*** 子育ち12章 ***
 

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「第 6-12 章」


『隠された 工夫あるから ママの味』


 ■はじめに

 ボランティアの心構えという依頼内容で講演にお招きを受けたときのことです。気配りについて要点をお話ししましたが,一つの質問を追加しておきました。この「子育て羅針盤」では,質問を皆さんに投げかけるスタイルを採用しています。そこにはクマさんの秘めた願いがあります。

 このマガジンは子育ての学びを主な目的にしております。教えてもらうとか,習うということは学びではありません。自分で考えて結論を導き出すことが学びです。ですから,学びは至って個性的なのです。一人一人違うものです。その学びをするために必要なことは「質問」です。質問に自分の答えを見つけようとするとき,学びになります。人に教えてもらった答えは,教える人の答えであり,決して自分の答えにはなりません。

 どちらかといえば長文であるこのマガジンの中で最も大事な文章は,実は冒頭の質問なのです。各号の質問に,貴方ご自身が答えを書いて頂ければ,それが貴方に最も相応しい「子育て羅針盤」になるはずです。ですから,このマガジンの「説明」部分は,オマケです。そこには,貴方が答えを書くときに,もしかしたら必要になるかもしれない材料を,いくつか提供しているにすぎません。

 「もしも貴方がボランティアを頼むとしたら,今の貴方に頼みたいと思いますか?」。それがボランティアの方に出した質問でした。こんな人にボランティアしてもらいたい,そう思われる自分になろうとする気持ち,それがボランティアの心得と言いたかったわけです。

 「もしも貴方が子どもだったら,今の自分のようなママに育てて欲しいと思いますか?」。少しばかりきつい質問かもしれませんね。このマガジンは,「こんなママに育てられたらいいだろうな」という子どもの願いを知っていただき,素敵なママになる学びをお手伝いするために書き続けています。クマさんがイメージする素敵なママとは,自分の至らなさを受け止めることから逃げないママです。明るくがんばるママが大好きです。



【質問6-12:あなたのお子さんは,工夫をしていますか?】

 《「工夫をする」という意味について,説明が必要ですね!》


 〇どのようにおつき合いをすればいいのでしょうか?

 「あんな人だとは思わなかった」。連れ合いにしろ,親友にしろ,親類縁者にしろ,そんな激情にかられることがあります。そのときはどうということがなくても,後になって思い出すと,無性に腹が立ってくることもあります。「そういう人なら,これからはそのつもりでつきあい方を変えなくっちゃ」,そう思い定めるのも一つの手です。

 「思わなかった」。それがキーワードです。人を見定めることは難しいものです。こんな人だと思っていたら,あんな人でした。思っていると自分の側に相手を引き寄せていきます。ところが相手はこんな近くに居てくれずに,あんな遠くに居るのです。裏切られたと感じるとき,自分の勝手な思いが裏切られたわけで,相手が全面的に不実をしたと言うことはできません。

 親友や知人のような他人なら,「もう縁切り,絶交」と思うことで,幾ばくかの仕返しをしつつ溜飲を下げようとします。もちろんケースバイケースであることは当然のこととして,そんな体験を生かすことも大切でしょう。

 「あんな言い方はないはず,せめて○○とだけでも言ってくれればいいのに。それが人としてのつきあいというものじゃないかしら」。せめてという小さなことがなかったばかりに,大きな亀裂が生じたわけです。目に入った塵はとても小さいのですが,大きく感じます。自分のことについては,針小棒大に思ってしまうものです。

 人はお互い様です。自分もちょっとしたミス(?)をしています。気配りが足りないことを責めていくと,誰とも喧嘩状態になります。思いの幅を少し広くして,苦い思いはぐいっと飲み込んで,颯爽としてみませんか?

・・・人間に対しても適切な間合いを保たないと,傷つきます。・・・


 〇足りない?

 ママの悩みは晩ご飯のおかずです。冷蔵庫の中身と相談して,あり合わせのものを工夫しています。そんな苦労も「美味しい」という一言があれば,爽やかにぬぐい去られます。お金に糸目をつけずに美味しいものを作っても,それは生活の知恵ではありません。

 子どもたちの応用力が落ちています。応用力という言葉が出てきましたが,漢字の言葉は今ひとつピンと来ませんね。何となく分かるのですが,子育ての現場では役に立ちません。簡単に言えば,あり合わせのもので間に合わせて何かをなし遂げる力です。ママが毎日こともなげに発揮している力です。小難しい言葉も普通の言葉に置き換える工夫をすれば役に立ちます。

