『子育ちは できる期待を 持ち続け』
【基礎力35-10:新しい価値を具体化できる力(創造性)?】
■子育ち12基礎力■
『子育ち第10基礎力』
〜何とかなるかも〜
子どもは手近にあるものを見立てて遊ぶのが得意です。例えば,部屋に帯状の筋を見つけると,それは道路になったり、線路になったりします。木の枝を飛行機に見立てて空中を自由に飛んでみせます。想像して代用する工夫は,創造性の入口です。オモチャがないから遊べないという固定化した発想は,創造性から最も遠いものです。子どもの頃にした自由な発想という種があるから,長じて創造的な仕事ができるようになります。
子どもが物事を覚えていくのは,試行錯誤の連続です。例えば,身近な機器をマニュアルを読まずに使いこなすようになります。こうしたらどうなるだろう,その好奇心だけで,あれこれいじり回す内に,使い方を会得します。先が見えないと手を出せない大人とは違います。してみれば何が起こるか分かるという経験知が子どもの学び方です。もちろん余計なことや至らないことをする失敗も多いでしょうが,試行錯誤ができるという力は,創造に向かう力となります。
キッチンにある様々な道具の使い道を,見て知っていきます。例えば,お箸はただの2本の棒ですが,とても便利な食器です。堅いものも柔らかいものも,自由につかみ取ることができます。包丁は食材を自由自在に加工する道具です。何ができるかという機能と道具が結びつくと,人の能力を補う技術のアイデアを獲得することができます。鍋やフライパンといった用途別の道具があることを知れば,形と用途の間にはそれなりの理由があることを学ぶことができます。
もう一人の自分がこうしたいと思っても自分にはできないことがあります。例えば,高いところにあるものを取りたいといったことがあります。棒を持ってくるとか,イスを持ってくるとかの知恵が出てきます。自分の背丈に足すものを使う,足し算の理屈を発見します。その経験を理屈として整理する力が生まれると,1つの経験を他の多くの場合にも応用することができます。経験するだけではなく,それを理屈にまとめる力から,創造性が拓かれます。
雑草という名前の草はないといわれます。名前を知らないだけです。雑草の名前分かると抜きにくい,という川柳がありました。知るということは表現できるということです。新しい価値は身の回りにあるはずです。気付いていない,表現する言葉がないということです。子どもが好きななぞなぞ遊びは,問題である形や事象の説明に,答えとなる言葉を見つける訓練になります。新しい価値の発見という創造性は,先ず名付けをするということです。
必要は発明の母といわれます。困ったことや不便なことがあると,何とかしようと工夫する気持ちが湧いてきます。できることがあるのではと考える意欲が創造性です。現状に安易に甘んじることが耐性ではなく,考え抜くという姿勢があってこそ耐える力が発揮されます。何とかなるかもしれないと希望を失わないことが生きる力となります。人が受け継いできた知恵は,先人が何とかしようと考えた結果生まれたものばかりです。困ることとの出会いが必要です。
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※これまでに人間が成し遂げてきた発明や発見は,当時の人にはとんでもない発想であり,無視されるという反応に見舞われることもありました。子どもの発想も大人には受け入れがたいものとなるのがほとんどです。例えば,子どもが描く絵も現実離れしています。もちろん無知であるせいもありますが,子どもなりに理解していることでもあります。また,動物園のサルがいつ人間になるのか?という子どもの疑問も,考え続ければ新しい発見につながっていきます。
※最近の学生の課題への取り組みようをみていると,自分にできることをしようという意欲が弱いと感じます。解けるところまで解こうという精一杯やり尽くすという態度がありません。中途半端になるならしないという妙な諦め方をしています。先は見えないけれどやれることはしよう,もう一人の自分が自分の力を信じることがなければ,自分を鍛えて伸ばすことはできません。一気に解ける課題しかやらないと,学びができなくなります。
子どもが朝自分で起きることができず,親に起こされています。困ったことです。そこで考えます。起きられないのは,眠いからです。睡眠時間が足りないからです。前の晩に寝付くのが遅かったからです。早寝をすればいいのです。無理矢理睡眠時間を削っている生活は,健康面でも精神面でもよくありません。寝ている間は心身ともに生きていくために必要な作業が行われています。眠いというのは,悲鳴なのです。早寝早起き朝ご飯は,生きる上で大切な論理なのです。
「体調をこわす」と言ってはいませんか? 間違っています。体調は身体の調子であって,調子というものは外れたり崩れることはありますが,こわれるものではありません。体調を崩すと言えば正しくなります。こわすと言いたければ,身体をこわすという言い方になります。正しい言葉遣いをしないと,子どもが間違った言葉を覚えます。正確な言葉を使わなければ,論理がこわれてしまいます。ご用心を。