『子育ちは 自分のミスを 受け止めて』
【設問34-11:自分の成長はどう促せばいいのでしょう?】
■子育ち12設問■
『子育ち第11設問』
〜鍛える自覚〜
くよくよせずに立ち直ることのできる子ども。そんな子どもに育って欲しいですね。子どもは常に育ちの壁際にいます。しくじってばかりいます。育てようとする目で見れば,そんな子どもの足踏み状態は心配になります。そこでついつい手を貸したり,代わってしてやったり,できないと見越してやらせなかったりします。子どもにとっては大きなお世話なのです。もう一人の子どもが自分にさせようとする育ちのプロセスを取り上げているからです。
お兄ちゃんを見て,ぼくもあのようになりたい。お姉ちゃんを見て,わたしもあのようになりたい。そのような育ちの目標に向かって,もう一人の子どもが自分を育てようとします。実際には思うように事が運びません。明日になればとか,そのうちにできるようになるという確かな可能性を信じて,飽きもせずに失敗を繰り返していきます。その姿が健気ということになります。子どもができないでいる姿,先ずはその育ちの出発点を焦らずに見守ることが子育てです。
親は子どもが喜ぶ姿を見るのが好きです。そこで甘やかすという二つの間違いを犯します。一つは,子どもの言いなりになることです。子どもが自分の思いをかなえようと努力するチャンスを奪います。その先で待っているのは,人を利用すればいいという依存癖です。その癖がついてしまうと,後で直すのは相当に難しくなります。もう一つは思ってもいないことが棚ぼた式にかなうという究極の甘えです。自分の思いすら見つめようとはしなくなります。人形です。
育ちは自分の思いをかなえるために自ら行動しようとすることによって促されます。自分でしなければ何も起こらない,してもうまくいかない,どうすればいいのか,そのような過程を一つ一つ踏んでいくことです。あれこれやってみてできるようになった,思いがかなったとき,子どもは自分で喜ぶことができます。喜ばせてもらうのではなく,自分で喜ぶことができる,それが心を充実させる喜びです。自分で経験した苦労だけが,力となって身につきます。
最近の子育てでは,鍛えるという要素が薄くなっているようです。そんなはずはない,厳しく指導していると言われるでしょうか? させられている鍛えは逃げようという気持ちが働くので,鍛えになりません。もう一人の子どもが自分を鍛えるという覚悟を持つ必要があります。そのためには,ピンチになるという状況が有効です。朝起きることができなくて遅刻しそうになるといったことです。起こしてくれなかったから,という言い訳が言えないように・・・。
思うようにいかない自分,失敗した自分,もう一人の子どもは自分を見限るわけには生きません。失敗した自分を責めるのではなくて,失敗そのものをきっちりと反省することによって育ちが始まります。親が失敗した子どもを叱ったり,駄目呼ばわりしては,子どもは失敗を見ることができなくなります。子どもは失敗していい,あるいは失敗した分だけ育つと思って,黙って励ましの目を向けてやって下さい。危険域に入らない用心をしながら。
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※失敗したらどうしよう。そう思うと気持ちが守りになります。怖がるようになり,できない理由を探して逃げようとします。折角の育ちの機会を逃してしまうと,その先に続いているより高い育ちを失います。足し算ができないと掛け算が,掛け算をサボっていると割り算はお手上げになります。小学生をちゃんと過ごしていないと,中学生にはなれないということです。失敗しないと,失敗しなくなる育ちができないのです。
※勉強のコツは,予習です。教科書を自分で読んで,自分の力で理解しておきます。授業を聞いて,正しければ自信がつきますし,勘違いをしていたら,どこで間違えたか気がつきます。気がつくということが反省になります。予習して分からないところがあれば,自分の弱点を自覚しているので,自分なりの授業を聞くポイントがはっきりします。予習をせずに漫然とだらだら授業を受けていると,自分にとってどこが大事なのか分からないので,身につきません。
行き詰まったとき,どうしようかと考えます。いろんな経験を思い出しながら,似たようなことがなかったか思い出そうとします。それまでの自分の経験が豊かであれば,良い方法が見つかるでしょう。子どもはまだたくさんの経験をしていません。そこで身近にいる年長者の経験を真似しようとします。もちろん真似するという意識はありません。素直に取り入れているだけです。意識していない学びです。
子どもはローストチキンが好きですね。その骨の部分は銀紙で包まれています。銀紙の所をつかんでかぶりついてはいませんか? あの銀紙は手が汚れないように包んであるのではありません。骨が見えないように隠すためのものです。しゃれたレストランに出かけたときは,手で持ったりせずに,ちゃんとナイフとフォークを使って食べるようにしてください。知っていると知らないとでは,大違いですね。