*** 子育ち12章 ***
 

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「第 54-01 章」


『子育ちは 自分の意思を 通しつつ』


■子育ち12活力■

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『子育ち第1活力』

【意思を決定できる:選択確保】

《まえがき》
 この子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの視点と2つの領域から理解することを目指しています。6つの視点とは,誰が育つのか,どこで育つのか,いつ育つのか,何が育つのか,なぜ育つのか,どのように育つのかという問に沿うものです。また,2つの領域とは,自分自身の育ち(私の育ち)と他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ちの領域を想定しています。6つの視点にそれぞれ2つの領域を重ねると,12の論点が生じます。これが羅針盤の方位構成となります。
 この版では,「生きる力の育成を目指す教育内容・目標の構造」という提言の中で例示されている項目を参考にしつつ,子育て羅針盤の視点から考えてみることにします。

《意思を決定できる》
 小学1年生の母親の中に,こんな発言がありました。「よそのこはわがままだから,一緒に遊ばせたくない」。なるほど,その家の子は,聞き分けがよくて,親の言うことに素直で従順でした。そのことは,その子が日頃折にふれて「お母さんがイカンと言う」,「お母さんに怒られる」と言っていることから,うかがうことができます。母親の言うがままであることがよいことであり,子どもが自分で判断して決めることはわがままであるという風に思われています。わがままを許していると,反抗につながって,手に負えなくなるという心配があるのでしょう。
 ただ優しく見守っていると,子どもは自分の思い通りに決めて行動します。親が願うこととは違うかもしれません。しかし,あなたのことは私が決めるという干渉は支配的であり,子どもの服従はもう一人の子どもの誕生を阻止します。反抗という厄介な出来事は,もう一人の子どもが生まれるときの陣痛のようなものです。こらえて生み出さなければ,第2の誕生ができなくなります。命令通りにしか動かない子どもは子どもではないというように思っていてください。もちろん,子どもが判断できないような危険なことを避ける指示は必要です。干渉は控えなければなりませんが,放任もまたすべきではありません。

《選択確保》
 水族館での親子の風景です。「ここに泳いでいるのは,世界で最も小さな鯨の一種です。スナメリと言います。大人になっても2メートルにしかなりません。横の階段を上がると,水面で呼吸をする状態がよく観察できます」という説明がありました。ある親子の会話です。「あーっ来た来た。砂色だ。いるかにそっくり」。小学5年生くらいの少年は,呼吸を弾ませて見入っています。「ほら,この上で,詳しく観察できるんだって,上がってみよう」と母親がサポートします。わが子の興味・関心を引きだし,それを持続させようという姿勢です。
 もう一組の親子です。「あーっ来た来た」までは同じ年頃の少年らしい驚きの言葉です。このとき,母親が突然叫びに近い声を発しました。「サア,行くよ。食堂が混んじゃうから」と子どもの手を引いて立ち去っていきました。子どもの自我を羽交い締めしています。食堂が混むのを気にするよりも,子どもが何を思っているかを邪魔しないで見守って欲しいですね。せめて,どうするか,子どもに決めさせるような問いかけをしてみてください。先の心配より今の感動を大事にするような選択の機会を与えましょう。



 子育てにも収支計算をしてみませんか? 家計簿は支出だけでは赤字ですね。子育ても同じです。収入=自立したこと,支出=反抗すること,として,収支バランスを見なければなりません。自立をどう見積もるかというと,子どもが自分で決めることができているかという評価です。言わなければしないできないという状況では,育っていないのですから,収入も支出もありません。子どもに任せてよいことは任せて,自我の発芽を認めると,親の思いに逆らう反抗に見えることもあるでしょう。収入があるから支出もあるのです。収入を見るように目を凝らさなければ,支出ばかりと錯覚することになりますからご用心を!

 本号から,第54版を始めます。活力:活きる力という形で子育ちを整理していきます。引き続きお読みいただけたら幸いです。

★落書き★

 元日に何かを思い立っても続かないとき,三日坊主と言われます。昔,商売不振や生活困窮で寺に逃げ込み坊主になろうとする人がいました。寺に入れば最低限の食事は与えられ困らなくて済むからです。しかし,そんな心根でにわか坊主になっても,僧侶としての修行に耐えられるはずもなく,三日間くらいの短期間で,寺を逃げ出した人がけっこういました。そこから,飽きっぽくて何をやっても長続きしない様子を三日坊主というようになったそうです。逃げていると,逃げ続けることになります。


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