*** 子育ち12章 ***
 

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「第 35-04 章」


『子育ちは 周りと上手く 付き合って』


【基礎力35-04:周囲との関係性を理解する力(協調性)?】

 ■子育ち12基礎力■
『子育ち第4基礎力』
〜支えられている自分に気付く〜

 人は独りで生きてはいけないという初期体験があります。例えば,動物に比べて人間の赤ちゃんは早産です。母体保護のために,早く出てこなくてはなりません。動物が産まれてすぐに歩き始めることに比べて,人間の赤ちゃんはかなりの月数を必要にしています。数年は親の世話を受けなくてはなりません。周りにいる人との関係が不可欠であるという直感は本能的ですが,やがて社会性の意味と重要性をもう一人の自分が意識できるようにならなければなりません。

 衣食住のあらゆることが,多くのものに支えられています。例えば,毎日の食事の素材は動植物の命です。石や土を食べているのではありません。残さずきちんと食べてあげるという感謝が,いただきますという言葉に込められています。パック詰めの食品しか見ていないと,周囲との関係が分かりません。そこまでには,生産者をはじめとして,集荷,運送,販売,検査,小売りといった業務に多くの人が関わってくれています。社会の理解が必要です。

 自分一人で生きていけると思い違いをしています。例えば,カネさえあれば何でもできると思っています。ついには道を踏み外すことになります。カネは人間環境を維持している通貨に過ぎません。お互い様の思いから物々交換が始まり,その範囲が広がる中で商人が介在するようになり,取引を行う切符として通貨ができました。自分の暮らしが他者の暮らしとつながっていることを見落とすとき,カネを目的とする浅ましさに染まります。人は社会の一員なのです。

 他者との関係を通して自分を読み取る力が弱くなっています。例えば,歩道を歩いていると,自転車に乗った子どもが突っ込んできます。ぶつからないようにすり抜けていきますが,ぶつかるかもしれない危うさを歩行者に押しつけていることに気配りをしていません。傍若無人なのです。接触しても,わざとしたのではないからと言い逃れます。行きずりの見知らぬ人は自分とは関係のない人,気を遣う必要はないという育ちの先に何が待っているか,心配です。

 親世代には経験のない新しい周囲との関係性があります。例えば,ケイタイネットの世界につながっているという関係性です。その関係性は限りなく不透明です。自分でコントロールすることができない世界につながっているという実感がほとんどありません。すぐそこにいる人とつながっているようにみえて,実のところは気持ちという情報はほとんど切り捨てられています。文字情報は受け手が勝手に意味づけするものという弱点が,誤解を生んでしまいます。

 情けは人のためならず。情けをかけると,その人が甘えて駄目になるので,情けをかけない方がためになる,そんな理解があります。教育的配慮という視点のみが強く身につけられています。対人関係という限定された関係しかありません。見ず知らずの人を巻き込んだ中に自分が居て,情けをかけると,その広い関係に中で情けが巡り巡って返ってくるという想像ができなくなっています。情けの広がりを実感できないと,自分が生きづらくなるのですが・・・。

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※関係には濃淡があります。誰とでも仲良くすることなんてできません。仲良くない人とは,それなりにお付き合いをすればいいのです。ところが,仲良くない人は敵とみなす偏狭さがあります。友達でなければ無視することをします。あいさつぐらいはする緩やかな関係というものを失うと,関係がギスギスして,不安になり,居場所が狭まります。シカトするといった理不尽さは,自分に返ってきます。人にしたことが自分に返ってくる,それが社会というものです。

※渡る世間は鬼ばかり。捨てる神あれば拾う神あり。どちらも頷けます。周囲との関係性は,自分にとって悪いこともあれば良いこともあります。どちらか一方だけということはありません。さらには,今日は悪いことであっても,明日には良いことに転化することもあります。何が良いことであるかは分からないところが悩ましいのですが,だからこそ関係を上手に生かす覚悟が大事になります。関係の中で自分をどう生かすか,もう一人の自分の力量が問われます。




 聞き上手が話し上手。しっかりと聞いてあげると,話す方はすっきりとします。それは,聞いてもらおうと思うと,相手に分かるように言葉を選びます。そのプロセスが自分の話したいことを整理する作業になるからです。感情的にならずに冷静に自分を見つめなければ,話す言葉が見つかりません。聞き上手な人は,より適切な言葉で言い換えたり,足りない言葉を補ったりして,言葉を探す手伝いをしてくれます。子どもの表現力を育てるのは,大人の聞く耳です。

 「起きよ おきよ。ねぐらのすずめ。朝日の光の さし来ぬさきに。ねぐらを出でて こずえにとまり。遊べよ すずめ。歌えよ すずめ」。これはあまり知られていませんが,唱歌「蝶々」の2番の歌詞です。1番と2番の作詞者が違っているのもおもしろいことです。歌を覚えたら,すずめが身近に感じられることでしょう。子どもは擬人化することで,周りを温かく理解し受け入れるようになります。機会を見つけて教えてやって下さい。


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