『子育ては 親も子どもも 自らに』
【支援 37-13:子どもの育ちを適時に促していますか?】
■子育て12支援■
『子育て第13支援』
〜いま目の前にいる子どもを育てよう〜
《MATOME》
この号は,親や大人が子どもの育ちに関わるときに気をつけたいことの一つとして,タイミングを考えます。例えば,子どもをほめるとき,その思いがしっかりと伝わるタイミングがあります。子どもが何かを言ってきたり,持ってきたりしたとき,きちんと受け止めて,ほめるところを見極めて,その場でほめてやりましょう。「あとで」と先延ばしにすると,ほめられるときには,子どもの方が気分が覚めてしまっているので,ほめる言葉が子どもの気持ちに響かなくなります。子どもにとっては,今という瞬間が育ちのときなのです。
《適時の育ち》
大人から見れば子どもはあらゆる面で未熟です。そこでいろいろなことを教え込まなければと焦ります。でも,子どもの方には子どもの事情があります。準備ができていないことがあります。無理なことを言われても困ります。それなのに「こんなこともできないの? 駄目な子!」と思われてしまいます。子どもはできない自分がいけないのだと思わされて,自信を失っていきます。子どもの育ちを弁えるためには,同じ年齢の子どもたち集団をよく観察することをお勧めします。この程度なのだと分かってやること,それが適時を知ることになります。
《見守る》
子どもがいつもと違ってまとわりついたり,そばでじっとしていることがあります。何かを話しかけたいがそのタイミングが取れなかったり,どう切り出したらいいのか迷っていたりしています。子どもの方に笑顔を向けて,受け止める姿勢を見せてやりましょう。「あのね」と話しかけてきたら,黙って聞いてやります。決して急かしたり問い詰めないことです。スポンジのように吸い取るつもりでいてください。子どもを見守ると言いますが,それは子どもが必要とするタイミングを捉えて,しっかりと受け止めてやることです。
《励ます》
子育てとは,育ちを応援することです。育っている子どもがつまずいたとき,「大丈夫」と落ち込む子どもの気持ちを支えてやりましょう。「がんばれ」という励ましは,がんばっているときではなく,がんばり疲れて休んだところで,「もうひとがんばり」と弾みをつけるときが効果的です。そのもうひとがんばりできることが育ちの一歩になるからです。この辺でいいだろうと切り上げる癖が付くと,何事も成し遂げることはできません。ただし,そのひとがんばりは本当にひとがんばりにしておくようにします。無理をさせると嫌になります。
《子育てと子育ち》
「そっ啄一機(そったくいっき)」(そつ=口偏に卒と記す)という言葉があります。教育の分野ではよく口にされる禅の世界の言葉です。「そっ」は卵の中で孵化(ふか)を望む雛が殻をつつく音を意味し,「啄(たく)」は母鳥が殻を破る動作を指しています。例えとなる事象は,雛が孵化するために十分な能力と意欲を備えたことを確認した瞬間に母鳥が殻を外から突き破ることであり,その際の両者が機を一にすることが重要で,早すぎても遅すぎてもいけないという意味です。教育も子育ても,子どもの側の能力と意欲の発達にタイミングを合わせることの大切さを表します。子育てと子育ちの一機が求められます。
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※生まれも育ちも違う男女が,夫婦として連れ添ううちに似た者になるといわれます。出来上がっているはずの大人でさえそうなのですから,途中から家族として参画してくる子どもたちは,あっけなく夫婦の色合いに染まって育っていきます。子は親の鏡といわれる所以です。意図してしつけるから似てくるのではなく,普段の関わりが少しずつ育ちの形を作り上げていきます。子どもを思い通りに育てることはできません。親に似るように育っていくので,親自身が自分を育てていくつもりになることが,子育ての目当てとなります。
子育て羅針盤第37版は今号で完了します。新年からの第38版は「子育ち12徳目」としてお届けする予定です。「ベンジャミン・フランクリンの13徳目」(ネットで検索してみてください)というものがあります。本稿の12指標に照らして配列替えと修正を施して,子育ての目標になるように脚色しようと思っています。徳目というと何かしらよそ事のような気もしますが,子どもを真っ当に育てようと願うなら,育ちの本道として目指しておくべきであろうと考えます。22年も続けてお読みいただきますようお願いいたします。
★落書き★
子どもが眠くなってくると目をこすりますが,どうしてでしょう? 脳は体の隅々まで命令を出していますが,脳が眠ろうとすると命令が出されなくなります。居眠りをして頭をぶつけてしまうのもそのせいです。ところで,目が乾燥しないように脳からの命令で涙が出ていますが,眠くなると涙腺の働きが低下するので,目が乾燥します。そこで,目を覚まそうとするときには,目をこすって涙の分泌を促しているのです。
丑の年も終わり,寅の年に代わります。
皆様がよき年をお迎えになりますよう,お祈りしております。
行く年は,ありがとうございました。来る年も,よろしくお願い致します。