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「第 46-01 章」 |
『子育ちは 他者と自分と 自我がいて』
■有能化12秘訣■
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『有能化第1秘訣』
【反応力を育てよう】
●《反応》場の空気を読むということがあります。自分を押し出していると,場を白けさせます。それを感じ取ればまだ救われますが,全く気付かないとやがてはじき出されていきます。場の流れ,その場にいる人それぞれの状況を判断し,自分の言動を調整する反応が求められます。状況に相応しい反応ができるためには,自分を相対化する必要があります。つまり,もう一人の自分が,自分と他者を対等に意識して,今必要な共通認識を探り当てればいいのです。反応とは相手との真摯な関わりです。
●《確認》社会生活においては,お互いに分かり合うことが必要です。そこで対話や協議などの場が持たれます。分かり合う作業は,一方が意見や考え,思いを表明し、他方がそれを聞き取り,共鳴したり,反論したりして,すり合わせていきます。その際,きちんと聴き取るために,確認をしなければなりません。それが分かったといううなずきです。同意ではなく,理解したという聞き取りです。「あなたの言い分は分かった」,それが相手と自分を対等に扱うもう一人の自分の役割です。
●《疑問》想定外ということがあります。そんなこと考えたこともない,思いもしない,信じられない,といったことがあります。それは何?,どういうこと?,なぜ?といった疑問が浮かぶはずです。その疑問が解けなければ,自分がどのように反応すればいいのかを判断することができません。問いかける必要があります。「分かるように説明して」という聞き返しです。子どもにとっては,この聞き返しが大事です。自分が知らないことがあるという自覚,その謙虚な自意識を持てるのがもう一人の自分です。
●《反論》人は育ちや経験などいろんな面で違います。嗜好などはそれぞれ違っていてもいいのですが,共同すべき面では違いを排除する必要も出てきます。ある人の意見に反論をぶつけることもあります。それぞれが活かされる折り合いに向けて,智慧が持ち寄られます。多数決という次善の方策も持ち込まれ,皆で決めたことに従うという場合もあります。大同小異ということで,自分を抑えながら,自分を活かしていくという際どい生き方を可能にするのが,もう一人の自分の反応力です。
●《展開》三人寄れば文殊の知恵といわれます。二人では2倍の智慧,三人ならば3倍の智慧が期待されるという,単純な積み上げではないと思います。二人では智慧の対立が起こります。三人目の人が登場することによって,智慧の仲裁,すなわち智慧の展開が可能になります。ヘーゲルの弁証法における正反合というステップを実現する機構が三人寄るということでしょう。社会の基本単位が三人であることと符合しているはずです。自分と他者と,もう一人の自分(自我),その構図も三人です。
今号から「子育て羅針盤:第46版」をお届けします。普段聞き慣れない○○力が出てきますが,子どもの育ちを考えていく指標として採用してみることにしました。(○○力は,「12の基礎力」大久保幸夫著(日経BP社)を参照していますが,内容は独自に思考しています)。子育ちが少し違った風に見えてくるのではと,書き手としてもワクワクしています。ただ,基本的な構成は,従来の子育て羅針盤に依拠していきますので,大きな違和感はないと思います。ワンクール,3か月を楽しんで下さい。
★落書き★
新聞の小さな囲み記事に「恩送り」という言葉が紹介されていました。ボランティア団体向けの講演でお話ししていたことが,言葉として伝わっていることを教えられました。誰かから受けた恩を直接その人に返す,恩返しではなくて,その恩を別の人に送る,そうして恩が世の中をぐるぐる回っていくことをいうそうです。江戸時代までは恩送りの考え方は庶民に普通にあったということです。情けは人のためならず,それも恩送りが前提になっています。親に受けた恩を子どもへ,子育ても恩送りの一つです。
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