『子育ちは 優しさ覚え 友を得る』
【基礎力36-04:優しい気持ちをもって仲良くしよう!】
■生きる12基礎力■
『生きる第4基礎力』
〜ひとりぽっちは寂しいから〜
「優しい気持ちって,どんな気持ちかな?」,「そうだね,そう言われても困るよね」。「お母さんは優しいだろう?」,「優しくない,怒ってばかりだから」。「本当かな,優しいときもあるだろう?」,「時々優しいときもある!」。「どんなときかな?」,「風邪で熱が出て寝ているとき」。「君が苦しいとき,お母さんがそばにいて心配しながら世話をしてくれたね。そのとき,どんな気持ちだった?」。「ほっとした」。そんなお母さんの真似をしてみよう!
道の片隅を掘っています。「何をしてるの?」,「お墓!」。「誰のお墓?」,「セミ」。「飼っていた蝉かい?」,「違う,そこに寝ていたの」。「どうしてお墓を?」,「おじちゃん知らないの? お墓はね,天国の入口なんだよ」。「知らなかった。そんなことを誰に教わったの?」,「田舎のおばあちゃん」。「優しいんだね」,「・・・?」。「蝉もとっても喜んでいるよ」,「おじちゃんは蝉のことが分かるの?」。そうじゃないけど・・・。
「あの子は友達じゃなかったの?」,「前友達だった人」。「けんかでもしたの?」,「ううん,クラスが変わったから」。「クラスが変わると,友達じゃなくなるの?」,「そう」。「クラスが違っても友達のままであればいいのに」,「よそのクラスの子と友達だったら,今のクラスの友達が変な目で見るようになるから」。「どうしてなの?」,「そんなこと分からない」。「今の友達がよそのクラスの子と話していたら嫌かい?」,「そんなことはないけど・・・」。
「マサにい〜」。年上の子どもに気さくに話しかけています。「ぼくのお兄ちゃんかい?」,「違うよ」。「マサにいって呼んでたよね」,「マサにいはお兄ちゃんの友達」。「お兄ちゃんたちと一緒に遊んでるんだ」,「そう。お兄ちゃんは嫌がってるけど,マサにいが遊んでくれるから」。「マサ兄ちゃんは優しいんだ」,「そうだよ」。「マサにい〜,待って〜」。年上の優しいお兄ちゃんがいれば,優しさがバトンタッチされていくことでしょう。
「あの子はいつも一人だね?」,「誰も誘わないから」。「どうして誘わないの?」,「汚いから」。「どこが汚いの?」,「分からないけど,皆がそう言っている」。「それっていじめだよ!」,「違うよ。何もしてないもの」。「あの子と遊んであげようよ」,「そんなことしたら,ぼくが誘われなくなるから」。「誘われなかったら,どんな気持ちになる?」,「そんなの絶対嫌」。「そうだろう,あの子も嫌だなと思っていると思うよ」,「いじめかな?」。
係の仕事で机を並べ替えています。女の子が重たそうにしています。「ぼくたちがするから,椅子を運んで」。そういう気遣いはどこから出てくるのでしょう。家庭で父親が母親に対して見せていることを素直に受け入れているのでしょう。子どもは好きな人の姿を写し取っていきます。日ごろの生活に見える優しさが豊かであれば,子どもは優しく育ちます。その優しさを周りの人に向けるとき,気持ちの通う仲間が増えていきます。社会生活の大切な資質です。
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※子どもは親に向かって力一杯ぶつかってきます。大人の力に比べると,子どもの力はどうということはありません。ところが,同じように友達にぶつかっていくと,子ども同士では受け止めることができません。乱暴な子と思われます。力を加減することを教えるためには,大人も受けきれないという加減を経験させることです。負けて転んでみせるといいでしょう。優しさは相手に合わせて,自分を加減することです。
※家庭は家族にとって安心できる居場所です。その一方で,社会の最小単位です。親子という家族が家庭という社会を作っています。お互いが優しさを持ち寄ることで,家庭生活が温かくなります。優しさの一方通行は,発信する側を冷遇することになります。お互い様ということを当たり前と思う生活の基盤があれば,家庭の外に出ても,それなりのお互い様の行動をすることができます。社会生活の基本は共同行動によるものだからです。一方通行は,はじき出されます。
いじめの映画を作っていた中学生が,役の中で「死ね」という台詞が言えずに悩んでいました。死ねと書く文字からは出てこない実感を,実際口に出すとズキッと感じるからです。言葉の重みと言うことがありますが,それは声に出すことによって実感となります。言葉は話し言葉が基本なのです。文字でしか言葉を知らないから,いい加減な使い方をするようになります。文章を声に出すことで,言葉と身体がつながります。その基礎ができてから後に,黙読があります。
★落書き★
子どもたちが遊ぶとき,順番を決める局面があります。そんなときはジャンケンが登場します。ジャンケンとは中国の石拳(じゃくけん)からきたものです。グーチョキパーの三すくみですが,石で代表させた名付けです。ジャンケンをするときは,ジャンケンポンといいます。このポンとは? 麻雀をするときにもポンという言葉が出てきますが,同じで,出逢うとか衝突するという意味です。ジャンケンで気持ちを合わせ,ポンで一斉に手を出すということです。