*** 子育ち12章 ***
 

Welcome to Bear's Home-Page
「第 36-08 章」


『子育ちは 感謝をされる 心地よさ』


【基礎力36-08:どうぞとしてあげて喜んでもらおう!】

 ■生きる12基礎力■
『生きる第8基礎力』
〜ありがとうが聞こえるから〜

 休日の家族団らんの夕食が終わりました。「よく噛んで食べなさい」といわれても,お父さんとゲームをしたくて,急いで食べます。自分の食器をキッチンの流しまで運びます。お父さんを早く誘いたくて,お父さんの食器も急いで持っていきます。「ありがとう」。お父さんがにっこりと声をかけてくれました。お父さんのためにしたのではなかったけど,お父さんが喜んでくれました。うれしいような変な気持ちになりました。

 自転車に乗って走っていると,停車中の車で道がふさがれ,中央側に避けないといけなくなりました。向こうからちょうどおばあさんが歩いてきて車の横に出ようとしてこちらを見ています。車が通っているので危ないと思って,止まっている車の手前で待ちました。ゆっくりとやってきたおばあさんが,「ありがとう」と言ってすれ違っていきました。自分の用心のために止まっただけなのに,そう思いましたが,おばあさんのありがとうが優しく心に残りました。

 お父さんが疲れたと言って,自分の手で肩をもんでいます。閑だったので,何気なくお父さんの肩たたきをはじめました。「おっ,叩いてくれるか」。元気よく叩いていると,お父さんは気持ちよさそうにしています。しばらくすると,疲れてきました。「まだかな〜」。はじめたのはいいのですが,止めるきっかけがつかめません。叩く手に力が入らなくなってきます。「もういいよ」とお父さんが言ってくれました。「ありがとう,楽になったよ」。

 ファミリーレストランに行って,両親の後から入っているときです。よその幼い子どもがすぐ後ろからついてきます。締まりかけた扉を慌てて押さえて,通してやりました。その後に続いてきたおばさんが,「ありがとう」とにっこりしています。幼い子どものお母さんのようです。先に行っていたお母さんが何があったのかと振り返って見ていましたが,そのときはすべてが済んでしまっていました。二つの家族の楽しい食事はもうすぐです。

 猫の姿勢が固まっています。よく見ると,何かを狙っているようです。数m先の木立にすずめが数羽止まっています。猫は上手に姿を隠しています。数日前に近くに鳥の羽が散らばっていたのを思い出します。ちょっと脇に入ることになりますが,わざと間に割り込みます。猫が醸し出していた緊張が途切れて,すずめは飛び立っていきます。「よかった」とほっとしています。猫は恨めしそうに去っていきます。何事もなかったような日常が戻りました。

 さわやかな朝です。通学路でいろんな人と出会います。塀から身を乗り出すようにして顔を突き出してくる犬に「おはよう」。昨日はつぼみだった花に「おはよう」。高い枝で鳴いている蝉に「おはよう」。お店の前の道をほうきで掃いているおじさんに「おはようございます」。「おはよう,行ってらっしゃい」。「行って来ます」。あいさつの声を掛けていると,あいさつが返ってきて,元気になります。見送るおじさんも,元気になります。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
※毎日新聞に,「教科書:教師が思うほど児童分からず・・・理解度にギャップ」という記事があります。民間の「中央教育研究所」の調査の紹介です。「教科書の内容をどの程度分かっていると思いますか」の問に,小学校の教員の61%が,教え子は教科書の内容を8割以上理解していると思っているのに,実際には8割理解しているという子どもは20%にも達していないというのです。分かっているはず,分かっているの間には必ずギャップがあるのです。

※手伝いさせるときに教えなければならない最も大切なことは,「ありがとう」という言葉を聞く喜びを体験させることです。道を踏み外した少年の内省の文に,「自分はこれまで人にありがとうと言われたことがなかった」とあります。ありがとうを言うだけの人は自己中であり,やがてトラブルを招きます。ありがとうと言われること,それが今の子どもや大人に失われていることです。人との信頼関係を結ぶのは,ありがとうを受け取る姿勢です。




 ありがとうが言えているときは,自分の思い通りに事が運んでいるので,苦しみはありません。ありがとうが言えなくなると,苦しみが湧いてきます。苦しさから逃れるために,人は自ら行動を起こそうとします。ありがとうはしてもらうことであり,他人任せです。苦しさは,自分で何とかしようとするスイッチです。何ができるかを探すためには,しばらくの間は苦しさを我慢しておきます。苦し紛れをよい方向に持っていく,そこに我慢が必要となります。

★落書き★

 食事の偏りが心配されています。味覚のしつけが疎かになっているのでしょう。欧米では,甘味,酸味,塩味,辛味の4つ,これに中華料理の苦味が加わり,さらに和食では旨味が加わっています。辛味以外の味は,味覚神経が反応して味を感じていますが,辛味は味覚神経を麻痺させています。わさびがきいてツーンとするのは,味覚神経が麻痺する感覚なのです。正確に言えば,味ではありません。激辛とは,単にしびれた〜であり,味を楽しむとはいえません。


「子育ち12章」:インデックスに進みます
「子育ち12章」:第36-07章に戻ります
「子育ち12章」:第36-09章に進みます