*** 子育ち12章 ***
 

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「第 47-01 章」


『子育ては 子どもの育ち 邪魔せずに』


■子育て12チェック■

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『子育て第1チェック』

【決定させていますか?】

●子どもは無限の可能性を持っていると言われています。将来どんな人にもなれるチャンスがあります。educate は教育するという英語ですが,その含意は可能性を伸ばすということです。そこで,大人は決心しました。子どもの可能性を伸ばしてやろう! それが大人の責任だと。

●時代の変化によって言葉の意味が変質することに気をつけなければなりません。古くから使われてきた言葉であっても,その時代によって意味は変化させられます。かつて,子どもは授かりものであり,子宝と考えられていました。今は子どもを作る時代です。ちょっと言い過ぎですが,少なくとも産む産まないを自由に決めることができます。

●かつて授かりものであった子どもに対して,子育ては常に謙虚でした。子どもが育つのを手伝ってあげるという立場を保っていました。可能性を伸ばすのは子ども自身,つまり「もう一人の子ども」であり,大人は見守り援助を惜しみなく与えるところに留まっていたのです。ところが,作られた子どもは可能性も作られなければならないことになり,親が子どもの可能性を引っ張り出そうとしていきます。誰が可能性を伸ばすのか,という主語が変わってしまっています。

●子どもは可能性の引き出しをたくさん持っています。どの引き出しも子どものものです。親であっても,ずかずかと踏み込んで,「あなたの可能性はこの引き出しだ」と勝手に手をかけたとしたら,嫌なはずです。同じ引き出しを開けるにしても,やはり自分の手で引き出さなければなりません。親が開けた引き出しは,親の押しつけた可能性であり,決して自分の可能性にはならないのです。

●授かった子どもと思うことで,一歩引いた子ども観を持っていた人たちは,もう一人の子どもによる子育ちというイメージを無意識のうちに大事にすることができていました。ところが,産むという言葉は主語が親です。私が産んだ子ども,そう思ったときから,「私が」という言葉が主語に定着し,子育てが私の役割と思いこむようになっていきました。子どもの誕生のときに既に,もう一人の子どもを気持ちの中から脱落させていたと言うことができます。

●子どもたちが母親についてどんなイメージを持っているか,中学生に対して調査をしたことがあります。経年変化を見ると,一つの特徴が現れてきました。以前は,母親とは自分を理解してくれる人でしたが,最近は指導してくれる人に様変わりしているのです。子どもを受け入れるのではなくて,指図している母親の姿が浮かんできました。子育てとはあれこれ指導することなりというわけです。子どものためによかれと心を砕いている気持ちは分かります。しかし,そのやり方がとても危ういのです。

●「勉強する時間でしょ」と子どもを追い立てます。もう一人の子どもは「しようと思っていたのに」と呟きます。「何をぐずぐず言ってるの,早く」と追い打ちをかけます。親や大人は子どもを指導しているつもりです。ところが,子どもにすればそれは余計なお世話,干渉と感じています。どうしてでしょうか?

●指導と干渉の違いは何でしょう? それは子育ちと子育ての違いでもあります。結論を言えば,決定権をどちらが持っているかという違いです。指導とは「こうしたら」と導くことです。それに従うかどうかは,もう一人の子どもが決めるのです。子どもに決めさせないのが干渉です。もう一人の子どもが決定権を持つのが子育ち,親が決めるのが子育てとなります。

●校門で生徒たちを出迎えて,「おはよう」と声を掛ける指導的な運動があります。ほとんどの生徒は挨拶を返すでしょう。その中には,渋々挨拶を返させられている生徒もいるはずです。それが最も顕著になるのは,挨拶を返さない生徒に対して,「返事はちゃんとする」と強制してしまうことです。それでは指導になりません。

●指導とはあくまでも生徒に決定権を与えておくことです。挨拶を返すかどうかは,生徒が決めることです。したくないと決めてもいいのです。返事がなくても繰り返し挨拶をしていきます。そのうち,気分がいいときに,たまたま返事をしてみようかなという気になって返事を返してきます。自分で決めたのです。このとき子育ちをしています。返事をすると気持ちがいいじゃないか,そんなことに気付きます。それは自分から返事を返したからです。

●子育てとは,もう一人の子どもが決定するチャンスをたくさん与えることです。言うことを聞かせようとする高飛車な指導は禁物です。こうしたら気持ちがいいよ,いいことがあるよ,そんな機会に立ち会わせるだけに留めておいてください。このことは実は子どもが既に親に対して伝えていることなのですが,親が気がついていないだけなのです。
●幼児が「いや」と拒否することがありますね。できそうにもないことを「自分でする」と言い張ることがあります。無駄なことだと大人は一蹴してしまうかもしれません。でも,子どもにすれば大事なことなのです。もう一人の子どもが自分を育てようとしているのです。大人は自分の都合に沿って単純に反抗期と言ってしまいますが,子どもにすれば子育ちプロセスそのものです。子どもは反抗という形で,子育ちしようとしていることを親に伝えているのです。



 毎週月曜日の発行をしてきて,600号になりました。600週目ということです。版の第1号にたまたま一致してしまった偶然を奇遇と思っています。それがどうしたのといわれると,黙って引き下がるしかありませんが。思えば遠くまで来ました。

 第47版では子育て羅針盤の原点を復習することにしました。3か月の間,子育てがぶれないためのチェックをしていきましょう。子育ての目安がぶれると,子育ちが傾いてしまって,後々の修復が困難になります。気楽にお付き合いください。
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★落書き★

 百分率をパーセントと呼び,「%」と表記します。これは世界共通です。記号は元々「C/O」と書いていました。中世イタリアのベネチアなどを中心とした地中海貿易が盛んであった時代,商業用語として使われていました。セントはラテン語で100という意味があり,「Cento」の始めと終わりの文字CとOを使ってC/Oと書いていましたが,後に%に記号化されたのです。因みに21世紀を21Cと書くのも,セント〜センチュリー(世紀)という縁続きです。


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