*** 子育ち12章 ***
 

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「第 36-07 章」


『子育ちは できる自分を 手がかりに』


【基礎力36-07:できることを見つけてやってみよう!】

 ■生きる12基礎力■
『生きる第7基礎力』
〜やってみることが育ちだから〜

 「できることって,どんなこと?」,「朝,お母さんにどんなことを言われている?。「朝?,顔を洗ったの!って言われること?」,「顔を洗うことはできるよね。でも,してないから言われてしまうね」,「面倒だもの!」,「できることをすれば,言われなくなるよね」。「そうだけど」。「できることがあるのに,しようとしないことは怠けていることになるんだよ」,「怠け者でもいいもの!」。「本当にいいのかな?」。

 「お母さん,明日はお父さんの誕生日だよね」,「そうよ。どうして?」,「なんでもない」。誕生日に何かお祝いをしたいと思っていますが,子どもにはプレゼントを買うお金はありません。「できることをすればいいんだよ」,「できることって?」。「カードを書くのもいいし,お父さんの絵を描いたりしたら?」,「上手に書けないもの」,「今のできるだけでいいんだよ,お父さんにはそれが一番うれしいんだから」。「書いてみる」。

 夏休みの宿題は,「今日しなくても,明日がある」と先送りされて,月末にしわ寄せされます。宿題は日々の学習リズムを保つことが第一の目的であり,日々済ませていくことを前提にした分量となっています。「先ず宿題から済まそうよ」,「明日まとめてするから」。「明日は明日の宿題があるよ」,「・・・」。渋々ですが,やり終えました。「終わった!」,「今日できることは今日しておいた方が,気持ちがいいだろう」。

 仲のよい二人が,なんとなく距離を置いています。「どうしたの?」,「昨日ちょっと言い合いになって・・・」。「ごめんって言ったら?」,「ぼくが悪いんじゃないもの」。「言い過ぎたかもしれないでしょう」,「少し」。しばらくして,歩いて行くと小さな声で「ごめん」。「ぼくもごめん」。その一言でわだかまりは溶けていきます。ごめんの一言はできることです。相手が先とか,負けたという言い訳が邪魔をしますが,できることをする方が得です。

 校舎の廊下に紙くずが落ちています。「拾って捨てようよ」,「ぼくが落としたんじゃないもの」。「気がついても知らない振りをするんだ」,「当番の人が拾えば。ぼくは当番じゃないもの」。「廊下をきれいにするのは,誰でもしていいことでしょう」,「そうだけど」。「ちょっとだけできることをすればいいんだから,してみようよ」,「捨てればいいんでしょう」。「余計なことでも,できることをきちんとすると格好いいよ」,「ほんと?」。

 「今日は,作文を書いてもらう」。いきなり言われると,「エーッ」という子どもたちの大合唱です。急に何かを始めようとすると,拒否する向きの気持ちが反応します。「ちょっとお使いに行って来て」,「エーッ」。「何で?ー」という問を持ち出します。反論する手がかりを見つけようとしているようです。自分の思い通りに事を運びたいという指向が強すぎます。何でもやってみる,そこから育ちが始まるのですが・・・。

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※女子高生のルーズソックスは廃れたようですが,子どもたちの成績がルーズソックス化しているそうです。成績の上位の者が少なく,大部分が下位に集まり,中間がいなくなったということのようです。できることはやってみようという前向きさがなくなり,投げてしまっているのです。できる所までする,それが中間層になります。その中間層が消えたのは,できることさえしようとしない無気力さが蔓延しているためです。100点でなければ意味がないが,無理?

※子どものできない所は目につきます。駄目だ駄目だと言われ続けると,どうせと開き直って無気力になるしかありません。結果として,自分を信じることができなくなり,自尊心が枯れていきます。できることをすればいい,「あなたはできる!」というメッセージを与え続ければ,「ここまではできた」と,自分を肯定的に思うことができます。弱さを思い知らせようとだめ出しをするのではなく,ここまではできたという形で弱点を押し上げてやることが養育です。




 自分のために自分ができることをするのは,それほど苦にはなりません。その気持ちを少し広げて,周りの人のために自分にできることをすることが,社会性の育ちになります。「自分のことは自分ですべきである」という呪縛にとらわれていると,人とのつながりを結ぶことはできなくなります。相互依存という社会の原則を自らの行動の目標に置くことができると,社会は生きていく豊かな場所になります。孤立の道ではなく,協働の道こそが幸せにつながっています。

★落書き★

 子どもの成長の節目として,七五三の行事があります。3歳は紐付きの着物からはじめて帯を着けるオビムスビの祝い,5歳は男の子は袴着として袴を,女の子は被衣初(かずきぞめ)として帯を,それぞれ母親の実家から贈る習慣であり,7歳は氏子入りとして近隣社会の仲間入りをする儀礼でした。これらの儀礼をひとまとめにして「七五三」として江戸の呉服屋が宣伝し,新しい衣装で神社に参る行事にしたのが,発端です。


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