*** 子育ち12章 ***
 

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「第 48-06 章」


『子育ちは 心育てる 言葉摂り』


■子育ち12習慣■

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『子育ち第6習慣』

【抽象的表現を分別する】

●抽象的表現と聞けば,事物を写実的に再現するのではなく,点・線・面・色彩などそれ自体がもつ表現力を用いた非具象的な抽象画を思い出されるかもしれませんが,それも含めてもっと大づかみにイメージをします。一つは,抽象的概念を表す名詞という言葉を考えてみます。例えば,「勇気」とか「平和」などです。平和とはと問いかけても,これと具体的に示すものがありません。捉え所がなくて教えるのが難しいですが,「平和だな」と思うことがあるときに,そういう状況を子どもと共感してください。

●抽象的表現には,「抽象論であり,わかりにくい文章」といわれる場合もあります。単に頭の中で考えられただけの意見や考えであり,物事の実体・具体性に欠けるということが批判されます。「口で言うばかりで実行が伴わない」ということも,類似の批判です。口で言うのは言葉であり,言葉そのものは事物とは違うので広くいえば抽象表現です。抽象と具体的な事物・行動がつながっていなければ,抽象は意味を失います。この点が,アニメの世界が虚空間であるといわれる所以です。

●子どもたちを悩ませる抽象表現の一つが,方程式の未知数を表すxです。xが具体的な数字でないために,イメージできないところが取っつきにくさになります。実はxは具体的な数字なのです。ただ解くまでは秘密という楽しみにしているのです。幼い子どもが喜ぶいないいないバーの算数バージョンだと思えばいいでしょう。見えていないのでよくは分からないけどそこに在る,そういう認識を育ててやりましょう。箱の中味は分からないけど,お土産がそこに在るといった経験です。開けるまでが楽しみ・・・。

●物事のあれこれを一々扱うことはできないので,抽象化した表現をすることがあります。世界の国々を5大陸に分けて5輪旗としてシンボル化しています。いろいろな植物の実の全体から「甘い」という一般的な性質を持つものを区分して「果物」という抽象概念を表す言葉もあります。複雑な世界を整理するために,いくつかの事物に共通なものを抜き出して,それを一般化して表現しなければ,考えを深めることができません。「本質を抽象概念でとらえる」という認識論です。「継続(具体)は力(抽象)なり」という表現手法です。

●世間が忘れかけると表面化する「いじめ」による自殺という悲しい現実があります。加害者や傍観者の一部は「あそび」と思っている風ですが,被害者は「いじめ」と認識するように追い詰められています。具体的な行動があれこれある中で,どれがあそびかという判別は,とき・ところ・ひとによって曖昧になります。したがって,いじめとなる可能性のある行動はあそびから除外するという分別が働かなければなりません。表現とは独りよがりであってはならず,共通に認識されなければ無用だからです。

●いわゆる若者言葉になるのでしょうか,むかつく,かわいい,やばい,といった単語でほとんどの場合を表現しているようです。上っ調子に聞こえて,あまり印象はよくありません。言葉に深みがないのです。心の内面に届く言葉を覚えて,その場に相応しい言葉を選んで,軽口や洒落のない,真面目な言葉を交わすようにすれば,心豊かな人間関係を持つようになっていくでしょう。抽象的表現はもう一人の子どもの精神的な糧になります。芯の強い子どもに育てるために,真善美につながる言葉を与えてください。



 人が動物と違うのは,言葉を持っていることです。生きていく上で必要なコミュニケーションは,動物も鳴き声や叫びを通して可能にしています。単語による放言は,叫び段階のコミュニケーションであり,とても人間関係を結ぶコミュニケーションの用を果たすことはできません。即物的ではなく抽象的な表現を駆使することが,人としてなすべきコミュニケーションです。どのような品質の言葉を駆使できるか,それが生き方の品質と関わっていることを大人の経験として伝えてやりましょう。

★落書き★

 四つ葉のクローバーを探したことがおありでしょう。なかなか見つからないことと,十字架の形に似ているということで,幸運のシンボルとされてきました。探すときは,日当たりのよくない場所が狙い目です。日当たりがよくないと葉の数を増やして光合成の効率を上げようとするからです。ちなみに,五つ葉は経済繁栄,六つ葉は地位・名声,七つ葉は無限の幸運を意味しているそうです。何はともあれ,逆境にもめげずに生き抜こうとする健気さにあやかるのもいいでしょう。


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