*** 子育ち12章 ***
 

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「第 38-06 章」


『子育ては 言葉教えて 思慮深く』


【徳目 38-06:子どもが熟考をできるように導きましょう!】

 ■子育ち12徳目■
『子育ち第6徳目』
〜聞き取る力が熟考へ導く〜

 《コメント》
 フランクリンの13徳目では,この項はありませんが,「2.沈黙:他人または自分自身の利益にならないことはしゃべらないこと。つまらぬ話は避けること」を改変してみました。話していいのかどうかを考える力があれば,沈黙できると思うからです。話をするときには,その場の空気を読んで相応しい話ができるようになればいいでしょう。真面目な場,ふざけてもいい場,黙って聞く場,いろいろな場に応じて話題を考え,相手・周りの反応を注意深く観察し,説明や議論を展開していく力は,コミュニケーションの基本です。

 《熟考をする》
 ネット世界で育っている今の子どもたちには,ネット世界特有のコミュニケーションの仕方を身につける必要があります。例えば,匿名という立場からの発言がもたらす効果を考えておかなければなりません。ネットいじめという手段がいかに卑怯であるかを思慮できなければ,反社会的な行動への歯止めを失うことになります。何をどのように考え表現しようと自由であることは社会の1つの原則ですが,独り言ならいざ知らず,他者に向けての言葉であれば,捨て台詞ではなく,対話可能な内容に限定されるべきです。他者が受け取ることのできるような表現を考える力が大事です。

 《答えさせる》
 「バ〜カ」。人を侮るような調子で詰ることがあります。言われたらどんな思いがするか,答えさせます。子どもの言葉は自分の思いだけに素直すぎてトゲがあります。そのトゲに気付かせるためには,言われる立場に逆転する必要があります。自分にとって嫌なことは人に向かってしないということが,社会生活のルールです。このルールは,自分が嫌な目に会うことがなければ,機能しません。もし言われたら嫌だろうな,そのような想像のできる思考力を育てなければなりません。もちろん,うれしい言葉かけについても,同じです。小さな経験を元に考えれば簡単に分かります。

 《聞き取らせる》
 言葉は聞くことで覚えていきます。言葉が少ないと,考える力も弱くなります。親や先生の話をよく聞き取る子どもは,考える素材が豊富になり,熟考できるようになります。いい加減に聞いていると,話について行けなくなります。聞き取るだけではなく,読み取ることも大切です。教科書を読んで理解する力,それは言葉を使って考えることです。何が書いてあるか分からない,そんな状態では人との対話も覚束なくなります。どんな気持ち?と尋ねられて,しっかりと答えるためには,自分の気持ちを読み取る言葉を持つことが求められるのです。

 《感受性が育つ》
 テレビの中で若い人が何かを感じたとき,「ヤバイ」と言っています。また,何でもかんでも「カワイイ」と連発されます。近頃言葉のクイズが盛んですが,生きた言葉の方はどうかというと,すっかり廃れています。世代間の言葉の伝達が滞って,語彙が少なく,感嘆符付きの言葉で済ましてしまう収縮ぶりです。子どもを取り巻く言葉の環境が貧弱になって,言葉の習得が滞っている子どもが増えているようです。感受性は,外界からの刺激に対する自らの反応を,適切な言葉に翻訳できることです。豊かな心,それは言葉の豊かさがあってこそ,持ち得るものなのです。

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※組織の世話役をしていると,困ることの1つに,期限までに出欠の返事をもらえないことがあります。出欠の返事を出さないと迷惑を掛けるという想像的熟考ができないようです。場合によってはわざわざ確認の連絡をしなければなりません。「忘れていました,済みません」,その一言で済まされては,迷惑です。自分一人の不手際で,流れが滞るという思慮が足りません。返事はその都度済ませておく方がよいようです。「後で」,それが無分別と思われる第一歩になります。子育ても今すべきことを済ませておかないと,周りの人が迷惑をします。




 独りぽっちになると,生きていく元気が出てきません。「あなたなんかいない方がいい」と思われたら,落ち込んでしまいます。人間という字は,人の間と書きます。周りの人とつながってこそ,自らの人生があります。そのつながりはお互い様,五分と五分の関係です。それを具体化したものが,様々な規律です。規律に沿っていれば,つながりは保証される仕組みになっています。お互い様を踏み越えたとき,その先には独りぽっちが待ち受けています。世間とはそういうものです。お互いに支え合って生きていくための規律,しっかりと自覚させておきましょう。

★落書き★

 講演会などで,講師の前の演台には水差しが置いてあります。話すうちにのどが渇くので潤すためですが,別の効用もあります。冷たい水は味覚神経を刺激しますが,10度Cほどのお水は酸味を刺激して脳に伝えるそうです。酸味には緊張を和らげる効果があり,落ち着いた気分になります。そのものずばりでレモン水もいいようですが,冷たい水をいっぱいという効用を知っていれば,何かの役に立つでしょう。慌てている人に水を飲ませるということがありますが,ちゃんと理由があるということです。


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