*** 子育ち12章 ***
 

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「第 48-08 章」


『子育ちは 親切にする 喜びを』


■子育ち12習慣■

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『子育ち第8習慣』

【親切な行動を持続する】

●親切にされたら「アリガトウ」といいます。でも,して貰わなければ,してくれないと周りを恨むようになります。アリガトウは待っていなければならない言葉なので,自分から始めることができません。やがて,待ちくたびれて,我慢できなくなって,ついには奪うようになります。そうするしか選ぶ道がないからです。親切にしてもらうためには,甘える手があり,幼い子どもは自然に覚えて上手に使います。ただし,その手は甘えが許される間柄でしか通用しない,きわめて限定的な手立てです。

●子どもは親切にされる立場にいます。そこにいても,親切にする立場を経験するように仕向けることが子育てです。お姉ちゃんやお兄ちゃんの立場がなくなったことが,親切な行動をする経験を奪ってしまいました。親切な行動は「どうぞ」の言葉で始めることができます。見ず知らずの人にも,「どうぞ」と道を譲ることができます。もしも譲って貰いたいと思っている人同士であれば,ぶつかるだけです。アリガトウしか知らないから,トラブルになります。トラブルのない優しい社会,それは「どうぞ」が溢れている社会なのです。

●動物を飼うといった経験をする子どももいるでしょう。犬を飼って世話をすると,犬は懐いて喜びます。喜ぶ様がアリガトウに聞こえて,可愛くて,世話という親切をすることがうれしくなる経験をします。人はアリガトウと言われる喜びを知ったとき,社会人になります。ところで,世話は面倒でもあります。親切はわざわざしなければならないことでもあります。しない方が楽です。それでも親切にしようと思いきったとき,わざわざしてくれているという感謝がアリガトウの言葉に込められて,人は温かなつながりを結びます。

●子どもには,親切のやりとりに含まれる心情的な喜びを感じることが難しいかもしれません。そういう場合には,「損して得取れ」という言い伝えられている言葉があります。得を先取りしようとするとうまく行かないので,先ずは自分が損になっても相手に得を与えるようにすると,きちんと得が返ってくるという世間知です。親切にすることが損しているようであっても,結局は得をする確実な方法であるということです。損得勘定で親切を教えるということも,ある時期の理解を助ける方便として役に立ちます。

●幸せになるための究極の秘訣は,人に親切にすることです。無理をしてでも人に親切にすると,いい気分になり,生きていると抱え込んでしまう罪悪感や精神的苦痛などネガティブな感情を打ち消すことができます。親切という行動をとると,気持ちはすぐに前向きになってきます。親切心を育てるための一つの訓練は,いろいろなボランティア活動に参加することです。周りにいる人の中に,手助けを求めている人がいたら,ドウゾと声を掛けましょう。これ以上有意義な時間の使い方はありません。

●親切な人,面倒なことを引き受けてしてくれる人,そんな人がいなくなった,甘ったれの社会になりました。地域や組織で,世話役を引き受けることを拒否する人しかいなくなってきました。持ちつ持たれつなのに,持たれることしか望まない人は,厄介者です。そう思われるのが嫌だからと,つながりを断って,引きこもっていきます。幸せになることに背を向けているということが分かっていません。気が楽という状況の中には,幸せはなく,虚しさが渦巻くのみです。親切な後ろ姿を子どもに見せている皆さんが,本物の親なのです。



 今の社会に求められるものが「絆」と気づいて,あちこちで絆づくりが謳われています。絆とはその辺に漂っているものではなく,すべての人がその気になって作り出すものです。安心できる絆のある社会は,いざというときに,助け合える社会です。その基本形は,ドウゾ・アリガトウの言葉のセットです。物の豊かさを求めるとき,それは受け取るアリガトウの豊かさでした。心の豊かさは与えるドウゾの豊かさです。どうぞの言葉を再興しなければ,絆づくりは実現しないでしょう。子どもの住むことになる社会の基礎作りです。

★落書き★

 横浜に次いで,東京に明治31年(1898年),多摩川から水を引いて,鉄管や鉛管で配水する水道が登場しました。ただ,各家庭にまで引くには料金が高いので,共同水道として使われました。この水道の出口が龍の顔の形をしていて,口から水が出てきました。開閉鍵は各自が持っていて,頭部の穴に差し込んでひねって水を出していました。日本では龍は大蛇(おろち)なので,水の出口を蛇口と言うようになったのだそうです。


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