*** 子育ち12章 ***
 

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「第 35-06 章」


『子育ちは 意見の違い 折り合って』


【基礎力35-06:相手の意見を丁寧に聴ける力(傾聴性)?】

 ■子育ち12基礎力■
『子育ち第6基礎力』
〜話し上手は聞き上手〜

 大人のお話をしっかり聞くという訓練が疎かになっています。例えば,教室で先生の話や支持を聞けない子どもが増えています。聞こえてはいるのですが,理解し記憶するという働きが止まっています。自分の関心のあること以外は聞き取れなくなっています。おそらく,テレビの影響でしょう。テレビを見ているとき,おもしろいところだけ聞き取っています。見たい番組を真剣に見るというのではなく,つけっぱなしのテレビを聞いている癖がついているようです。

 子どもは聞き間違いの名人です。例えば,選挙カーから聞こえてくる「ごせいえんおねがいします」というメッセージを,「五千円お願いします」と聞き取ります。「ごせいえん=ご声援」という音と言葉の対応表ができていないので,「ごせいえん=五千円」という自分の辞書にある言葉につなげてしまいます。知らない言葉は聞こえても聞き取ることができません。ただ,このことは言葉を覚えていく途中の過程なので,笑ったりせずに,その都度きちんと教えていけばいいのです。

 一つ一つの言葉は限られた意味しか持ちません。例えば,辞書を開いて,そこに並んでいる言葉を続けて読んでも,何の意味もありません。言葉はつながって文章となることでそれぞれの意味が明確になり,文章が連なることによって,一つのイメージを描くことができます。気をつけなければならないことは,一つの文章だけを抜き出すと,全く違った意味づけが可能になるということです。聞き手が都合のいいように勝手に解釈するということです。丁寧に聞かないと誤解が起こります。

 話し合いをするとき,聞くことに集中することは難しいかもしれません。例えば,教室で子どもたちが意見発表をする際に,他の人が言ったことと同じことを発表します。他の人は他の人,自分は自分といった風です。自分が発表するということに集中しているために,聞こうとする気構えになれません。「付け加え」ということで発表する子もいますが,意見を聞いた上での発表になっています。話し合いの目的は,他の意見に触発されて新しい意見を考えようとすることなのです。

 コミュニケーションは双方の共通理解が原則です。一方が話し,他方が聞くだけでは済みません。聞き手が聞いて理解したことを返して,確認をすることが必要になります。伝えても伝わったとは限らないからです。聞き手にとっては,聞いていることにずれがないということを確かめなければ,丁寧に聞いていることにはなりません。聞き上手とは,相手の言ったことを自分の言葉で話すことができることです。同感するかどうかは別にして,言い分を一度は受け入れることです。

 意見は対立することが多々あります。自分の意に染まない意見は,聞く耳持たないと退けてしまいたくなります。でも,それは逃げているに過ぎません。そういう意見もあるということを飲み込んで,自分の意見との異同を冷静に判断する器量が大事です。自分の意見がより洗練されたものになるチャンスです。意見は十人十色であるということを前提にして,決して違った意見を言う人を排除することのないように心掛けることが,社会性となります。

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※カラオケが登場して,歌うことを楽しみにする人が増えたようです。集まりでカラオケが始まると,場が盛り上がるとは限らなくなってきました。確かに歌っている人は気持ちよさそうですが,聞いている方がのってこないのです。自分が何を歌うか曲探しに気を取られたり,早く終わって順番を回して欲しいといった感じがあります。一緒に歌うという楽しみが薄れて,それぞれが勝手に歌っています。歌いっぷりを聞かないから,自分の歌も聞いてもらえません。つまらないですね。

※意見を言うときに,攻めまくる人がいます。特に分が悪いときには,声高になっていきます。声の大きさでねじ伏せようとしているようですが,一時しのぎでしかありません。議論は勝負ではなく調整です。面子のような余計なものを持ち込んでは,ねじれてしまいます。また,妙な意見に巻き込まれないように注意することも必要です。得することや恐れを強調することで,冷静に聴く力を封じるという手があります。意見の言い方の手練手管には要注意です。




 言葉だけによるイメージの世界は,どのようなことも可能です。空間や時間を飛び越えて,世の中も意のままになると勘違いをします。逆に,意のままにならないと世間が悪いと思い込みます。もう一人の子どもが,時間や空間に縛られている自分,世の中の一員でしかないという自分に気付かなければなりません。その上で,自分に何ができるか,何をしようとしているのか,地道に自分を導いていく必要があります。世間に合わせながら,自分を生かそうとすることです。

 子どもたちが電車ごっこをしていると,「出発進行」とかけ声を掛けて,発車します。運転者さんは,安全に運行するために信号や指示に従っており,指差しながら声に出しています。その指差喚呼のときに発する言葉を喚呼用語といい,その一つが出発進行です。出発しますというのではなく,出発信号が進行を示していることを確認しているのです。出発進行と言ってから,出発の用意をして,発車のコールで走り出します。信号を守っていることを教えて下さい。


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