*** 子育ち12章 ***
 

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「第 36-13 章」


『子育ちは 生きる機能を 発揮して』


【基礎力36-13:今日を精一杯に生きて早寝をしよう!】

 ■生きる12基礎力■
『生きる第13基礎力』
〜生きているから〜

 赤ちゃん時代はほぼ動物的に生きていますが,成長するにつれて知的な生き方を身につけていきます。人間は考える能力を発揮するように育っていきます。動物的とは自分が生きていけばいいという段階です。しかし,人間はもう一人の自分を育てることで,自分を生かすという知恵を持つことができます。知恵は考えるという作業によって産み出されるものです。経験を整理し記憶し想起し推論をすることで,確かな《決断》を引き出しながら生きていきます。「自分で考える!」。

 人の赤ちゃんは,母体保護のために早産となります。生きることについては不安な状況に遭遇せざるを得ません。母親に抱きしめられることで,胎内に似た環境を得て,育ちのスイッチが入ります。人は人肌の温もりの中で安らぎますが,温もりは接触でしか伝わりません。「お母さん,だっこ」と甘えたり,「お母さん」と呼びかけて,心の触れ合いを十分に取ろうとします。また,手足の触覚が失われると,人は身動きが不可能になります。触れ合いとは《安寧》の場なのです。

 耳には蓋がありません。いつも開かれています。眠っていても突然の音に反応できます。身を守る防衛機能です。耳は二つあることで,迫ってくる危険の全方位探索が可能になります。妙なる調べに和み,リズムに共鳴して身体が動きます。一日の生活にもリズムがあります。生活リズムの乱れは,生きることの乱れと直結します。母の心臓の鼓動を出発として,耳から入ってくる音の振動は生きる《リズム》と調和しています。だからこそ,言葉という振動が身近なのです

 花の香りを嗅いだとき,「トイレの臭い」と言う子どもがいます。芳香剤に馴染んでしまうと,生きるための嗅覚は失われます。香りには,食べ物を選り分け,仲間を嗅ぎ分け,異性を誘うといった生きるための多様な機能があります。よき臭いのするものは生きる上で《よきこと》ということです。もちろん,不快な匂いも嗅ぎ分ける必要があります。生きていることにつきまとう匂いを封じ込めてばかりいると,生き辛くなるだけです。嗅覚をごまかさないことです。

 食欲は生きる根源であり,食は栄養の摂取という生きる重要な営みです。摂取は胃壁や腸壁との接触によって行われますが,先ずは舌との接触で摂取に適しているかどうかの検査をします。その検査結果が味覚となって現れます。一方で,生きるために今必要であるものが食欲の彩りとして,例えば「甘いものが食べたい」と指令されます。求めるものが口に入ったとき,美味しさという反応が起こります。過食や偏食という状態にあると,健全な味覚の《調整》機能が損なわれます。

 草食動物の目は左右にあります。全方位を見て警戒するためです。一方で,肉食動物の目は前向きです。獲物を見つけるためです。対象を見定めたり,事象を見極めたりするために,視野は狭くなりますが,二つの目で奥行きを含めた三次元の視野を持っています。人の《行動》空間は三次元ですから,特に奥行きの視線が大事です。平面の画面だけを見慣れてしまうと,距離感をとっさに把握しにくくなります。転んでも手でかばう動作ができなくなります。動物は動く物なのです。

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※子どもたちの生活経験があまりに少なすぎるようです。生活経験とは,衣食住のすべてです。お母さんが一日家を空けるというとき,子どもたちが「私たちのご飯はどうするの?」という気持ちを持つようでは困ります。「自分たちで何とか切り抜けられる」と思うことができるように,最小限のことを日ごろから身につけさせておくことが,家庭における子育て役割です。夕食の準備を手伝わせることの方が勉強することよりも優先する,生きるということが先なのです。

※手を使うことと人の脳の大きさとは相関しています。手を器用に動かすことで,脳の機能を開発することができます。学習においても,目で見ているだけでは覚えることはできません。手で書くという動作を伴うようにすれば,記憶処理が進みます。座って考えるよりも,動いて考えるときの方が新しい発想を産みやすいというのも,動くことで脳が活性化するためです。書くという動作は,知的動作であると考えてみませんか。書くのが面倒,それでは学習は成りません。




 この号で第36版は完結します。第37版では「子育て12支援」というテーマで,今の子育てが果たして子どもの育ちを促しているか,問いかけてみようと思っています。多少抽象的なお話になるかもしれませんが,「子育て羅針盤」の概念をこの辺りで再度整理しておくことも必要であろうと考えます。論を進めながら初心を振り返ることで,思考軸がぶれることなく論考が螺旋状に進化していきます。子育ちの全体像を描いていきますので,皆さんも再確認をしてください。

★落書き★

 視野についての情報です。大人は真っ直ぐ前を見たままで,両目で見える範囲は200度前後あります。斜め後ろまで見えています。ところが,子どもの視野は大人の80%程で,横が見えていません。道を歩いているとき,横から来る車や人に気付かないのは,見えていないからです。右を見て,左を見てと,頭を動かして確かめるという動作が必要なのです。運転しているときも,子どもは横が見えていないと思って,用心してやってください。


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