■
『子育ち第6設問』
〜経験+言葉=知恵〜

 言葉を正確に使いこなす子ども。そんな子どもに育って欲しいですね。おしゃべりはできるのに,きちんと話すべきときには言葉に窮することがあります。若者の言葉の乱れはいつの時代にも言われることですが,言葉の貧弱さには気をつけなければなりません。例えば,ヤバイとかカワイイという言葉があまりに頻繁に聞こえてきます。言葉数が少ないので,一つの言葉が多義性を帯びています。何でもかんでも,一つの言葉で済ませてしまいます。

 言葉は知識を表します。絵本でゾウさんを見て,ゾウという動物の名前を覚えます。でも,実物を見ない間は仮のイメージです。本物を見たことがある子どもとはイメージは全く違います。クマのプーさんを通してクマを知っている子どもは,本物のクマの怖さを知りません。危険な知識になることを恐れなければなりません。子どもが動物園に行くことを喜ぶのは,名前を知っている動物のイメージを本物とつきあわせて確認できる喜びなのです。

 言葉の重みといわれるものがあります。話す方と聞く方で重みが違います。軽い冗談で話した言葉が、言われた方には心の傷になることがあります。気持ちを込めて話した言葉が,軽く聞き流されてしまうことがあります。直に話しているときには,語調や表情などの情報が付加されているので,すれ違いは少なくて済みます。ところが,いじめが話題になるネット世界では,文字言葉だけしか伝わらないので,双方の思いが通じずに誤解が入り込みます。

 きちんとしなさい! しっかりしなさい! そう言われて,子どもは「きちんとって?」と思います。きちんとして見せて,「きちんとなったでしょ」と言って聞かせます。「してごらん」とさせてみて,「できたじゃないの」とほめてやりましょう。具体的な形を見たり感じたりする経験があれば,生き生きとした言葉を使えるようになります。熱いものに触った経験があるから,「熱い」という言葉が正しく使えますし,身を守る知恵となります。

 子どもはママの真似が上手です。一人遊びをしているとき,ママの言葉をしっかりと受け継いでいます。家庭生活の中での経験に結びついた言葉が子どもの思いや考えを自然に導いていきます。親が言うようには育たず,親がするように育っていくのは,経験と結びついた言葉を,子どもはしっかりと覚えることができるからです。何度言っても分からない,という嘆きが聞こえますが,経験を抜きにした言葉になっていないでしょうか?

 ところで,読書は言葉の学びとしてどのように有効なのでしょう? 読書はもう一人の自分が主人公に同化することで楽しむことができます。主人公になったつもりで,本の世界で経験をしています。現実の世界では味わえない経験をし,主人公という他人の言葉を取り入れることができます。確かに本の世界は虚構ですので経験としては不完全ですが,基本練習として役に立ちます。生活の中で似たことに出会ったとき参考になります。

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※一つ一つの言葉は素材です。言葉をつなぐことを覚えなければ,知恵は深くなりません。「犬」。「どんな犬?」,「大きな犬」。「大きいってどれくらい?」,「わかんない」。「色は?」,「茶色」。言葉をつながなければ,具体的なイメージが伝わりません。辞書にはたくさんの言葉が載っていますが,バラバラの素材として並べられているので,まとまったイメージはありません。文章として言葉をつなぐ訓練が必要です。きちんと対話をしましょう。

※流れ星に願いをかける,ということを教えられた子どもが,「星は日本語が分かるの?」と問いました。洋画の吹き替えを見ていたお年寄りが,「外国人なのに日本語が上手だね」と言ったとか。言葉が通じなかったという経験を持てば,相手に分かるように言わなければとは思います。日常の会話でも,お互いに同じ経験を持っていなければ,言葉が通じないことがあります。マニアの話がよく分からないという経験は誰しもあるでしょう。




 もう一人の自分は,「自分はやればできる」と自惚れたり,「自分はやってもできない」と自棄になったりします。どちらも,あまり好ましくはありません。もう一人の自分が自分をあるがままに認める癖をつけておかなければ,育ちはしなくていい紆余曲折をたどります。育ちは経験の積み重ねですので,やろうとしないことが育ちを滞らせます。やらない理由として出てくるのが,自惚れや自棄の言葉です。自分を大切にしようとする本能かもしれません。

 この地球上で最も星に近いところはどこか,ご存じですか? 世界最高峰の海抜8848mのエベレスト山頂ではありません。南米エクアドルにある海抜6267mのチンボラソという山の頂上です。その理由は,地球が球体ではなく,赤道方向の半径が大きく膨らんでいることです。海面も膨らむので,海面から測った高さが低くても,海面自体が地球の中心から遠くにあるので,その山頂は最も地球から突き出ることになります。


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