*** 子育ち12章 ***
 

Welcome to Bear's Home-Page
「第 34-13 章」


『子育ちは 生きる自分を 喜んで』


【設問34-13:生きる喜びとはどのようなものでしょう?】

 ■子育ち12設問■
『子育ち第13設問』
〜今の自分への問いかけ〜

 目を輝かせて真っ直ぐと前に進むことのできる子ども。そんな子どもに育って欲しいですね。何もせずにぼんやりと日々を送っていると,もう一人の子どもは生きていてもつまらない自分に滅入るでしょう。若者の無気力・無関心・無感動ということが言われたときがありました。それでは生きていることにはならないという直感があるからです。気力が充実し,旺盛な関心にあふれ,深い感動に浸るとき,もう一人の子どもは生きている喜びを見いだすことでしょう。

 ひとりぼっちだと思うとき,どうして寂しいのでしょう。人は社会的動物だとアリストテレスが定義しましたが,仲間や同士がいてくれると落ち着くのは本能なのかもしれません。男女の結びつきがベターハーフと意識されることや,人の字が支えあう形であると言われてうなずいてしまうことは,人のつながりが生きていく必須の要件であるということでしょう。心の通い合う連れがいることが,生きる喜びの在処になります。子どもには親の懐に抱かれることです。

 心弾むまま歌を口ずさむと,身体が喜びます。生きることはリズムを刻むことです。気持ちが揺さぶられる陶酔感は、一本調子なものからは湧いてきません。五七調を基本とする言葉の流れが耳に馴染むのも,身体のリズムに合うからでしょう。言葉の美しさということも,言葉が命と共鳴するところにあると思われます。聞いていて心地よい言葉と,聞きたくもない言葉があります。美しい言葉に触れるとき,心が生きる喜びにあふれます。母の言葉が子どもの心に届きます。

 人の優しさに気付くとき,人っていいなと思います。豊かな優しさを受け取っていることに気付くと,やがて優しさが周りにほとばしるようになります。人の喜びが自分の喜びであると思うようになります。物の豊かさといった薄っぺらなものではなく,心の豊かさに包まれる優しさが深い喜びを誘います。私が生きるというのではなく,私たちが生きると思うことができると,生きることが楽しくなってきます。親の愛情はじんわりと子どもの優しい心を開きます。

 明日に夢を描くことができると,生きている喜びが燃え続けます。これでいいともう一人の子どもが現状に満足してしまうと,子どもを駆り立てることをしなくなります。内からわき上がる気力が薄れてきます。病は気からといわれますが,生きる活力も気力の引き金がなければ発揮されません。今はなんとなく足りない,もっと良くなりたい,いろんな形で十分ではないという一種の飢餓感が,これからの目標を探し出す契機となります。育ちの意欲が生きる喜びの源です。

 生きることは変わっていくことです。自分が向上していることを実感できると,生きているという喜びがあります。人は日々同じように見えますが,ある期間で見ると変わっています。子どもは学年が進むという節目があるために,変わっていることを確認することができます。アルバムなどを振り返ると,変わりようが具体的です。未熟であった自分が嘘みたいに思えると,生きたことの証が経験として蓄積している喜びに気付かされるでしょう。育ちを認めてやりましょう。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
※生きているということを,普段は意識することはありません。病気になったとき健康であることの喜びに気がつくことと同じで,失ったときに気がつくのでしょう。それでは後の祭りです。不幸であることには敏感ですが,幸福であることには鈍感です。生きている喜び,それは本能の充足という段階でも可能です。でもそれだけでは人として生きているとは言えないでしょう。生きる喜びとは? それは今の自分の生き様の中にしかありません。

※パソコンもテレビも携帯もオフにして,自分に問いかけてみる時間を取り返さなければなりません。生きる喜び,それはもう一人の自分と自分との対話からしか答えの出ない問です。生きる+喜び。とても簡単な言葉の組み合わせですが,自分で考えるべき問です。普段の暮らしとは違っている子育ての苦労から多くの親が学んできたことは,生きる喜びを見つけることであったかもしれません。子育ては親育ちと言われる所以です。




 子育て羅針盤の第34版は今号で完了します。次号からは第35版として,従来と同じように13編のメールをお届けします。テーマは「子育ち12基礎力」です。2007年に「社会人12の基礎力」という指標が提示されました。この子育て羅針盤でも12指標を基本としており,表現の違いはありますが,重ね合わせることが可能です。そこで,次の版では,社会人12の基礎力に掲げられている指標を参考にして,子育ちに当てはめて論じてみようと思っています。

 人の体内リズムの一つに,ウルトラディアンリズム(ultradian rhythm)があります。休息と活動の基礎周期として,約90分ごとに繰り返される周期があり,集中力の持続は90分が限度といわれています。そう言われてみると,映画も1時間30分程度です。大学の授業時間が90分です,半分にすると45分で,義務教育の授業時間になります。この体内リズムを壊しているのが,テレビのCMです。集中すべき持続時間をズタズタに切り刻んでいます。ご注意を・・・。


「子育ち12章」:インデックスに進みます
「子育ち12章」:第34-12章に戻ります
「子育ち12章」:第35-01章に進みます