『子育ては 今日があって 明日がある』
【権利 39-10:成長を願う権利!】
■子育ち12権利■
『子育ち第10権利』
〜明日を待つ権利〜
《コメント》
子どもの権利条約・ユニセフ抄訳では,「第29条:教育の目的:教育は,子どもが自分の持っているよいところをどんどんのばしていくためのものです。教育によって,子どもが自分も他の人もみんな同じように大切にされるということや,みんなとなかよくすること,みんなの生きている地球の自然の大切さなどをまなべるようにしなければなりません」とあります。教育という営みの本質は,明日に向けての準備であるということです。今日教えていることが今日役に立つものではなく,明日に生きるときに必要な資質を身につけさせることなのです。
《明日につなげること》
「また明日」。夕方になると,子どもたちがそう言って,家路についたものです。今日のあれこれが明日に続いていくというしっかりした思いがありました。その姿が消えて,それぞれが塾やクラブなどの遅い帰宅で,「ヤレヤレやっと終わった」という日々を送っていないでしょうか。何かに追い立てられているような気持ちがあるなら,気持ちの立て直しが必要です。明日を楽しみにするようにしましょう。明日にしなければならないことがあるとしても,したいと思っていることを一つでいいので見つけるようにしましょう。
《待機させる》
子どもはせっかちなところがあります。今でなければ嫌,そう強く思って自分を鼓舞するという面では必要なことです。ところが,自分以外の人との関わりの中では,自分の思い通りにはいかないことがあります。順番待ちをしなければならないとか,誕生日まで待つとか,休みになるまで待つとか,パパの都合に合うように待つとか,夕食の時間まで待つとか,時間の流れの中で今ではない先の時間を意識する経験を積ませることが大切です。今日は明日につながって,待てば事態が思うようになっていくという希望のパターンを持たせるようにしましょう。
《期待させる》
子どもはほめて育てる方がいいといわれます。ほめるといえば,子どもが何かを立派に成し遂げたことを称えることと思われてはいないでしょうか。子どもは成長の途上にあるので,どんなことも成し遂げることはできません。結果として,子どもをほめることが見あたらず,中途半端な状態であることを叱るということになります。子どもをほめるためには,途中までできたことをきちんと認めてやることです。試験にたとえれば,60点までできたことをほめてやれば,残りの40点を何とかすればいいと,明日への期待を抱くことができるようになります。
《未来感が育つ》
皆と一緒に暮らす楽しさを実現するためには,皆に頼られる自分にならなければなりません。家族をつくり,社会を担うという未来の自分の姿を想定できるとき,今日の一歩を大切に歩み出す勇気が持続します。「大きくなったら何になりたい?」。いろんな答えが出てくるでしょうが,そこに周りの人とのつながりが見えていたら,大丈夫です。自分だけの未来しか見えていなかったら,人を利用する背景が隠されているので,要注意です。学びという言葉は,素敵な年上の人を真似ることから始まっていますが,それは未来の自分を見ていることになるのです。
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※もう一人の自分は,自分のイメージをどこまでも広げていくことができます。競争すればいつでも1番になれますし,ヒーローやヒロインになりきることもできます。ところが,現実の自分は思い通りにはならない未熟な存在です。そんな至らない自分を,もう一人の自分がだめ出しをしたら,育ちは覚束なくなります。今日の自分はよく頑張っている,明日になればもっと育っているはず,そのうちちゃんとなる,そう思うようになれば,ドンドン育ちが進みます。今のままだったら? 育ちの場ではその心配は無用なのです。焦る必要はありません。
明日に向かって期待を持って育つといっても,ことは単純ではありません。育ちは遅々として,目に見えるものではありません。それでも,久しぶりに会う人から見れば,見違えるほどの育ちが見えるものです。よその子の育ちは久しぶりの目で見るから見えるのですが,我が子の育ちは見えません。よその子が育っているのですから,我が子も育っていると思うようにしましょう。ところで,年齢ごとの育ちの課題を抱えている子どもに対して,どのような支援が必要なのでしょうか? 子ども自らによる課題解決のための知恵を授けることです。
★落書き★
動物学者のデスモンド・モリスによると,子どもの動物に対する好みは,子どもの体格とその子が好む動物の大きさは反比例するということです。たとえば,身体の大きな代表であるゾウは,4歳の子どもの15%が好き,14歳の子どもでは3%しかない。また,小型のイヌが好きという割合は,4歳では0.5%だが,14歳では6.5%になるということです。小さなうちは大きな動物を,大きくなると小さな動物を好きになるそうです。お子さんはどうですか? そうではないからといって,気にする必要はありません。絶対ではないのですから。
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