*** 子育ち12章 ***
 

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「第 50-06 章」


『子育ちは 言葉操り つながりを』


■子育ち12心能■

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『子育ち第6心能』

【指導心能】

《まえがき》
 ハーバード大学のハワード・ガードナーが多重知能という概念を提唱しています。脳の研究によって,ある部分は視覚に,ある部分は聴覚に,ある部分は情動に関係しているというように脳の機能が分かってきたことを受けて提唱されました。提唱された多重知能とは,言語的知能,論理数学的知能,音楽的知能,身体運動的知能,空間的知能,博物的知能,対人的知能,内省的知能の8つです。
 これらは学校教育の中で教科として成り立っていて,国語,数学,音楽,体育,図工,理科に対応しています。ところで,最後の方の対人的知能と内省的知能というのは教科として存在しません。この2つ,すなわち,人と人との間の関わりに関する知能と,自分自身の中を見つめる知能が,サロベイ,メイヤー,ゴールマンが提唱している情動知能(Emotional Intelligence)に当たります。
 この版では,情動知能に基づく研究の結果を参考にさせていただき,羅針盤らしくまとめてお届けします。子育て羅針盤12章では,奇数章で自分自身に関する「私の育ち」(→内省的知能),偶数章で人との関わりである「私たちの育ち」(→対人的知能)を考えていますので,構成が偶然にも一致しているということが幸いしています。
 心能という言葉は,この版のために創り出した造語です。情動知能が心の知能とも呼ばれているというところから,心能と略して使っています。造語ですので,世間では通用しないことをご留意ください。

《説明力》
 人はつながっていないと生きてはいけません。この世に生まれてくるためには,父と母のつながりが必要でした。命をつなぐためには,連れ添う人とのつながりが必要です。つながりは命の泉になるのです。そのつながりを産み育てるためには,意思の疎通が欠かせません。思いをきちんと伝える説得の力は,生きる力の大切な一つです。人は言葉を持っているから,分かり合うことができて,お互いにきちんと説明し合って,良い関係を結んできました。

○お子さんは,リーダーとして,みんなをまとめていくことが得意ですか?

 子どもは言葉を聞いて覚えていきます。言葉を手に入れるだけでは,使いこなすことはできません。言葉は使い慣れるというプロセスによって磨かれていきます。おしゃべりのときは,互いに分かり合うことを中心に話すので,言葉を選ぶことはしません。ところで,改まって人前で話をすることは,かなり難しいものです。ちゃんとした物言いをしなければならないからです。なるべくリーダーとして指導するという立場に立つようにすれば,きちんと説明する言葉遣いを経験していきます。人をまとめる基本は説明する力です。

○お子さんは,自分が見つけた良い方法を,みんなにすすめることができますか?

 勉強のできる子は,物事を筋道立って理解できます。そこで問題を解きほぐすことができるので,良い方法を見つける力も備わるようになります。筋道立つというのは,言葉をつないで正確に語ることができることです。イメージがクリアですから,みんなにすすめやすいのです。どう言えばいいのか分からないという状況は,自分でもはっきりと理解していないということですから,みんなにすすめる気にはなりません。昔から,友達に勉強を教えるというステップが学習の仕上げになるといわれてきました。

○お子さんは,みんなで相談するときには,まとめ役をすることが多いですか?

 それぞれの意見の要点を的確な言葉で整理し,共通な部分と相違の部分をみんなに提示し,折り合える状況を提案すること,それがまとめ役の仕事です。意見を言うことは割と簡単です。反対意見を言うことも簡単です。是非の決を取るのであれば,単純に多数決で済ますことができます。そうではなくて,まとめるということは,みんなが納得できる結論を導き出さなければなりませんし,それをするためには,片方に肩入れするようなことのない公平な表現を保つという信頼が求められます。



 テレビで見受けるクイズ番組に登場する方が,常識外れであることに驚かされますが,それをウリにしているのかもしれません。クイズは言葉を知っているか否かということで,言葉の力試しになります。言葉を知っているか否かで,思考力の差が生じます。日常会話では使わない言葉であっても,物事を考えるときには案外と使っているものです。書くことが苦手というとき,書き言葉の力が育っていないということであり,ひいては考えることが苦手となっているはずです。

★落書き★

 子どもとの約束事をつい忘れてしまったとき,誤魔化してはいませんか? 素直に謝った方が教育的です。江戸時代に中国から胡麻胴乱という菓子が伝わりました。小麦粉にゴマを混ぜて焼いたもので,大きく膨らませてありました。中味は空っぽです。そこで,食べた人が「インチキ」とがっかりしました。そこで,このゴマ菓子(ごまかし)はインチキの代名詞になりました。誤魔化すと書くのは音にそれなりの漢字を当てただけです。


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