 動物の紹介をするテレビ番組をみていたら,チンパンジーが空中に紐で吊されたバナナをどんな風に手に入れるか,試しているシーンがありました。そこには,いくつかの箱や棒,紐などが置かれていました。箱を積み重ねて足場を作れば取れます。箱をいい加減に重ねていると,乗ったときにバランスが壊れてしまいます。無事にゲットしていました。

 そこにあるものを道具として使うという発想が,工夫をする発端になります。高さが足りないところは足場で補えばいいと気がつくことが,生活の知恵としての工夫になります。それは箱に乗って高くなった経験をしたことがあるから思いつくことができるのです。もちろん,箱をちゃんと積み上げないと倒れるという体験も必要ですよね。

 あり合わせのものしかなくても何とか夕食を作らなければならない,その追いつめられた気持ちが工夫をさせてくれます。好物のバナナを食べたい欲が,何とかしようとして知恵を絞り出します。

・・・何かが足りないときに,知恵を出して工夫をするものです。・・・


 〇転進?

 子どもの思い通りにおもちゃを買ってはやれません。子どものイメージする遊びの世界が未完成になることもあるでしょう。あれがないから遊んでもつまらない,そう思うでしょう。そんな満たされない気持ちを,どう扱うかが問題です。買ってくれないママを恨むか,すねるか,当たり散らすか,落ち込んでしまうか,あきらめてぼうっと過ごすか,いろんな選択肢が可能です。

 もう一つの選択肢があります。現状を素直に受け入れて,自分なりの工夫をするという道です。遊び方を変えてみるのです。アニメのキャラクター人形が欲しいけれど買ってもらえないとき,写真などがあれば切り抜いて,好きなところに張ったり,大きさが合えば空きカンに巻き付けてみたり,自分の映っている写真に並べて張り込んだり,いくらでも楽しいことができるはずです。ママの遊び心を発揮するチャンスです。

 「そんなのは違う!」と言うかもしれません。「ママはもう知りません。勝手にしなさい」。それでいいのです。わがままは通らないというしつけだけではなくて,工夫する道を示してやっているからです。行き止まりと思いこんでいる子どもに,進む向きをちょっと変えれば新しい道が開けていると気付かせることが大事です。

 我慢をしつけるためには,ダメというだけの封じ込めでは十分ではありません。いったん我慢を強いられても,そこから新しい道に進む可能性が見えていれば,多少の時間は掛かるでしょうが,気を取り直すことができます。工夫をする力は,我慢を受け入れるストレスを上手に発散する方便になります。

 転んでも只では起きない。そのようなガメツサは工夫する力から生まれます。盤石の準備をしているつもりでも,トラブルは起こります。予定の行動が狂うことは日常茶飯事です。立ち直りができるかどうかは,新しい道を探す気働きの有無に拠ります。

・・・不十分な現状を打開する道,それは工夫することです。・・・


 〇気分転換?

 友だちと遊んでいると,お互いのわがままが出て喧嘩別れすることがあります。パパとママの場合なら,少なくても数日間は険悪な状況が続きます。子どもの場合は,ほんの1時間か,翌日までです。いつまでも根に持たない,すっきりと忘れていくからです。前号で述べたように,子どもは過去を引きずることなく,今に生きているからです。

 もう一つは,子どもは遊びたいから何とかしようといろんなことを試みます。黙ってふくれっ面を向き合わせていても,どちらかが何か遊びの種を見つけて始め出すと,なんとなく一緒の行動に入っていきます。意識してなくても,気分転換という工夫をしているのです。

 子どもの喧嘩に親が口を出すとこじれます。夫婦げんかは犬も食わないとは,他人の口出し無用という知恵です。どうして第三者が口をはさむと,もつれてしまうのでしょうか? 第三者は物事の是非を判定しようとしますが,それはどちらかが間違っているという裁定になります。新しく余計な不満が注ぎ込まれるので,収まらなくなります。

 第三者の役目は鏡になることです。両者の言い分を聞くだけで発言を控えるのです。第三者に話すうちに,話している自分の方にもいけないところがあったと気付きます。鏡は前に立つ人の姿をそのまま映し出します。決して,ここが間違っているよとは教えません。ママは鏡に映る自分の姿を見て,自分のアラに気付くはずです。人に指摘を受けるよりも,まず自分のことは自分でチェックしたいですよね。

 喧嘩をしている子ども同士は,相手のふくれっ面を見ているのですが,それは自分の顔でもあるのです。そんなつまらない顔は見たくありませんから,目を逸らします。楽しい顔になりたくて,楽しいことを見つけようとします。友だちであれば,どちらにとっても楽しいことですから,楽しい顔になれます。こうして仲直りしていけます。

 子はかすがいと言われます。夫婦がふくれっ面を見せ合っていても,子どもに対してはどちらも優しい顔になります。いつの間にか仲直りしてしまいますよね。不快なことに出会ったら,いつまでも不愉快なままにしておくのではなく,心地よい方に気分転換する工夫をしてください。

・・・ちょっとした諍いは,気を取り直す工夫をすれば収まります。・・・


 〇生活の工夫?

 何事にも積極的な人とそうでない人がいます。この言い方は大げさすぎますが,「あなたは何でもいい加減なんだから!」というため息に倣ってみただけです。遊ぶことに積極的であっても,積極的とは言ってもらえないようです。

 子どもにお使いを頼むと,渋々出かけることがあります。途中で道草を食って,仕込みに間に合わなくなるような場合もあるかもしれません。帰り道でこけてしまって,タマゴが割れてしまうこともあるでしょう。いろんな不始末をしでかしてくれます。

 「どうして,ちゃんとできないの」と,ママは怒るのを通り越して悲しくなります。子どもは「一応,しさえすればいい」と高をくくっています。ちゃんとするためには,例えば,タマゴは割れやすいから別にして手で持っておくといった工夫が必要です。

 共同作業ではきちんと引き継ぐ気配りが大切です。担当の仕事をすればいいと思っていると,受け渡しのところで必ずトラブルが起こります。自分の仕事が次の段階にスムーズにつながるように工夫しておかなければなりません。ちょっとしたことですが,全体の流れと仕上げを左右します。

 パパが自分の脱いだ靴下を洗濯機に入れておくこと,各自が食べ終わった食器をせめて流しまで運んでおくこと,新聞を読んだ人はマガジンラックに差しておくことなど,自分の行動にちょっとした工夫を加えて余計なことをしておく,そうすればお互いが楽になり,気持ちが和やかになれます。落ち着ける家庭とは,それぞれが小さな工夫を持ち寄ってこそできるものです。

 ちゃんとする,きちんとする,それをママが子どもに望むなら,どのような工夫をすればいいのか,教えてやってください。着替えの時にボタンを留めるにも,ボタンを立てて穴に押し込む工夫が必要ですよね。工夫できる力が備われば,何事にも積極的になれるはずです。

・・・しっとりとした暮らしは,工夫というオイルが潤沢です。・・・


 〇個性?

 同じことをしていても,人によって違いがでてきます。その理由は,その人なりの工夫をしているからです。つまり,工夫とは個性を培う力を持っているのです。ママの作る唐揚げがフード店の味と違い,給食の味とも違うのは,作る人の工夫が異なっているせいです。

 同じ交響曲でも指揮者が変わると,曲のイメージは大きく変わります。工夫の変化が指揮者の個性になります。個性的であろうとするなら,工夫を凝らさなければなりません。あふれている商品の差別化も工夫の仕方によって可能になります。

 どんな工夫をするか,そこに好き嫌いの入り込む余地があります。推論を進めれば,趣味の分野も工夫が可能でなければ長続きしません。オリジナリティは工夫の結晶だからです。工夫とは新しい道であると言っておきましたが,一人一人が自分で見つけられます。とはいえ,ことはそれほど簡単ではなく,新しい道などおいそれと見つかるものではないかもしれませんが,工夫する楽しみはいつでも味わえます。

 工夫をするに当たって最も大事なことは,工夫は完成したものごとには無縁だということです。できつつある途中にしか工夫が込められないということです。出来合いのものを手に入れても,それにはほとんど工夫をする余地はありません。美味しいハンバーグを作る工夫は,調理の間にすることであり,できてしまった後では,どうしようもありませんね。

 工夫は結果の前に仕込むものです。壊れた茶碗はどうしようもありません。壊れないように工夫することです。子どもの育ちの場では失敗の連続です。その失敗をどうすればしないようにできるのか,その工夫ができたら,次の失敗を防ぐことができます。育ちとは失敗という畑に工夫の種を植え込む作業と言えます。だからこそ,氏より育ちという個性が備わっていくのです。

・・・個性とは手作りの工夫によってしか得られません。・・・



《工夫をするとは,生きていく上での櫂さばきです。》

 ○自分という小舟が世間という荒波を乗り越えていくとき,巧みな櫂さばきが求められます。どんな場面に出会ったとしても,その場に相応しい櫂さばきをしないと,小舟は転覆したり,座礁したりするでしょう。どうしたらいいのだろうか? そこから工夫が始まります。

 経験豊かな人とは,工夫の仕方をたくさん身につけている人です。学校と塾しか知らない子どもには,生活の隅々まではめ込まれている数多くの工夫を見つけるチャンスはないでしょう。大きくなって難破しなければいいのですが・・・。


 【質問6-12:あなたのお子さんは,工夫をしていますか?】

   ●答は?・・・もちろん,「イエス」ですよね!?

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